身の丈以上の大剣“｜月喰《つきはみ》”を用い、瞬きの間に対象を斬り付ける。流星の如き一撃とも形容されることもあるが、通常時のレネゲイド能力は並のエージェントと大差ない。つまり、特筆するほどの強みはない……そう評価されがちだ。
　しかし、決して侮るなかれ。レネゲイドの昂りは、内に秘められし魔獣を呼び起こすトリガーでもある。宿主を傷付け眠りを妨げるなら、獣は即座に頭をもたげ、如何なる絶望も裸足で逃げ出す、絶対的な破壊の一撃を齎すだろう。

“｜氷獄《ジュデッカ》”｜黒神冬子《くろかみ･ふゆこ》

　同年代の少女。通う学校は別。早い段階から“フユ”のあだ名で呼称している。
　無遠慮だが、お陰でこちらも気軽に接することができ、何だかんだ居心地はいい模様。オーヴァードに覚醒して以来、最も多くの戦場を共にし背中を預け合ったチルドレンであり、あの護が有事の際に最も頼りにしている戦友のような存在。
　初見はすごいお淑やかだなぁという印象を抱いていた模様。任務初日にして、一瞬でその印象はなくなったらしいが。

“｜雷光者《キュリオス》”｜片刃征彦《かたば･ゆきひこ》

　学校でもUGNでも先輩。ちゃんと面識を持ち始めたのはUGNに保護された際で、その後に同じ学校の生徒であることを知った。最近までは敬語で話していたが、片刃の実家を訪問した辺りからタメ口になり、呼称も“ユキ”に変化した。
　悪気がないのは何となく分かるが、それはそれとしてちくちく言葉は如何なものかと常々思っている。根は悪くないことをちゃんと理解している為、嫌いではないし信頼もしている。

“｜心理学者《Phy(サイ)》”｜白人《しらひと》こころ

　矢岳敏光の先輩として面識を持ち、後に戦場を共にすることで交友を深めた。支部長よろしく最近敬語が抜けた相手であり、呼称も“こころサン”から“こころ”と呼び捨てに変化している。
　怒られるので本人には言わないが、彼女に対して抱いている感情は庇護に近い。何かある度に彼女を抱え上げたりするのは、彼なりに危険から遠ざけようとする潜在意識の表れなのかもしれない。

｜巴《ともえ》のどか

　後輩。かつて、FHが引き起こした大規模オーヴァード化計画『プロジェクトαトランス』に巻き込まれた際に助けたことをきっかけに距離が近づいた。記憶処理を受けており、レネゲイドの秘密は明かしていない。
　優しい性格で自慢の後輩。丁嵐護にとって日常の象徴であり、覚醒当初は能力の行使さえ嫌っていた彼がこれほどまでに成長したのは、彼女あってこそだろう。

｜国東《くにさき》いずみ

　幼少期に世話になった近所のお姉さん。「いずみ姉」と呼ぶ通り、血の繋がりはないが姉のように慕っている。レネゲイドのことは話してこなかったが、UGNからの任務で護衛を任された際に研究者としての一面を知り、以降は隠していない。
　暗い過去を持つ彼がここまで真っ直ぐ成長し、名の通りの精神性を冠するに至ったのは、間違いなく彼女の背を見て育ったからだろう。それ故に、時折まだちゃん付けをされることは少し不満だったり。

｜久川香澄《ひさかわ･かすみ》

　クラスメイトの一人。席が隣ということもあって交友の深い相手。レネゲイドのことは隠している。
　彼女特有な勢いの裏にある｜何か《幼少期》のことは察しているが、詳細を知る訳でもなし、あまり触れないようにしている。“お祭り女”などとあだ名されているが、元気を貰えるし悪いヤツではないと少年は語る。

｜物部暁美《もののべ･あけみ》

　とある事件を機に交友ができたクラスメイト。エグザイルの純血種であり、潜在的な戦闘能力は中々のもの。
　内気に見えてかなりハジけた精神性の持ち主であり、クラスで唯一レネゲイドの秘密を共有している相手ということで、思い切りの良さに振り回されつつも内心満更ではないのが正直な所。
　余談だが、オカルトに興味があり、超常現象部の部長である片刃征彦に近づきたいと行動していた際、自分が部室に入っていく(偶々UGN関係の話で訪れただけなのだが)所を目撃し、以来交友のきっかけを模索していたんだとか。

“ノーブル･コクーン”｜水上佐奈《みなかみ･さな》

　家が近所の少女。潜在的なオーヴァードだと思われるが、UGNは本人に自覚させない方向性のようで、護もそれに倣ってレネゲイドの真実は伏せ続けている。
　兄のように慕ってくれる彼女に対し、護も佐奈のことを妹のように可愛がり接している。抱いている感情は庇護だが、とある事件前後で少し内情に変化が生じているとか。佐奈の語る「夢」の続きを密かに楽しみにしている。

｜丁嵐蒼《あたらし･そう》、｜丁嵐杏《あたらし･あん》

　両親。物心つく頃には居なくなっていた為、あまり記憶にない。亡くなっていると聞かされている。
　「シナリオ3.5:Beyond the Memories」にて、9年前の丁嵐蒼と邂逅。ただし、記憶の中の丁嵐蒼である為、厳密には違うのだが……。丁嵐家に伝わる家宝を持ち出し、護と似た賢者の石を宿していたようだが……？

｜丁嵐以蔵《あたらし･いぞう》、｜丁嵐伊代《あたらし･いよ》

　祖父母。両親に代わって幼少期からここまで育て上げてくれた恩人。レネゲイドのことは隠している。
　恩義を感じる相手であり、自分なりの形で親孝行をしたいと考えている。

｜矢岳敏光《やたけ･としみつ》

　仲のいいクラスメイトの男子。悪友で、振り回し振り回されの関係。レネゲイドのことは隠している。
　根の良さを理解している為、何だかんだ振り回されてやることが多い。勿論、やらかした分はきっちり回収する主義だが。

｜相良浩平《さがら･こうへい》

　クラスメイトである久川香澄の実の兄。レネゲイドへの強い耐性、オーヴァードに覚醒し得ないという稀有な体質も相まって再生能力を得られず、文化祭前後の一件では命を落としかけるが……賢者の石を行使することで一命を取り留める。この一件を機に交友が生まれ、護は自身に宿るクリスタルの特異性を自覚することになる。

ナビコ

　元は国東いずみから受け取ったサポートAIとそのデバイス……だったのだが、ホログラムによる人の姿と人格を手に入れた模様。後にレネゲイドビーイングと呼ばれるようになる存在だが、この時点では原因不明の特異現象と処理されていた模様。
　快活な少女といった印象を抱き、聞いてもいない質問の回答が返ってくる点に目を瞑れば、情報収集でも戦闘でも自分を支えてくれる頼もしい存在。ナビコが人格を獲得してからは、彼女のことを一人の人間、共に日々を過ごす隣人として接していた。
　「シナリオ4:Overdrive Walz」にて、“マスター･レイス”日下部仁の手により事実上の死亡となってしまった。

“ワイルドカード”｜桐生菜月《きりゅう･なつき》

　幼少期に邂逅しており、相良浩平曰く現在は消息不明であることが明かされていた。後に、ファーストクリスタルが保存していたと思わしき記憶を観ることで、5年前にK市で起きた大災害の真相と、前任者となる桐生菜月の結末を知らされる。
　彼女が名乗っていたコードネームは、護が片刃征彦より拝命した二つ名と瓜二つ。後述の謎の少女然り、ここまで来ては、単なる偶然と一蹴することはできない。

謎の少女

　丁嵐護の心象風景───剣の荒野にて初邂逅。以降、時折彼女の声が脳裏で響いていた。
　桐生菜月にも似た容姿だが関連性は不明。護自身の“獣”を抑えていてくれたらしく、名前も忘れてしまったという彼女とまた会って話がしたいと考えているが……。
　「シナリオ0:Under the wheel of fortune」エピローグにて、5年前K市で起きた大災害の顛末を知ると同時に、少女の正体のヒントも得た。雰囲気こそ変貌しているものの、適合者としても二つ名としても前任者の面影を感じさせるのだ。

｜丁嵐護《あたらし･まもる》？

　『もうひとつの心象風景』にて初邂逅。自身を丁嵐護と言い、事実色彩以外は非常によく似た容姿をしている。ただし、その言動は非常に粗っぽく好戦的で、似ても似つかない。その為か、彼に対しては何かと反抗的なリアクションを返しがち。

アン

　クリスタルに記憶された、遥かな過去にて邂逅。自身の母親たる丁嵐杏に非常によく似た姿をしているが、同一人物ではない模様。赤い賢者の石を宿し、鎖を扱うその様はもう一人の自分を彷彿とさせるが……？

｜涼本《すずもと》さつき

　球技大会の実行委員に選出されたことをきっかけに交友が生まれる。とは言え、お互いに多忙な生活を送っていることもあり、プライベートでの接点はあまり無い(時折連絡を取り合う程度か)。とは言え仲が悪い訳でも無し、程々の距離感で気軽に接している友人と評するのが適切だろう。
　結局、彼女が尽力していた球技大会へ出場しないことを内心悔いている。それこそ、次に顔を見せる機会があるとすれば、一発殴られることを覚悟しているくらいには。

｜片桐慶一《かたぎり･けいいち》

　K市で起きていた獣人化事件の犯人。とは言え、慶一自身もまた被害者であり、刃と共に心意をぶつけ合うことで和解？
　日下部仁により凍結させられたが、後に解凍されUGNに保護されたことを聞き及んでいる。

“マスター･レイス”｜日下部仁《くさかべ･じん》

　丁嵐護に初めて『殺意』を抱かせた男。｜数年後の未来《(UA)含む基本ステージ》、或いは｜平行世界《エンドライン》においてさえ、怒りこそすれ殺意を抱くことは無かった優しき男をして、腹の底から「ぶっ殺してやる」と言わしめたこの世の膿。
　物部暁美の生存もあり、復讐に身を堕とすことはないだろうが……死の忘却すら生温い報いを必ず与えると誓っている。

“｜未確定な切り札《ブランクカード》”｜五十嵐刃月《いがらし･はづき》

　自分と同じ瞳を持つ青年。これは、単純に色が同じという話ではない。
　かつて桐生菜月と共にK市を死守した者の一人のようだが、現在は昏睡状態にある為面識はない。