ランドール地方の一般家庭に生まれた一人っ子。15歳になるまでは特に戦闘の訓練などはしておらず、ハルシカ商協国付近で商売活動を行う両親のお手伝いなどをしながら生活していた。15歳になったころ、彼はかなり商売にはまっており、そういった仕事などを両親から一任されるほどにはのめり込んでいた。そんなある日、いつものように護衛をつけて商売活動を行っていると、蛮族に襲撃される。幸い護衛の力が強く大きな被害は受けなかったが、蛮族と交戦している護衛の一人が、空間を切り裂き力を借りる『奈落魔法』を使用しているのを目撃する。その光景を見てアグサは「現実と奈落の魔域」の境界を直感で何となく理解することが出来た。そのことをその護衛に話すと、興奮した様子の彼女はアグサに対して「奈落使い」としての技術を教えた。アグサも褒められて悪い気はしなかったため、少し頭を抱えながらもなんとか奈落使いとしての技術を少しずつ手に入れていった。そんな調子で思わぬ才能を開花させつつ、今回の商売も無事終えられたと思ったその時...アグサは両親に突き飛ばされ、馬車から転げ落ちた。何をするんだい！と振り向いて反応しようとすると、そこに両親の乗っていた馬車はなく、代わりに、今まで通ってきた道を覆い隠すかのように『奈落の魔域』が発生していた。一緒にいた護衛も、彼に奈落使いとしての技術を師事した彼女しか残っていなかった。両親が奈落の魔域に飲み込まれた事実をうまく認識出来ず、動けなくなっているところに護衛の彼女が語り掛けた。
「さぁ、授業の続きと行こう！お父さんやお母さんを助けるため、今から"君一人で"この奈落の魔域を攻略するんだ！」
この状況に動揺する素振りも見せず、授業など何を言っているんだ。と考えているうちに、アグサは彼女の手によって奈落の魔域に放り込まれる。しかし、奈落の魔域から自力で脱出することは出来ず、両親が無事であることを祈りながら、比較的安全な地帯で縮こまることしかできなかった。
....その後、一か月ほどたったころ、アグサは魔域攻略に来た冒険者たちの手によって救出された。しかし、先に取り込まれていた両親たちは、遺品のみ帰ってくる結果となってしまった。どうやら護衛として雇っていた奈落使いの女は、奈落使いとしての力を高めるため、奈落の魔域攻略を頻繁に妨害しているらしく、今回アグサの両親が巻き込まれた魔域の生成に関しても、彼女がどこか噛んでいた可能性があるらしい。復讐のために力をつけようと奮起しようとしたが、今回の魔域を攻略しに来た冒険者たちに追い詰められた彼女は、自ら命を絶ったという。両親を失った悲しみと、失った原因である相手の自害によるやるせなさで、しばらくの間、彼はまともに睡眠も食事もとることが出来なかった。
　そんな状態から1年ほど経ったころ、表に出ずに会計などの仕事を何とかこなせるようになった彼の元へ、一通の手紙が届いた。その手紙は、彼を救った冒険者のいるギルドから届いたものだった。内容は「１年前、君の両親を助けてあげられなくて本当にすまなかった。その両親の仇といえる存在もすでにこの世にはいなく、苦しい思いをしただろう。そんな君にこんなことを言うのはどうかと思うが、君に私達のギルドの手伝いをお願いしたい。君の力が必要だ。」という内容だった。
　手紙の内容に困惑したアグサだったが、両親の代わりに生きた自分が恩返しするには、自分と同じような境遇の人を少しでも減らすようにした方が良い、と考えた。そうして、生まれ育ったランドール地方を飛び出し、ブルライト地方の『ハーヴェス』に存在する『螺旋の灯火』へと所属することになった。そのため、実は結構古参のギルドメンバーだったりもする
　彼は今でもあの時の行動、助けられなかったことを後悔し続けており、夜は彼しかいないベッドで一人うなされることが多いという。この後悔を少しでも晴らせるように、そして自分と同じ状態の人をこれ以上増やさないためにも、彼は少しづつ冒険を繰り広げ、いつか奈落の魔域の発生を収められるような『最高の冒険者』となって両親に報告するために、今日も冒険へ出発するのだった

　久しぶりに冒険に出たアグサ。バーナード/ルメリア/ホタル/カゼカミ/レイの5人と共に、マガジャハッドへ向かう要人の警護依頼を受ける。道中でマナが付きかけたりメリアミスルトゥの集団相手にかなり苦戦したりしたけど楽しい冒険が出来たと語っている。本人的に一番うれしかったのは出費を大量に超える収入が入ったおかげで財布が悲しくならなかった事らしいが真相は不明