[固定]1."不変の水"式咲ユズリハ　〇P：信頼／N：不快感
[固定]2."シルクスパイダー"玉野 椿　P：尊敬／〇N：脅威
[固定]3.テレーズ・ブルム　〇P：信頼／N：猜疑心
[HO]4."ライトニングボルト"桐生 コウヤ　〇P：友情／N：不安
[PC間]5."悪役令嬢"各務 みやこ　◯P：尽力／N：厭気
[自由]6."請負人"源 遠矢　◯P：感服／N：疎外感
✖[自由]7."ほんの少しの陽だまり"陽溜 桜　P：期待／◯N：邪魔された

コウヤは戻ってきた。皆を守るために仕方なく、リベレーターの名前を捨てライトニングボルトとして使い捨てられるべく帰ってきた。
戻ってきたことは素直に嬉しい。でも、コウヤは悲しそうな顔をする。確かにチルドレンの負担は減ったかもしれない。しかし、ジャームになる危険もある、能力を制御できずに自由を奪われたまま飼い殺し。その現実は何も変わらない。
コウヤはもう以前のようにエフェクトを操り戦うことはできない。もう侵蝕率が限界まで上昇しているのだから。私みたいに強がったって使い捨てになる未来は変わらない。
「俺は使い捨てだ。上に使いつぶされるための道具。だから、戦う。それだけだ」
「お前の…側に私は…」
「あ？お前の面倒は見切れねぇよ。それに俺みたいな使い捨ての道具にはできねぇだろうが」
「使い捨てじゃない。最期まで諦めるな」
「言ってろ。お前には俺の事は一生分かんねぇよ」


トオヤとアスカは凄い仲が良い。ジュースを分け合って微笑みながら話をして。海外での出来事や大会で優勝した時の話。アスカの疑問を一緒に考える。私とコウヤではそういった話をするとコウヤは諦めたように笑って言い負かして話を濁して終わりだ。
チルドレンの私達はあまりにも失い過ぎた。仲間も過去も未来も。非情な現実を前に震えながら祈る。コウヤはそれを否定して世界に挑んだ。私はUGNとしてチルドレンを使い潰す現実を受け入れた。
皆のために。そんな姿を見てコウヤは『お前には分からない』と言ったんだと思う。私は…コウヤもアスカもUGNも皆守りたかったのに。その方法や決意、論理をまったく分かっていない。
コウヤ。お前なら何でも知ってるんだろう？皆を守る方法も、私が独りにならないで済む方法を。お前と一緒の道を歩く方法も。

みやこもサクラも前を見て抗って、手が届かない現実を変えるために。胃を痛めて、身体を盾として。どうすればUGNが必要とされない世界を作れるのか。どうすればUGNを壊せるのか。あぁ私には何も分からない。

RC能力の不安定化が懸念され強度の調整を実施。当該オーヴァードは人格形成期に過酷な環境に置かれたせいか、自己の生存を優先する傾向がある。
もし強大な敵オーヴァードを前にした場合、適宜応戦し、逃走を優先する。しかし、キュマイラの獣性が強く逃走するのは瀕死状態になった時に限る。
チルドレンとして調整したことにより、任務に忠実でRCも安定していた。理性的であり、任務に非協力な桐生嚆矢と同じ環境に投じることで人間としての理性や感性を養うことにも成功。
このチルドレンの初期調整は終了した。
懸念事項は桐生嚆矢の叛逆である。彼に説得されればUGNから即座に逃亡し、彼に手を貸すだろう。その場合ジャーム化プロセスを発動し、処分する。

懸念事項が確認された。桐生嚆矢は”リベレーターズ”を結成。UGNは大量のチルドレンの逃亡により、人員危機に陥った。その上、叛逆聖人イスカリオテの影響化に置かれ、軍事施設から奪取したミサイルによってレネゲイドウィルスの大規模感染を計画されていたことが判明。
軍の超常対策部隊の桐生嚆矢への反応は芳しくない。
金谷リンの運用を制圧戦闘に特化させることに決定。往来の獣性を呼び起こし、理性や感性の排除を行う。

「ん」
「あん？本読むの邪魔するな」
「上司と部下、理想と現実」
「集中できない。寄るな」
「触るな、また砂にする気だろ」
「焦げた火加減が」
「またかゴミ増やすな」
「やめろ汚い鍋使うな。味噌汁作ろうとしたのか？」
「コウヤに食べさせたかった…」
「あのな…料理って馬鹿には作れないんだよ」
「なんだよその目は。作れるに決まってんだろ。W数はこのぐらいか。よっと」
「玉子焼きで我慢しろ」
冷蔵庫から卵を2つつ取り出す。器用に片手で卵を割りボールに入れる。
リズムよくかき混ぜていく。コウヤは面倒くさそうな顔をしつつも、ダマになってないか丁寧に確認する。
玉子焼き用の鍋を取り出しブラックドックの電撃で温める。玉子は徐々に焦げ目がついてくる。弱い電撃を徐々に強くし、火力を調整する。卵はジューと音を立て香ばしい匂いが辺りに広がる。
「今日は料理すんな。料理の基本覚えろ」
一冊のノートが、出てくる。少しの焦げ跡と醤油やコーヒーが染み付いた汚いノートだ。
「勉強しろ」
「分かった。コウヤ一つだけ良いか？」
「…なんだよ」
「あ、ええと………ありがとう」
「………黙ってろ」