「ふははははは！ 素晴らしい！！」

今日も今日とてFHはK市で暴れていた。

「春日くーん、今日も元気だねー」

とりあえず速足で来てみたものの、相も変わらず暴れているのは春日くん。
君、他にやることないのかい？

「む、また貴様か。今日という今日は覚悟しろ」
「そういう君は今日という今日くらい大人しくお縄についてくれないかな？」
「抜かせ！！」
「――1つアドバイスをするなら、こういう時は熱くなった方が負けるんだよ」

――次の瞬間、春日恭二は氷の炎に包まれ氷塊に変化する。

「ま、そういう熱いの僕にはできないから逆に尊敬するよ。
――あー、もしもし？　いつも通り春日恭二の氷漬けができたから運搬よろしく。
今度は逃がさないでねー……と言っても多分逃げるんだろうなー」

――通信をしながら近場にあった自販機でアイスカフェオレを買う(※今は冬場である)

「――へいへい、とりあえず一服しながら監視はしておくから。
なるべく早めによろしくねー」

こうして、僕の平熱、もとい低熱な日常は過ぎ去っていくのだった。

その日は何かを始めるには縁起が悪い大雨だった。
燎里は車椅子の車輪を自らの手で動かしてF市支部のエントランスを出る。
自動扉が開いた時、久しぶりに顔を見る敬愛する師の姿がそこにはあった。

「――久しぶり。ごめんね、巻き込んじゃって」
「い、いえ。私もUGNではやれることに限界があるというのは分かり始めていたので……」
「そっか。お互いままならないものだね」
「これからどこに？」
「まずは、そうだね……。最後に携わった任務で、紛争に巻き込まれている子供たちの話を知ったんだ。彼らはレネゲイドウイルスの実験体にされていた。紛争だけでも大変なのに、実験体にまでされているのはあまりにも救いがなさすぎる」
「そこに、私たちで手を差し出すと？」
「そういうこと。資金的な援助ってなると限りがあるけど、物資の援助ならやりようならいくらでもある。特に、燎里ちゃんの力を借りることができるならね」
「――もちろんです！　私は、元々そういうことのために力を使いたかったので！」
「その返事が聞けて嬉しいよ。向こうに常駐するんじゃなくて日本と行き来することになるし、そういった面でも君の力に頼りきりになってしまうかもしれない。代わりに、語学とか周りの雑事は僕の方でどうにかする。とにかく、足りないところはお互い力を身に着けつつ、気長にやっていこうよ」
「はい！」

そうして、燎里の操縦するヘリに乗り、2人はクロドヴァへと出立した。
自分たちの信念に嘘偽りない行いをするために。