きっかけはただの風邪。というと本当に恰好が悪いが、体調不良でじわじわと？急速に？感染が進んでいて、長年の喫煙もたたって咳が止まらず呼吸困難で死にかけたのがトリガーになった。発症の際の身体変化の激痛と窒息感で床をのたうちまわり喀血で床を血まみれにして気絶。　目が覚めた場所はUGN管轄の病院だった。
（後から話を聞くに、うめき声を聞いた隣人が救急車やら警察やらを呼んでくれたが、部屋が凄惨なことになっていたためR担とかUGN関係者とかが通常の病院ではないほうへ搬送措置をとったらしい　そこでいろいろ検査や診断も勝手にされた）
死にかけた自分、変異した躰、見慣れない病院、難しいことを言う医者、神妙な面持ちのスーツの男　馬鹿みたいに分厚い紙束…
自分は人間でなく力を持つバケモノ…オーヴァードに　そしてそれはいずれ理性をなくした化け物…ジャームになり果てること。
人でも化け物でもないダブルクロスの世界に放り込まれた自分に　選べる道はそう多くない事。

…このまま生きるのをあきらめるのは容易い。協力を断って、今まで通り過ごせばいい。だけどもしまだこの体が誰かの役に立てるなら、そうしたほうがきっと　後悔しないだろうから。

５，６年前に実家出て（30になったときぐらい）
ひっくり返って（発症）
そっから3年ほど今とは別の支部（L支部）にエージェントとして在籍
異勤でN市にきてハトちゃんと知りあったのが２年前。
N支部には若手やイリーガルが多く　年長気味ってことも相まって結構頼られるというか
支部長代理とか、緊急の時に連絡先になったり指示仰がれたりするかもしれない

人生観　姪っ子と　2つ

あるいつかの日、夜少し遅くに姪っ子が眠れないと起きてきた。ホットミルクでも淹れてやりながら眠くなるまでしゃべるか？なんて提案して　換気扇の下、壁に寄りかかって煙をふく。　数分そうしてると、ムギが先に声をかけた
「…おじさんタバコやめないよね」
「そうだな」
「死ぬまでやめらんないよね」
「…たぶんな」
「そうだよね、でもアタシは心配だから　ずっと言うよ　タバコやめなよって」
「…　…ありがとうな、ムギ」
・　・　・　・　別の日に、こうも語る。
「ムギ、この先長い人生　デカいのから小さいのまで　1人で選ぶものから人と協力することまで
いろんな選択肢がある、けど正しい選択肢ってのはさ…実はひとつもないんだ」
「…そしたら　ぜんぶまちがいなの？」
「いや？ちがう…　選んだ後で、それを正しいものにしていくのさ、ムギはムギが信じる選択をして良い。
結果がどうであれ　その選択を悩んだことに意味があるんだ」
「ふーん…まだアタシには良くわかんないけど…　てつがくてきだね」
「はは　そうだな、哲学ってやつだ　難しいこと考えてたら案外素直に眠れるかもしれないぜ？」

血のつながらない甥っ子と

雨宮「(すぅ…　　　っぱ)…いてっ」
スギ「あ、おじさん唇切れてるぞ」
雨宮「最近乾燥してたからな…タバコの紙が引っかかるんだよな」
スギ「リップあるぞ？使う？」
雨宮「たすかる…　ん？使いかけじゃないよな」
スギ「いや？アタシの」
雨宮「いやいやいや使えねぇよ借り物のリップなんて」
スギ「アタシが気にしないって言ってるのに？」
雨宮「さすがにオレが変質者になっちまうだろ」
(ずっとそばにいたヤト)
ヤト「……」(セッコクの服ぐい)
雨宮「んおっ」
(雨宮になにか握らせる)
雨宮「引っ張るなら流石になにか言えって…」
ヤト「使うといい」
(ワセリンの小さな缶)
雨宮「…お、おお　ありがとうな」
(こく、と小さくうなずいて　もすもすどこか行く…)

スギ「アニキああみえて細かいこときがつくからなー」
雨宮「そもそもあいつからこんなもんでてくるとは夢にも思わなかったぜ…(ぬり…)」