力を上手く制御するのが苦手でかつ身体もあまり強くなかったため
幼少期は病院で過ごすことが多かった。

病室から眺める海と空が大好きで入院中はいつも窓の外を眺めて過ごしていた。
それから歌うことも大好きで誰から教わったかもわからないけど

時より見る夢の中で美しい自分に少し似た女性が歌ってくれる歌が大好きで
真似をして歌っていた。
その夢は本当に幸せで
自分と少し似た女性と穏やかで優しい男性に優しく抱かれる夢

物心つく前から見ていた夢で今では両親なのではないかと思っている。
どうして、あんまに幸せそうなのに二人がいないのか思うことはあったけれど
幸せな記憶があるから沙冱園 深天はあまり、落ち込んだりしていなかった。

それよりうまく力を制御できない方が辛いなと思っていた。
窓の外から眺めていると
自分と同じくらいの子供たちが元気に外を走り回る姿がちょっぴりうらやましかった。

でも落ち込むばかりではなかった
友達が一人もいないわけではなかったし、同じように病院で過ごす子供もいたし

調子がいい日は外で遊んでいる子たちと遊ぶことだってあった。
だから、寂しくはなかった。

調子がいい日に遊んでくれた、おにいちゃんがいたから
頑張ってお薬も飲んでいたし、レネゲイドをコントロールする訓練も一生懸命頑張っていた。

小学校を卒業する頃には自分の力も制御がある程度できるようになっていたので
学校もそれなりに通えるようになっていた。

今でも少し不安になる気持ちはあるけれど、それでも自分の力と向き合うようにしていた。

浜辺に流れ着いた小さな小さな船
その小さな船の中には「Sakozono Misora」と刺繍されたタオルに巻かれてる赤ちゃんが流れ着いてきた

それを物部蓮華が拾ってくれたおかげで今沙冱園 深天は神輿島で暮らしている

沙冱園 深天は知ることもないし、島にいる人も誰も知らない話
沙冱園 深天の母はキュマイラのシンドロームに覚醒したオーヴァードだった
生まれた時は普通の人間として生まれてきたが、海でおぼれたのきっかけに
オーヴァードへと覚醒
その時、半身が魚類へと異形化してしまった。
いわゆる人魚のような姿だった。

確かに人魚と言えば美しい生き物かもしれない
だが、人間というものは自分と違う姿、形を恐れ化け物と避けてしまう。

そんな姿を見られて受け入れてもらえるとは思わなかった。

おぼれた時に助かったとはいえ、彼女の両親は彼女が死んでしまったと思っていたし
能力をうまく制御できなかった彼女は普通の身体を維持するのが長くできなかった
なので、地上へ戻ることもできなかった。

海で必死に暮らしていた彼女はある日嵐に巻き込まれとある島に流れ着く（神輿島とは違う島）
そこでは心優しい男性が彼女を助けてくれた。

海辺で解放してくれた彼は彼女が起きるまで待っていたくれた。
起きた彼女はびっくりしたし、彼に化け物と呼ばれてしまうんじゃないかと恐怖した

だが、彼はそんなことは言わず
「とてもきれいな鱗だね」と褒めてくれた。
彼女は今まで自分の姿をしっかりと見ていなかった。
受け入れられなかったからだ。

彼女は改めて自分の姿を見る。
そこにはきらきらと美しい色をしている鱗の数々
腰から下が魚の尾ひれのように変わってしまっているが、確かに太陽の光を反射して
きらきらと光っている。

自分の姿を少し受け入れることができた彼女は彼と少しずつ打ち解けていく。
彼は海辺に小さな小屋を建てて、二人はゆっくりとした時間を過ごしていた。

小さな島だったが、島にいた人たちもそれなりに受け入れてくれていた。
中には受け入れてくれない人もいたが…
それでも多くの人は彼女を受け入れていた。

そして、彼女は心の安定もあり、能力をある程度制御もできるようになっていた
なので、足も人間の脚に戻すこともできるようになったし
もっていたエフェクトも使えるようになってきていた。

二人は恋人になり、家族になった。
そして深天は生まれた。

三人は幸せだった。
だが、そんな幸せも突然失うことになるとは…。

彼女は美しく魅力的な女性だった
それは顔も歌声も、それに人魚の姿も人間である姿でも

海辺でひっそりと家族三人で暮らしていたが、島の一人の男性が子供ができたと
知ってから異常なほどに執着してきた。
それで終わっていればよかったが、それだけではすまず、鱗をくれだの歌を歌ってくれだの彼がいないときを狙って要求をしてくるようになっていた。

彼女はすべて断っていたし、彼にも相談した
彼はその男性に忠告もしたし、周りの島の人にも相談していた。

だが、止まることはなくついには島の外の人（FH）を連れてきてしまったのだ。
というものの男性はもともとFHの人間で島には研究だってり、調査で滞在していたのだという。

そして、彼女を欲するあまり、強行突破にでた。
二人は深天を絶対守りたいので島の外へ脱出することを決意した。
彼女は獣化して人魚になれるので泳ぐことは容易いが、彼は普通の人間でオーヴァードですらない。
なのでワーディングにあてられて無力化されてしまう。

最後の力を振り絞って彼は深天と一緒に逃げてくれと伝える。
彼女は深天を連れて必死に海へ逃げる

そして彼女は小さな船を作って深天を深天のお気に入りのタオルで包み
遠くの方で見えている島に向かって船を押す。
「どうか、元気で過ごしてね…。私たちはあなたを心より愛しています。」
そう言い残し、彼女は元の島へ戻っていた。

彼を助けるために…

そうして、深天は神輿島へ流れ着いた。
深天は一切知らないし、拾った物部蓮華ですらも知らないお話
ただ残っていることと言えば、タオルに書かれていた名前と彼女が子守歌で歌ってくれていた歌がなぜか深天は覚えていたみたい。

そして足のある鱗のようなあざ…。
二人があのあとどうなったかは誰にもわからない
だって、誰もこのことを知らないのだから。

もしかしたらどこかで生きているかもしれないし
空からずっと深天を見守っているのかもしれない。

PC①：元UGN　神輿島支部所属で、上京した大学生のUGN　エージェント。男性
PC②：神輿島の外の世界のことをあまり知らない、UGN神輿島支部所属のチルドレン。女性
PC③：UGN神輿島支部支部長。
PC④：PC①の悪友でUGN神輿島支部に協力するイリーガル。


◆PC②用HO
ロイス：恋愛　P：執着/N：不快感
カヴァー/ワークス　自由/UGNチルドレン

神輿島支部に所属するUGNチルドレンの君はここ以外の外の世界をよく知らない。
だから君は「自分の知らないもの」を知ることにとても意欲的だ。
最近君は上司である「キャシー・キャラメルポップコーン」より社会勉強の一環として、
マンガやアニメ、小説等を彼女から借りて外の世界について学んでいた。

君が恋愛について思いをはせながら支部へ向かって歩いていると、
海辺へ向かっていたPC①とぶつかってこけてしまう。慌てて手を差し伸べるPC①と、
その手を取る君。このシチュエーションは借りた本で見た「ヒロインが恋に落ちるシーン」とまったく同じだった。

「彼についていけば恋愛を知ることができるかもしれない」と確信した君は、
PC①や彼に好意を寄せる人物たちを観察することにしたのだった。

御身粉岩の一件から一か月。
神興島での日々は相変わらず
平和でちょっぴり騒々しい

しかし、そんな穏やかな時間は突如破られてしまう。

きっかけは一枚の古い写真。
きっかけは二人の襲撃者。

ホワイトヴェノムとは…？
コンとは…？
キャシーとは…？

一体、何者なのか？

ダブルクロス the 3rd edition
夏空ほど遠く高く　アペンドシナリオ
EP.2「揺れる水鏡」

ーーそれでも“私”は生きていく。


◆PC②用HO
ロイス：ハク　P：庇護/N：憐憫
カヴァー/ワークス　自由/UGNチルドレン

君はUGN神興島支部所属のチルドレンで、
新米レネゲイドビーイングのハクの教育係を任されてる。

今日、キャシーが御身粉岩の護送を行う関係で、
彼女が頼まれていた御神輿神社の蔵の整理を
君とハクは代わりに二人で行うになった。

整頓作業は難なく進み、最後の段ボールに手を着けたところで、
君は古いアルバムを見つける。それは百年以上前に撮られている

神興島の写真が保管されていたもので、その中には今と風貌が全く同じ
「キャシー・キャラメルポップコーン」の姿であった。

これはいったいどういうことだろうか？と二人で顔を見合わせていると、
強力なレネゲイド反応とともに二人の襲撃者が島に現れる。

君たちはすぐさま彼らの元へ駆けつけ対峙した。