体内に発電・蓄電器官を生成し、放電利用する異能。
　体組織の再編により、副次的に肉体が強度を増している。
　充電に時間がかかる弱点はあるものの、最大出力は天災にすら匹敵する。
　
　異能を肌感覚で扱うセンスについては群を抜けて優秀。
　目を覆いたくなるような学力を持ち、薄っぺらな志望動機を語る彼女をUGNが採用した理由でもある。

　権力者の血筋に生まれた末っ子であり、父親以外に甘やかされて育つ。
　父親からは興味を持たれていなかった。
　勉学や芸事の出来が悪く、兄妹への劣等感から地元の公立校でちょっとグレる。
　グループのOBと交際を経て学生結婚。実家を飛び出した。
　新婚生活は諸々の無理はあれど幸せな物ではあったが、1体のジャームによって破壊される。
　嬲られる夫を救うため、祈りの果てに覚醒。
　空気を弾きながら下手人を焼く雷帝を見て、夫は悲鳴を上げたのであった。

　破局後、保護時に存在を知ったUGNに参画を志願。
　人として並以下で、人以外になってしまった自分の生きる道はこれしか無いと思った。
　訓練期間を経て、探偵事務所に配属となる。


　両親と、兄が二人いる。
　長男は出来が良く、家督を継ぐべく真っ当に働いている。
　次男は飲食店経営という事しか薄荷は知らないが、オカマバーの店長。
　また、別支部の副長を務めるエージェントでもある。

　とあるチルドレン育成施設兼UGN支部で開発された、VRレネゲイド訓練機器のテストにと招集される。
　諸々懸念はありながら、結果的に試験はつつがなく終了したかと思った時、異変が起きた。
　システムの中核となっているレネゲイドビーイングの暴走である。

　原因となったのは支部の息苦しさに不満を漏らしたチルドレンと、それを聞き届けたレネゲイドビーイングによるものと判明。
　強制的なリセットを試みる前に、支部長"カプチーノ"と対面。
　理想的であることの素晴らしさの裏に、理想的であれない落伍者がいる事を伝えた。

　本来、任務を果たす組織としては修正するか、切り捨てるべき存在。
　反面。保護育成、社会適応を目指す特性を切り取れば無視できない事柄でもある。

　薄荷としてはそんな小難しい事は考えておらず、固く綺麗な実家の水が合わなかった一人の落ちこぼれとして、不満を抱えたどこかの子供に優しくしたかっただけである。

　守ると約束したイリーガルの同僚を傷つけられて、どうしたものかと一晩考えて。
　小人閑居して不善をなす見本、思い詰めて子供への気遣いも忘れて。
　今回の反省は『ぐちゃぐちゃ考えすぎるのはやめよう』『初対面の相手でも相談して、疑問に思った事は聞こう』
　失ったものは組織人としての信頼(独断で動いたので)、得たものは一人の友人。

　無能で愚鈍な自分より、他の誰かがやった方がいい。
　万事についてそう考えていた地獄谷薄荷だが、覚醒したてで戸惑う少女・冬香に対し、軽率に格好つけてしまった。
　本部に引き渡してバイバイかと思いきや、FHに追われていたことが判明。作った仮面と本性のしょうもなさの間で苦しむハッカ。

　バディに引っ張られつつ。冬香を追っていた人間は、彼女が覚醒した際の犯人と類似した動機を持つ所まで突き止める。
　FHエージェント"レインボー"と対面し、欲望のままに生きると罪の意識を持たない彼の言葉を聞いた時、冷静さを失ってしまう。

　周囲の人物の言葉でなんとか持ち直し、『他人の強さに依存する』裏側に『他人の強さを信じる』気持ちがあったことを自覚。
　『劣った自分が助けられた分、自分より弱い人の力くらいにはなろう』と決意。

　その後、無事に冬香の依頼を完遂。
　少女と交わした約束に恥じぬよう、ほんの少しだけ前向きになることを決めたのであった。