留佳はバッドシティの生まれである。
気づけば親はどこかへ消えて、残された小さな妹を1人で育てていた。
「妹には、もっと良い生活を与えてやらなくちゃいけない」
彼女は既に自警団の1人となっていて、ここでの生き方を好いていたが、妹にそれを押し付けるのは嫌だった。

アカデミアについては、初めは指令を出すUGN関係者が噂していた程度だった。
それでもここよりはきっといい場所だろうと、無茶な交渉とその度に貰うおつかいを繰り返し、ようやくアカデミアへの転校を許された。

新たな身分を手に入れようやく自由になったはいいが、やることも失った。
アカデミアで新たなものを吸収するのは嫌いではなかったが、それだけに熱意を注ぐのは退屈だった。
そうして暇つぶしに悪い子を懲らしめていた最中に、初めて風紀委員長に出会い、捕まった。

事情聴取と説教を聞く中で、彼女の生真面目さと健気さに興味がわいた。
疲れ切った表情と話しながらも次の仕事について考えてる彼女—―その原因は留佳にもあるのだが――にちょっと世話を焼きたくなったのだ。
「今日は迷惑をかけちゃったからね。お詫びと言ってはなんだけど、その厄介な仕事は私も手伝おう」
そのお節介の延長で、今は風紀委員に身を置いている。