セッションNo1.2.3.4

今日から実践課程、日記をつけようと思う。
みんなにも配って来たし、ちゃんと書いてくれるといいな。
とにかく…初日から大変だった。本当に一日の出来事…？
レクリエーションは楽しかったけど、まさか全員に見抜かれちゃうなんて…。
雪山は…初めての冒険だった。怖いことも、楽しいこともあった。
Aパーティの人はなんだろう。ブランディーヌさんのことは知ってたし、根は優しいことも知ってるけど…。ヴィオレットさん、怖かったな。
でも、うん。このパーティならやっていけそう。お兄ちゃんと一緒に。
私たちにはこの道しかない。そうだよね、お兄ちゃん。

セッションNo5　依頼の果てまでイッテQ(クエスト)

初めての、冒険者らしいこと。依頼を受けての悪い蛮族退治。
確かに、授業で習った冒険者のお仕事って感じだった。こういうのが多くなるのかな？
ロープから落ちた時、お兄ちゃんが怪我した時、ノヴァ君が危なかった時。
どれもこれも、泣きそうだった。何度も心臓が止まるかと思った。
冒険のどきどきとは違う鼓動で苦しいくらい。それでも、やっぱり感謝してもらえたのは嬉しくて。
カリンさんもダリアさんも、戦い方も考え方も違うけど頼りになって。
冒険は怖いけど、楽しいんだって思えた。きっとあのみんなだから。
それに、お兄ちゃんも少し楽しそうだった。それが一番嬉しいな。

セッションNo6　THE・釣りビジョン

今日は朝早くからブランディーヌさんが寮に来た。（６時！）
なんだろうって思ってたら、近くの綺麗な海に釣りに連れて行ってくれた。
今日は、釣りの勝負がしたかったんだって。
私は体が小さいしお魚に引っ張られたら危ないから、みんなが釣りあげた魚を網で掬ってお手伝いする役。
後はヴィオレットさんが用意してくれたお魚の説明が書かれたメモを読み上げたり、図鑑を見てどのお魚か調べる仕事もした。ブランディーヌさんがいっぱい釣り上げてたから、ちょっと大変だったな…。
みんな、すごい大きなお魚をいっぱい釣り上げてて、感動！
お兄ちゃんも、ノヴァ君と協力してヒラメとかヒラメとか、ウツボとか釣り上げてた！
やっぱりお兄ちゃんはかっこいいなぁ。
でも、そんなお魚を奪おうとしてくる悪い妖精も来ちゃった。みんなで戦って、頑張って倒したけど、お兄ちゃんとノヴァ君は明らかに元気をなくしてた。
ご飯も、食べてくれたか分からないけど…。二人とも、早く元気になってくれるといいな。

お兄ちゃん。私ね、今とっても楽しいよ。
お兄ちゃんが連れ出してくれたからだよ。
お兄ちゃんが一緒にいてくれるからだよ。
だからお願い、そんな悔しそうな顔しないで。
どうしたら、もっと笑ってくれるんだろう。
釣りの時みたいに、楽しそうにしてくれるんだろう。

私が、重荷なのかな。

セッションNo7　バルバロスは通さない

今思い返しても、胸が苦しい。
この熱と鼓動は、私のものじゃない。
私じゃない何かが、私の中で息づいているような感覚。
あの蛇を見た時、一際強く跳ねて、疼いて、苦しかった。
こんなの、お兄ちゃん達には相談できない。迷惑、かけられない。
だってお兄ちゃんも、ノヴァ君も、みんな辛そうな顔をすることが多いもん。
私なんかのために、悩ませるなんて絶対ダメ。

お祭りと依頼のことも書こうと思う。
私は見えなかったけど、みんなの話を聞く限り、ユート君は…。
ひどい、ひどい、なんて残酷なお祭りなんだろう。
知らないで美味しいもの食べてた自分が馬鹿みたい。
それに、あのオーガのおじさんはきっと一緒に生きたいだけだった。
それを私たちが踏み潰してしまったのは、良かったのかな。

セッションNo8　はじめてのおパシリ

ハールーンへの小旅行をした！
アルバーノ先生と、リク先生の気遣いだったらしい。
私たちが、この間の一件がショックだったのを見抜かれてたみたい。
大人の人って…ううん、先生ってすごいなぁ。

ハールーンは凄かった！見るものが全部新鮮で、知らないものばっかりで。
それに、魔法図書館。あんなにマナが濃い場所は初めてだった。
ヒマリさんの目は全てを見透かしているようで、ミステリアスで…ちょっとかっこよくて、どきどきした。
お兄ちゃんも、ハールーン旅行は楽しそうだった。特に、魔道家具を見に行った時！
やっぱりああいうの好きなんだなぁ…。いつかお金を貯めて何かプレゼントできたらいいな。
ダリアさんと二人でいっぱいマッサージ魔動機を見たけど…痛いけど気持ちいい、不思議な感覚だったなぁ…。
あ、そうそう。ヒマリさんから送られてきた魔動ケトル。見た時お兄ちゃんが心の中でガッツポーズしてそうな顔、ちゃんと見たからね！

セッションNo9　しつこいカビの根まですっきりお掃除

みんなに、村のことを話した。
私たちがどういうところで育って、どうしてここに来たのかも全部。
みんなは黙って聞いてくれて、優しい言葉をくれた。
この人たちなら大丈夫だって思えた。

思えるわけないよ。種って何？ラーリス様への供物って何？私の心臓にくっついてるって何？呪いって何？いやだ、怖い。お母さんとお父さんのせいなの？お兄ちゃんがナイトメアだったから私なの？ミルジオ君が言ってたことはどこまで本当なの？学園のこともバレてたし、またいつあんな魔神を連れた村の人が来るか分からない。次はみんな殺されちゃうかもしれない。ノヴァ君も、カリンちゃんも、ダリアさんも、お兄ちゃんも。でも、私だけは殺されずにラーリス様の供物として生かされて。残り二年で、私が私じゃなくなっていく。乗っ取られて行く。種に、供物にされる。怖いよ、怖い。怖いよ。助けてお兄ちゃん。嫌だ、いやだ、いやだ。もっといっぱい生きたい、色んな物を見たい。美味しいものも食べたいし、みんなで楽しいところに行きたい。ゼルダさんにも会ってみたい。色んな服を作りたい。ロドリーさんやジョージさんみたいな、誰かを助けられる冒険者になりたい。ヴェセルカさんみたいな素敵な女性になりたい。アルバーノ先生やリク先生みたいな頼りになる存在になりたい。私がこんなに我が儘だから、ばちがあたったのかな。私が引き寄せたあの魔神に、みんな、ぼろぼろにされて。お兄ちゃんも、傷だらけで。私のせいで。私が生きてるから、ラーリス様が蘇るの？私が種だから、そんな酷いことになっちゃうの？そう言ってた、安全だから泳がせてたんだって。私が死んだら困るんだ、シセス村の人たちは。だったら。

できないよ、怖いよ。ごめんなさい、生きていたくてごめんなさい。私なんかが幸せになりたいだとか、今が幸せだって思ってごめんなさい。誰か、助けて。

セッションNo10　あのバカは何処に行った！

みんな、大好き。

でもこの日記を勝手に見られたのは…うーん…恥ずかしい！仕方なかったと分かってはいるけど…！
でも、私の生き汚い思いも見られたと思うと、ちょっと気が楽になったな。
みんなが私のために動いてくれるのは、とても申し訳ないし迷惑をかけてしまってて辛い気持ちもある。
でも、今は頼ろうと思う。
いつかきっと、みんなが大変な時に恩返しする。絶対に。

セッションNo11　突撃！隣の国のスゴイ里

ウルシラ地方の、アヴァルフ妖精諸王国連邦。里は違うけど、ノヴァ君の本当の故郷らしい。
12年前に悲劇があったことは知っていたけど、ノヴァ君がそれの被害者だってことは知らなかった。
その原因が、学園長先生にもあるってことみたいだけど…どういうことなんだろう。詳しくは聞けなかった。復讐を語るノヴァ君が、少し怖くて。

ノヴァ君が、時々お兄ちゃんみたいに私を見ていた理由も分かった。ノヴァ君にも、私と似た年齢の妹さんがいたらしい。エリーちゃん、か。もし生きてたらお友達になれたかな？

ノヴァ君の復讐、には…どう付き合っていけばいいのか分からない。
私の為に、私の“種”の解呪のために頑張ってくれてるノヴァ君だから、私も恩返しはしたいけど…。復讐って、きっとよくないことだよね？
それに、それを果たしてしまったらノヴァ君は苦しんでしまうと思う。ノヴァ君は優しい人だから、家族や里の人のために人を殺したという事実に。
ノヴァ君のために私にできることってなんだろう。お兄ちゃんに相談してみようかな。

……そういえばお兄ちゃん、妖精さんが化けた私の言葉ですごい顔してたな…。ああいうの、割と好きなのかな？でも、私はあんな酷いこと言えないよ～…！

セッションNo12　お前の父さんの、母さんの、友達の、妹の、友達の、姉さんの、息子の話

今日はユーセイ先生からのお願い…個人的依頼で、リク先生とユキ先生の従兄弟…つまりカリンちゃんとダリアさんの伯従父だっていうラシュタリアさんの行方不明になった原因を突き止めに魔剣の迷宮へと向かった。
基礎課程の時に入った疑似迷宮と比べて一回りも二回りも厄介で、危うく私たちも遭難して迷子になるかと思っちゃった。

原因と思われる魔剣の力で、私たちハールーンのヒマリさんのところに転送されて…そこで、ヴェセルカ学園長のお母さんだって人にも会った。
もう事情は知ってるけど、ノヴァ君が取り乱してしまって…。あの時の私はただどうすればいいか分からなくて見ているしかできなかった。カリンちゃんやダリアさんみたいに咄嗟に止められれば良かったんだけど。

ヴェセルカ学園長とアネモネさんがシセス村に向かって、もう一週間も経つ。
大丈夫かな、二人とも。

セッションNo13　ＶＳカタキ

今日は学園主催のイベントとして、Ａパーティの二人と戦うことになった。
死んじゃう危険はない、エルシー先生に保護された戦いではあったけどやっぱり二人はすごく強くて、ちょっと怖かった。
でも結果的には勝った……でいいのかな？ヴィオレットさんはまだ手加減してたみたいだけど…。

書くか悩んだんだけど、もし私が私でなくなった時のために。誰かに知ってもらえるように、書き残そうと思う。
私はここ最近、よく記憶が飛んじゃう。一人で部屋にいたはずなのにいつの間にかみんなと話してたり、いつの間にか戦場だったりすることが多い。
みんなは私に違和感を持った様子はないから、その間の私はちゃんと私として行動してるんだろうけど、私にその記憶はない。
これが、“種”に乗っ取られていくってことなんだろうか。とても、怖い。
いつか私じゃない私がみんなに危害を及ぼすんじゃないか。私が私じゃなくなっても、誰も気付かないんじゃないだろうか。そういうことばかりが頭の中をぐるぐる回ってる。
２年って話だったけど、私に残された時間は思ったより少ないのかもしれない。
私が私である内に、やるべきことをやらなくちゃ。

セッションNo14　貴方の種はどこから？私はハナから

ブランディーヌさんのお墓参りから帰ってきて、これを書いてる。
ブランディーヌさん。私たちの、大事な友達。また一緒に海に行きたかった。もっと色々遊びたかった。寂しいけど、泣いてばかりいたらブランディーヌさんに叱られそうだから我慢する。どうか、安らかに眠ってね。

ノヴァ君のこと。復讐を…。ヴェセルカ学園長を殺す、ということは思い止まってくれて本当に良かった。
それに、私たちをあんなに大切に思ってくれていたことも、嬉しかった。
なんだか、お兄ちゃんが二人に増えたみたいだ。お兄ちゃんともタイプの違う、お兄ちゃんっぽいノヴァ君。なんだか、エリーちゃんもとても愛されてたんだろうなって想像がつくくらい、甘々だ。我儘が加速しちゃいそう…。
そういえば、ノヴァ君は今まで味が分からないまま色んなご飯を食べてたらしい。でも、お兄ちゃんのカレーのおかげ…と、心境に整理がついたおかげかな？ちゃんと感じられるようになったって。これからはいっぱい、一緒に美味しい物を食べたいな。

でも、ノヴァ君に復讐を唆した黒幕。アネモネさんに命令していたって人が誰なのか、まだ分かってない。
多分学園長や先生たちが聞き出してくれるんだろうけど…。
そういえば、アネモネさんの様子も変だった。大丈夫かな？
それにアネモネさんのあの目、あの視線、どこかで感じたことがあるような…。

……“種”の疼きが激しい。みんなには言えないし見せられないけど、呼吸をするのも辛い。
ブランディーヌさんを贄にしたあの魔神を見た瞬間から、燃え上がるように体が熱い。
なのに、どうしてあんなに、親しみを感じたの？

セッションNo--　幕間

ミルジオ君やレムロー君が夢に出てきた。
確かに、裏切り者は私やお兄ちゃん…ううん、私だ。
私が神様の声を聞いたりしなければ、お兄ちゃんがそんなこと言われることはなかったんだから。
でも、ごめんなさい。私はみんなと一緒に生きたいの。

お父さん、お母さん、今頃どうしてるんだろう…。

セッションNo16　俺たちの戦いは、これからだ！

日記があって良かった。書き出さないと、色んな感情が整理できない。

アルバーノ先生のこと、シユウさんと、デボルさんと、ポポルさんのこと。
そして今の状況のこと、アビスのこと。
でも、それよりお父さんとお母さんのこと。
あれはきっと、魔神の苗床にされてしまっていて…。お母さんは、ラグアドログの生贄にされてしまった。
決して優しくはなかったけれど、それでも私を育ててくれたお母さんとお父さん。こんな形でお別れなんて、考えたくもなかった。
二人にとってはどうでもいいことだったのかな。ラーリス様の降臨が為されれば、私のこともお兄ちゃんのこともどうでもよかったのかな。
そうじゃないって、祈るくらいはしてもいいよね？

ここは、アビス…。壊れた奈落の魔域の吹き溜まりって言ってたけど、どういう場所なんだろう。
ずっと、ずっと、息苦しい。私が自由に歩き回れるのは、この寮の敷地内だけ。
外に出ると、今にも胸から種がその根を伸ばして突き破ってきそうな感覚になる。
それでも、私だけが何もしないわけにはいかない。
大丈夫、大丈夫。我慢すれば、きっと。もうこの苦しさを隠すのにも慣れてきた。大丈夫。

それとは別に、鍛錬が地獄。ペンを持つ手が震えるくらい疲れちゃった。
…でも、色々考えすぎないようにするには、これくらいがいいのかな…。
ねむたい。

セッションNo17　修行パートは読者アンケが落ちる

役に立てた、良かった。
でもちょっと無理をし過ぎたかな。胸の、種の疼きがとっても活発になってる。
ここまで書くだけでも、数回意識が飛んでいる。どんどん、私が私じゃなくなっているんだ。
でも、大丈夫。気を張っていれば痛みも抑えられるし、意識が飛ばないようにもできる。
もうすぐ、もうすぐ、もうすぐなんだ。ここで私が倒れて、私じゃなくなって、完全に種になってしまったら、ここまで手伝ってくれたみんなに申し訳ない。
私は、みんなと一緒に未来が見たい。

一緒に、だよ。

セッションNo19　打ち上げ花火、お前がなるか アイツで飛ぶか

体が軽い、私の中の魔神たちが落ち着いてるのを感じる。すごいな、調律って。
私の中の魔神達を種を覆う器にして、生まれてくるラーリスを閉じ込めて食べちゃう…すごいこと考えるなぁ。
その結果、とんでもない魔神が四体生まれるのにそのリスクよりも私を選んでくれるみんなに申し訳なさと、それ以上に嬉しくて。不謹慎なんだけど。
ブランディーヌさんにももう一度会えたことがとても嬉しい。こんなところなのに、嬉しいことがいっぱいだ。
明日、アビスから出る。あの子の力を借りれば可能なんだろう。
今、上はどうなってるんだろう。少し不安だけど、みんなと一緒ならきっと大丈夫だから。
頑張ろう。頑張る。

セッションNo23　希望の未来へReady steady go!!!!

なんだか、こうして日記を書けるのも久しぶりな気がする。
最近は目まぐるしく状況が変わっていく。時間にしたら、あんまり経ってないはずなのに。
ヴィオレットさんとの因縁に決着がついた…んだと思う。
結局、あの人がどういう人なのか。最後まで知ることはできなかった。
何のために、誰のために戦っていたんだろう。
譲れない何かが、きっとあったんだ。全部片付いたら、話を聞きに行こうかな。

明日で、全て終わる。
やり残したことがないようにしよう。どんな結末を迎えても、後悔しないように。
私は、みんなと一緒に未来を見たい。
最後に、お兄ちゃんと話そう。今日くらいは久しぶりに、一緒に寝てくれるかな？