シナリオボス高校生2年時
イリーガル高校生1年時
中等部生徒時

　以降、恩人に拾われ、仲間に恵まれて。自立を志すまで激動の一年を送る。

　進学し、高等部在籍中に累計2年程度本土でのイリーガル活動に従事。
　同時に学園島でのRファイトチーム創立、学生運動の主導、未知の異能の発現等、善悪の区別なく八面六臂の活躍を見せた。
　そういった活動の最中、知り合った同級生に思いを寄せるような青春を過ごす。

　卒業も間近。任務に同行した件の少年が死亡。それにより学園生のイリーガル運用計画も凍結。

　最初で最後の任務達成率100％学園生の記録だけを残し、学生生活を終えた。

　観光に賑わう神社でのレネゲイド災害の調査解決。
　そこで合流した若者たちへの接し方、格上への対処、戦いに臨む覚悟。
　その全てが中途半端であると自覚し、人を率いる場には向かないと再三自覚する。

　辞職を心に決めた瞬間、眼の前で転ぶ少女を見た。
　何処にでもあるごく小さな悲劇、自分がいなくても何ら差し障りのないありふれた出来事。
　そこに手を差し伸べる事が正解なのかどうか、知るまではなんとかやってみようかと腰を上げた

　支部長就任後、他人を使う事への覚悟が決まらないまま本部よりの任務が舞い込む。
　鈍に光るボールペンは、願いを叶える機能を持つという。
　使用者を覚醒させていくそれを、半信半疑のまま追跡、確保。納品に至る。
　告げられたのは『本物』だという事実。使用者の実力に成就の規模が反映されるという。

　火が点った。
　実績を重ね、本部への影響力を得て、ボールペンの使用権を手に入れる。
　力づくの奪取では意味がない。正当な手続きを経て、その結果を社会に承認させる。
　全ては喪った友の言葉を聞くため。
　落とした命を拾うため。

　高等部3年の春、学徒動員(人員不足の解消策として実験的に行われていたアカデミア生のイリーガル運用施策。作戦行動中の事故により凍結される)0期生としての活動を再開した。
　理由としては本質的に異能を振るうのが好きだったからかもしれないし、その彼女を打倒した事で選出され、参加を決めた少年に密かな思いを寄せていたからかもしれない。

　卒業も間近になり、適当な進学を決めていた頃。
　今日と違う明日の幸福を信じていた時節。
　浮かれてはいたことは否定できないが、油断はしていなかった。
　既に敗北は知っている。自身の実力も見誤らない。

　足りなかったのは、色恋に曇らない眼。彼はヒーローだと茹だらない頭。
　全身を膾にされようと気合で英雄的な口上を述べ、敵を打倒するような怪物は一握りであるという認識。
　偶然同類ばかりに囲まれていたのだと知る経験。
　競うことばかりに執心し、軽視していた他人を救う能力。
　死地に知己と連れ立つ覚悟。
　人は死ぬという常識。

　ただし、それらが揃っていたとしても結果が変わっていたかは定かでない。
　血管を繋ごうと、傷口を凍らせようと。手を押し当てようと、喉を枯らそうと。
　膝を濡らす血が還っていくことは無かったのだから。

「君が無事で良かった」

　帰島して半年、理由の分からない焦燥感に襲われる。
　大言壮語を語っておきながら一歩も進んでいない事だと判断し一念発起。
　既に立ち上げていたRファイトチームを下敷きとし、学園島の支配に乗り出した。

　その実は話を聞いてくれる友達がどんどん卒業していくし、日々増していく異能は他人を遠ざける。
　どんな滅茶苦茶を言ったとて、別世界の人間だからとまともに取り合われない。
　『そうあるべきだから』と自分を守り、歩み寄る事もしない。
　最後に話を聞いてくれた本土の友人に見放されない為の無自覚な見切り発車でしか無かった。

　……以上の事情を勘案されたり一切されなかったりして。
　自分と似た思想を持ちながら世間とうまく折り合いをつけた姿を見たり。
　欲求だけを純粋に満たされて異常(ゆめ)に向かうエネルギーを折られたり。
　アイドルにされたり。

　世界を変える運命を邁進する超人は、緩いラブコメディに迷走する普通の少女となった。
　中学時代を奇跡と称するスカジは、ここからの一年を望外と呼ぶ。

　本土での最終任務を終え、UGNの計らいで温泉地に赴くスカジ。
　近隣での戦闘に影響を受けて暴走している土着神のレネゲイドビーイング
　知ったからには捨て置け無いと沈静化に向かい、辛くも達成。
　彼の話を聞いてみると、大昔より傷病人をオーヴァード化させることで救ってきた事を知る。
　UGNの理念とは真っ向反するが、その行為が悪だとは到底思えない。
　『やりすぎるな』の一言を残し、学園島への帰還便に乗り込んだ。

　UGN戦闘班殺傷事件の犯人である少年は、少女の怨恨を代わって果たさんとしていた。
　スカジは、対話による解決を一意とするUGNエージェント・青柳と馬が合わず、動き出す少女を力づくで止めるべく、独断でFHチルドレン“血吸いの牙”及び犯人である少年と同盟を結成。

　馬場依那古と話す中で自分が『対話による相互理解ではなく、暴力のぶつかり合いによる決着』を好む事を自覚。
　全てが対極だった馬場依那古に『暴力以外の解決』を託し、『暴力による解決』へと赴く。

　いざ戦いの火蓋が切って落とされんとする刹那、馬場依那古が持ち込んだ、自分には見いだせなかった"別解"により少女は投降。
　その手腕を見て、自分に欠けている部分を補ってくれるのは彼女であり。
　また、彼女が行き詰まった時には私が必要だろうと考え。
　日常と異常、全てを守れる二人として組まないかと提案を持ちかけた。

　一方、こと復讐者として少女と相互理解を試みていた“血吸いの牙”は、失意の中で去っていった。
　最後に彼は少女が『負けられた』事を祝福していたのだろうと思う。
　そんな背中にかけられる同情はなく、ただ再会を誓う事が出来たのが、互いの救いになってくれと祈るのみ。

　本土での活動も早半年となり、年の瀬も迫る頃。
　倉庫整理の人員として呼び出された少女は(案の定)騒動に巻き込まれ、10名強のエージェントと共にレネゲイドビーイングの暴走と失踪に対処する事となった。
　その最中で知る、機能に殉ずるという生き方。
　反してUGNで理想論を語れる可能性。
　これもまた選択肢の一つだと、脳裏に留め置くのであった。

　諸事情から一時的に学園島を離れ、本土でイリーガル活動をすることになったスカジ・F・オクセンシェルナ。
　知らない環境に再び送り出される恐怖と人見知りが発動してガチガチだったが、明るい(好意的表現)の同行者二人に引っ張られ、次第に打ち解けていく。
　任務内容はレネゲイド反応が検知された田舎町の調査。
　本土FHエージェントに接触したりもありながら、出会った在野のオーヴァードは自称海神。
　その正体は《ワーディング》のオンオフすら知らない未熟な存在であり、その姿に過去の自分を重ねる。
　しかし彼のことを知るに連れ、数百年続く因縁に立ち向かう孤独な戦士であることを知り、認識を改め。
　肩を並べて諸悪の根源と対峙、見事撃滅を完遂した。

　度重なる"調整"を経ても御しきれない莫大な出力を研究対象として学園島に輸送する最中、敵対勢力による襲撃を受ける。
　その際、後の生徒会外部組織・ワイルドハント総長に救助され、本人の強い希望もあり入隊。
　主にFHを相手取った治安維持活動に従事しなから能力の操作を覚え、ついには最高位・SSランクの認定を受けるに至る。
　しかし、マスタージェントとの決着、及び中等部の卒業と同時にワイルドハント脱退を宣言。
　恩人への依存を断ち切り、勝手に借りた一人称を返上し。
　いつか同格の友人になるべく、新たな一歩を踏み出した。

https://drive.google.com/drive/folders/1f1BxD2RJtZuUuVNqGGLNob1SyEubUbfh
　
スカジ・F・オクセンシェルナ(5話)

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