ゆとシートⅡ for DX3rd - ゆと工公式鯖

千本木 燎里 - ゆとシートⅡ for DX3rd - ゆと工公式鯖

可能性の創造者(インフィニット・ライン)千本木 燎里(せんぼんぎ かがり)

プレイヤー:シロ

どきなさい。そこは私が歩む道よ」

年齢
15
性別
星座
獅子座
身長
147
体重
40
血液型
A型
ワークス
UGNチルドレンC
カヴァー
中学生
ブリード
ピュアブリード
シンドローム
モルフェウス
HP最大値
25
常備化ポイント
4
財産ポイント
4
行動値
9
戦闘移動
14
全力移動
28

経験点

消費
+121
未使用
1
フルスクラッチ作成

ライフパス

出自 幼少期の境遇があり、家族にレネゲイドウイルスのことは共有している。
親の理解
経験 生まれつきの虚弱体質の影響で、覚醒まで病院で生活していた。
長期入院
邂逅 N市では玉野椿に力について教わり、K市では氷室活水に精神面での教えを受けた。
師匠
覚醒 侵蝕値
18
衝動 侵蝕値
解放 18
侵蝕率基本値36

能力値

肉体2 感覚4 精神1 社会2
シンドローム1×2 シンドローム2×2 シンドローム0×2 シンドローム1×2
ワークス ワークス ワークス1 ワークス
成長 成長0 成長 成長
その他修正 その他修正 その他修正 その他修正
白兵 射撃 RC2 交渉
回避1 知覚 意志1 調達
運転:多脚戦車5 情報:UGN1

ロイス

関係 名前 感情(Posi/Nega) 属性 状態
師匠 氷室 活水 憧憬 不安
Dロイス 錬金術師 アーマー:装甲+6、シールド:ガード+3
仲間 ルキナ 誠意 敵愾心 「氷室さんのためにも、私のことを絶対に認めさせてやるんだから」
元同僚 アーシュ 連帯感 猜疑心 「相変わらずみたいで、ちょっとホッとしたかも。やることもやってくれるし、信頼できる相手ではあるわね」
上司 七篠無面 好奇心 猜疑心 「面白い作戦と戦い方ね。私の能力とは相性がいいみたいだし、共闘を張るのも悪くない。この人を通して、アリスさんという人がどういう人かはよく分かったのも収穫だったかしら」
仲間 九雀 友情 憐憫 「こっちが怯えてるのが馬鹿らしくなってきたわ。私の防御を貫ける人はいなさそうだから、一緒に居れば守ってあげるわよ。――後、もしUGN辞めたくなったら相談には乗るから……」
元上司 ラクーシャ 懐旧 敵愾心 「久しぶりに会ったと思えば、相変わらずのご様子で……。最初は気おされていたけれど、鍛えてもらった今の私なら、あなたにも負ける気はしないわ。それと、私は外でやりたいことを、一緒に動きたい人とやってるの。勧誘は謹んでお断りするわ」

エフェクト

種別名称LVタイミング技能難易度対象射程侵蝕値制限
リザレクト 1 オートアクション 自動成功 自身 至近 効果参照
(Lv)D点HP回復、侵蝕値上昇
ワーディング 1 オートアクション 自動成功 シーン 視界 0
非オーヴァードをエキストラ化
アーマークリエイト(7/5)(MAX) 7 セットアッププロセス 自動成功 自身 至近 2
IA準拠。鎧を作成して自分とモーフィングロボに装備させる。データは防具参照。
砂の結界(MAX) 1 オートアクション 自動成功 自身 至近 2
1メインプロセス1回。カバーリングを行う。行動済みでも使用可。未行動の場合、行動済みにならない。
砂の祝福(1/3) 1 オートアクション 自動成功 自身 至近 4
1シーン1回。砂の結界のカバー範囲を【LV*10】する。
ディスマントル(7/5)(MAX) 7 オートアクション 自動成功 単体 視界 3
1ラウンド1回。対象が行うダメージロールの直前に使用。そのダメージを-【LV*3】する。
砂の盾 1 オートアクション 自動成功 単体 至近 1
ガード宣言時に使用可能。 このガード中、ガード値を+[LV*2]。
ダブルクリエイト(MAX) 1 マイナーアクション 自動成功 単体 1
(100%を超えてから使用)シールドを2つ作成。
シールドクリエイト(7/5)(MAX) 7 マイナーアクション 自動成功 自身 至近 3
IA準拠。盾を作成して自分とモーフィングロボに装備させる。データは防具参照。
ヴィークルモーフィング(5/3)(MAX) 5 マイナーアクション 自動成功 自身 至近 2
運転:多脚戦車を指定。戦闘時は基本モーフィングロボを生成。
物質合成(MAX) 1 メジャーアクション 自動成功 自身 至近 5 100%
1シーン1回。シールドを合成してガード値を強化
巨匠の記憶(1/5) 0 メジャーアクション 効果参照 2
<運転:><芸術:><知識:><情報:>と組合せて使用可能。判定を+【LV】D
コンセントレイト:モルフェウス 0 メジャーアクション シンドローム 2
C値-3

コンボ

セットアップ

組み合わせ
アーマークリエイト
タイミング
セットアッププロセス
技能
難易度
自動成功
対象
自身
射程
至近
侵蝕値
2
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100未満
21+6
100~
23+6
160~
25+6
220~
27+6

侵蝕率管理用。
攻撃力に侵蝕率ごとの装甲値を記載
Dロイス補正で+6

マイナー

組み合わせ
シールドクリエイトヴィークルモーフィング
タイミング
技能
難易度
対象
射程
侵蝕値
5
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100未満
26+18+3

侵蝕率管理用。
100未満でしか使用しない。
(ガード値+装甲値)
Dロイス補正で+3

シールド練成

組み合わせ
(マイナー)シールドクリエイトダブルクリエイト (メジャー)物質合成
タイミング
技能
難易度
対象
射程
侵蝕値
9
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
(29+3)*2

侵蝕率管理用。
100%到達時に使用。
ガード値は攻撃力に記載。

カバーリング

組み合わせ
(砂の祝福ディスマントル)砂の結界砂の盾
タイミング
オートアクション
技能
難易度
対象
射程
侵蝕値
3
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100%未満
100%以上

トータルの防御点はメモで管理。
オートエフェクトの侵蝕率管理で使用。
()内:(4+3)

100未満
装甲値(18+21+6)+ガード値(26+3+2):76
エフェクト軽減:21
通常時のトータル:97軽減

100~
装甲値(18+23+6)+ガード値(32*2+4):115
エフェクト軽減:24(100%)
100%以上のトータル:139軽減

160~
装甲値(18+25+6)+ガード値(32*2+6):119
エフェクト軽減:27
100%以上のトータル:146軽減

220~
装甲値(18+27+6)+ガード値(32*2+8):123
エフェクト軽減:30
100%以上のトータル:153軽減

通常攻撃

組み合わせ
巨匠の記憶コンセントレイト
タイミング
メジャーアクション
技能
運転:多脚戦車
難易度
対決
対象
単体
射程
至近
侵蝕値
4
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100%未満
2+1
8
5
15
100%以上
2+2
8
5
15

ガード特化構成にしたため、現在は使用不可。
レベリング次第で復活。

武器常備化経験点種別技能命中攻撃力ガード
射程解説
シールド 白兵 〈白兵〉 0 0 LV*3+5 至近 ロボに装備させるビッグなやつ
アイテムアーカイブ適用
防具常備化経験点種別行動ドッジ装甲値解説
アーマー 防具 0 0 LV*2+7 ロボットを作るまでのつなぎ
ロボットを作った後は装備させる。
ヴィークル常備化経験点種別技能行動攻撃力装甲値全力
移動
解説
モーフィングロボ ヴィークル 〈運転:多脚戦車〉 -3 15 18 50 強いぞ!かっこいいぞ!

経験点計算

能力値 技能 エフェクト アイテム メモリー 使用総計 未使用/合計
0 5 245 0 0 250 1/251
侵蝕率効果表

現在侵蝕率:

容姿・経歴・その他メモ

オーヴァードに覚醒するまでは生まれ持った虚弱体質に苦しめられてきた。
覚醒後も足は動かないままだったが、移動補助のヴィークルを適宜製作できるようになったため移動には困っていない。

F市に来てからは元来の気弱な性格を捨て、少々勝気な性格で振る舞うようになった。

※F市から出た後
両親には海外留学をしているとして、話を通している。
その支援者として、氷室が名前を貸している。

履歴

千本木燎里という少女の日常と旅立ち


災害、紛争、事故、殺人。
画面の向こうの世界ではいつも誰かが死んでいた。
私は幼いながらに「どうして?」と疑問を浮かべたものだ。
災害や事故はこの際仕方がないだろう。
いつどこで起こるか分からないものなのだから。
しかし、紛争や殺人事件はどうだろうか。
どうして、人と人が傷つけ合わないといけないのだろうか?
どうして、関係ない人が巻き込まれなければならないのだろうか?
どうして……私にはこの人たちを助けることのできる力がないのだろうか?

『私、千本木燎里は生まれながらに虚弱体質であり、そのような力を求めることはおろか、一般人と同じ生活を望むことすら困難である』

幼少期の私にとっては、テレビと窓の外に見える景色が全てであり、緩やかに死を待つだけの生きる屍と同じだった。
たまにどこかからやってくる喋る猫さんが話し相手になってくれていた記憶があるけれど、具合の悪い日に見ていた夢なのだろう。
とにかく、オーヴァードになるまではそれが私の全てだった。

ある日の夜半、私にはいよいよ死の気配が迫ってきていた。
モニターが報せる警報に気づいて大慌てでやってきた看護師さんとお医者さん。
朦朧とした意識の中で聞く周囲の会話から『ああ、もうダメなんだ』と死を悟った。
その瞬間、意識が突然明瞭になった。
あまりにも突然のことで数回瞬きをした後、上半身を起こすと周りの人たちは驚いて飛び跳ね、『奇跡だ……』と口々に呟いていた。
それまでの病状が嘘のように快復し、経過観察を以て、私は長らくお世話になった病院を後にすることとなった。
ただ、元々動かなかった両足はこの奇跡でもどうにもならなかったらしい。

もうすぐ退院となる時期に、ある男の人が病室を訪ねてきた。

『突然失礼します。
千本木さん、あなたにお話があって参りました』

男の人はキリタニと名乗っていた。
キリタニさんの話によると、私の身に起きた奇跡はあるウイルスが原因とのことだった。
そのウイルスは感染者に超人的な力をくれる。
だから、私にその力の正しい使い方を身につけてほしい、と。

私は大喜びで力の使い方を教えて欲しいとキリタニさんに返した。
これで、画面の向こうで困っていた人たちをきっと助けることができる。
そんな夢と希望に溢れた少女、千本木燎里の理想はここで終わり、待っていたのはどうしようもない現実だった。

少女の願いと現実(1)


ー2年後ー

N市での研修を終え、UGNチルドレンとして活動を始めてしばらく経つ。
幼い頃の願いというものは、年月が経っても心のどこかにあり続ける。
当然、私の願いは今でも変わらない。
変わらないが、気持ちは揺らぐことがある。
UGNにいればオーヴァードに襲われる人たちを助けることができる。
しかし、オーヴァードの対処にだけ追われる日々では、他の国で起きてる出来事には当然関与できない。
UGNのエージェントとして活動する以上、下手な行動を取ることもできない。
UGNから離れる選択を取ることも当然できるが、私1人でできることなど高が知れているだろう。
そんなモヤモヤとした考えが(おり)のように心に溜まっていく。
一時的な戦力補填としてK市支部に向かう車の道中で、いつものように私の思考はぐるぐると回っていた。

――ふとした時に重い思考に耽ってしまうのは私の悪い癖だ。
そのせいで反応が一瞬遅れてしまったのは大きな失態だったと言える。
ワーディングを感じ取った次の瞬間、私の視界は上下が逆さまになっていた。
次いで体を襲う鈍く強い衝撃に息を詰まらせる。


――ッ!?」

思考が正常に戻った時、乗っていた車はひっくり返り潰れていた。
幸い運転手は気絶しているが無事なようだった。

――彼をこの場から逃さなければ。

そんな思考とは裏腹に、体は変形してしまった車に挟まれて身動きがうまく取れない。
車を砂にして脱出しようと考えたが、車の上に瓦礫が積み重なっていれば彼の命を今以上に危険に晒してしまう。

――さて、どうしたものか…。

ここで思考にハマってしまった私は被害者の救助に意識を割かれて、事態の元凶となった存在のことを忘れていた。

瞬間的なワーディングの発生、周囲を巻き込む大規模な事故。
この2点が組み合わさる以上、FHないしはジャームによる被害だということは分かりきっていたというのに。

不意に私の視界に一つの影が映った。
一言で表すなら正気を失った異形。
そのジャームは獲物として捕捉した私たちの方に、千鳥足のようにフラフラとした足取りで近づいてくる。

取らなくてはならない選択肢があまりにも多く、私の脳内は白く染め上げられた。

――ああ、こんなところで私は終わってしまうのか。
――病室という鳥籠からようやく抜け出したばかりで、まだ何も成せていないというのに。

その考えを止めてくれたのは1人の男性だった。
彼は颯爽と姿を現すとジャームに触れ、一瞬で相手を氷の彫像に変えたのだ。
サングラスの下の表情を変えることなく、事も無げに敵を制圧したその人は、一歩遅れて私たちの存在に気付いたようだった。

「おっと、大丈夫かい? ……っと、今ので気絶していないところを見ると君もお仲間かな? 手を貸そうか?」
「あ、その、私よりも運転手を。私は大丈夫ですので」
「確かにその方が良さそうだ。見ない顔だけど、ひょっとして外の人?」
「N市支部から戦力補填として派遣されてきました……って言っても説得力ないですよね……」
「まあ……運がなかったね。とりあえず、生きて合流できたことを喜んでおきなよ」

他愛もない会話をしながら、彼は運転席から運転手を引きずり出した。
見たところ、やはり外傷の類はなさそうだ。
それを確認したところで、私は車を砂に変え、手の力でどうにか這いずり出す。

「足、怪我してるのかい?」
「いえ、これは元からで……」

心配させてしまうのも申し訳ないので、いつものように車椅子型のユニットを生成し、足を確保する。

「改めて、助けていただいてありがとうございました。
私は千本木燎里と言います」
「僕は氷室活水(ひむろかつみ)。これからよろしく」

――氷室さんという存在は私に大きな変転をもたらすことになるのだが、それはまた別のお話。
――改めて思い返してみると、この出会いも私にとっては大きなきっかけではあるものの、精神的な成長を促すものに過ぎなかったのだ。

少女の願いと現実(2)


K市支部に案内されたところで、そのまま氷室さんが内部の案内を担当してくれた。
一通り設備を見て回ったところで、休憩室で一休みをしていると、先ほどの彼の戦いをふと思い出した。

「氷室さんは……どうしてUGNのエージェントになったんですか?」
「おお? また唐突な質問が出てきたね」
「その、実は――

自身の身の上を語ると、氷室さんは目を丸くしていた。

――何というか……言葉が出ないな。
そんな境遇にあったのに、君は今の道を選んだのかい?」
「選んだと言っても、私はまだ何も成してませんから。
ああしたい、こうしたい、ああなれば、こうなればの夢や理想を並べ立てているだけです」
――そういうことであれば、僕の考え方の話をしてあげよう。
それが燎里ちゃんの質問への回答にもなるだろうしね」
「考え方、ですか?」
「今の話を聞いた上でこの話をするのは申し訳ないけど、僕は恵まれた環境にいたんだ。
親が資産家だったから習い事はいくつもやったし、欲しいものは大抵手に入っていたと思う。
そんなに多くを欲しがったかと言えば、色々なことに触れすぎてその分熱意を失っていったから何とも言えないんだけどさ。
ありとあらゆる熱意を失っていった結果、僕に残ったのは1つの考え方だった。
燎里ちゃんはノブレス・オブリージュって知ってる?」
「いえ、初めて聞きました」
「簡単に言えば、お金だったり権力を持つ者はそれに相応しい義務を持つってところかな。
俺は財力や権力に執着はない。
でも、ひょんなことからこのオーヴァードの力を手に入れてしまった。
――力を持つ者には相応の義務が生じる。
であれば、僕はこの力を平和のために使うべきだと思うんだよね。
そして、その利害が一致したから僕はUGNにいる。
逆に言えば、UGNという組織自体にはそれほどまで執着はないのかもしれないね。
僕のやりたい活動はイリーガルでもできることだ。
でも、ここでの関わりも侮りがたく魅力的だから、僕はここにいるんだと思う」
「関わり、ですか……」
「逆に僕から聞こうか。
燎里ちゃんは理想のためにどうしたい? どうなりたい?」
「私は……正直なところ分かっていません。
画面の向こうで広がっていた惨状を、少しでも変えていくために力を使いたい。
そのためにはやるべきことが多すぎて何から手を付けるべきなのかが見えてこない。
――きっと……私には理想しか見えていないんだと思います」

その言葉を聞いて、氷室さんは優しく微笑んでいた。

「理想しか見えていないのなら、反対にゴールはしっかりと見えているってことじゃないか。
燎里ちゃん、今の君に足りないのはきっと経験なんだと思う」
「……そうですよね。まだまだ未熟な私じゃ――
「卑下する必要はない。君は人に胸を張って誇れる立派な目標を持っているんだ。
何よりも、まだまだ中学校生活も半ばの人間が世界を知った気になるのは思い上がりが過ぎる。
――ああ、ちなみに今のは僕への戒めでもあるから重く受け取る必要はないよ。
人間誰しも必要なのは経験だ。
自分がどこまでやれるのか?
一人でやれる限界は? 人数が増えたら?
自分の得意なフィールド、苦手なフィールドの境界は?
挙げていけば切りがないけれど、そういうのを判断する根拠は全てその人間が(こな)してきた経験だ」

彼はサングラス越しではあるが、真っ直ぐと私の目を見据えて言葉を紡ぐ。
その一つ一つが驚くほど自然に私の中に溶け込んできた。
――違う。きっと答えは自分の中にはあったのだ。
輪郭を失っていた答えに、氷室さんは明確な形を与えようとしてくれている。
ただそれだけのことなのだろう。

「まずは広い世界に目を向けるより、自分の手の届く範囲から。
慣れてきたら少しずつ自分の手が届く範囲も広がってくるさ。
燎里ちゃんの理想を叶えるためには遠回りになるし、その間も葛藤は続くと思う。
でも、階段を飛ばして先に進んだところで、そこで得られる結果は自身を滅ぼすものになる可能性が高い。
大義を成すのであれば、何はともあれ急がば回れってね」

望み求める未来のために


ー1年後ー

『燎里ちゃんの願いは僕も興味がある。
言っちゃえば、僕も目指すところはそういうことだろうからね。
だから、その時が来たら理想のために頑張ろうじゃないか。
ま、僕はそういうの似合わないキャラだけどね』

K市での任務が終わったところで氷室さんはそんなことを言っていた。
きっといつかそんな日が来るのだと、私は心のどこかで期待しているように思う。

――まずは手の届く範囲から。

彼から貰った言葉は私の心に活力を与えてくれた。
大きな目標に対して、最初から全てをできる人間なんていない。
だったら、私もできることから経験を積み重ねていくだけだ。

『縮こまっているのも勿体ない。
もっと強気に胸を張って生きていくと良いよ。
君はもう病室なんて狭い世界から抜け出したんだから。
君は君を自由に生きるべきだ』

これからお世話になる支部は中々大変な場所だと話を聞いている。
うじうじして前に踏み出せないような生き方をしていてはダメだ。
私は理想を忘れないままに、もっと貪欲に経験を重ねていかなければダメなんだ。

目の前に聳え立つF市支部は一見すると聳え立つ壁のようにも思えた。

――いいや、この壁を乗り越えて私はさらに先へと進むんだ。
――私が求める理想のために、背中を押してくれたあの人に誇れる自分であれるように。

琥珀の輝きは闇か光かEnd後


『僕の活動はイリーガルでもできることだからね』

F市での任務を繰り返していく内に、氷室さんが言っていた言葉の意味が少しずつ分かるようになってきた。
この支部でも人を助けることはできる。
この支部のトップである、ラクーシャ支部長にも彼女なりの正義があるということも理解はできた。

――でも、理解はできても納得はできない。

彼女の正義の在り方は歪だ。
そして、あの支部の構造も、凡そ普通のものではない。
N市とK市で研鑽を積んだ身だからこそ分かる違いかもしれないが、あの支部ははっきり言って異常だ。

私は私の正義のために、1人でも多くの人を救い、手を差し伸べるために心血を注ぐという目的のために動きたい。
しかし、ここで活動をしていると不意に思う。
今のこの場所ではその願いを満足に叶えることはできないだろう、と。

時間を重ねるごとに目的と現実の乖離に、その考えが浮かぶ機会も増えてきた。

――私は、このままUGNという場所で時間を徒に消費し続けて良いものなのか。

その回答をあの人に委ねることもできる。
でも、それはきっとずるい行為なのだ。
あの人の出した回答であれば、きっと私はそのまま受け入れてしまう。

だからこそ、私は決めた。
もう少しだけ、この支部とUGNの動向を見極める。
私自身の考えと決定的に違うものが見つかったのなら、その時からUGNを離れることを視野に入れよう、と。

守るための力を (『Re; La Porte de L'enfer』前日譚)


「……ハァ……ハァ――
「よし、今日はここまでにしておこうか」

息も絶え絶えな私と対照的に、氷室さんはケロッとした様子でそう口にした。
顔を合わせなかった時間の中で、この人はいったいどれほどの経験を積んできたのだろう。
K市での時間を思い起こせば、その差の大きさに途方もない研鑽を重ねてきたことがよく分かる。

「話は小耳に挟んでいたけど、K市を出てから面白いスタイルを確立したみたいだね」
「……これだけだとまだ足りないんです。
F市で当たっていた任務ではどうにかこれでもやれていました。
ただ……すべてに対応できていたかと問われれば、否定を返すしかありません」
「それはきっと、やりたいことに対しての意識の問題だね。
燎里ちゃん、君はまず自分の強みを大きく伸ばす必要がある」
「強み、ですか?」
「君は自分が過酷な境遇で過ごしてきたにも関わらず、他者に手を差し伸べられる素敵な子だ。
時には、攻撃する力も誰かを守るために必要になる。
だけど、今は何よりも誰かを守ることに先立って、自分を守るための力を伸ばした方が良いと思う」
「でも、それだといざという時に……」
「そのいざという時に燎里ちゃんが動けなかったら本末転倒でしょ。
何より、君が折れなければ、それだけで勝機が0になる事態は回避できる」
「…………分かりました。より強固な盾を、より堅牢な鎧を、私自身が砦になることをイメージしてみます」
「うん。ただ、それは明日からだね。
休むことだって重要だよ。
僕たちは力に呑まれれば簡単に人の道を外れてしまう。
そのことを忘れないように」
「はい、分かってます」
「守備の練度が一定以上のラインを越えたら、その時は攻撃の指南もきちんとしてあげるから。
だから、焦らずゆっくり行こうよ。
攻撃に関しては僕が専任できるし、時間もたっぷりあるんだからさ。
――そうだね。まずは、僕の攻撃を受け止めきれるようになるところを目指そうか」
「ひ、氷室さんの攻撃をですか……」

流石にこの言葉には顔が引きつってしまった。

それからしばらく、氷室さんの攻撃を受け止める訓練が続いた。
達成したところで気付いたが、この指導はかなり的確なものだったと思うし、無理難題を押し付けられた訳ではなかった。
事実、私の能力は氷室さんの攻撃をきちんと受け止められるまでに成長したのだから。

時にはただの少女として (『Re; La Porte de L'enfer』後日譚)

気怠さの中で目を覚ますと、既に日は高いところまで昇っていた。
日本で長い期間を過ごしてしまったため、クロドヴァに帰ってきてから少し時間の感覚が狂ってしまっている。
そんなことを寝ぼけた頭で漠然と考えながら、燎里は車椅子に乗ってリビングへと向かった。

「おはよう。疲れは取れたかい?」

寝室から出てきた燎里に、氷室は薄く笑って声をかける。
そして、タイミングよく淹れていたのか、マグカップにコーヒーを一杯注いで燎里に手渡した。

――ありがとうございます。体の方は、ちょっとまだ本調子ではないですね」
「無理もないさ。昨日聞かせてもらった話の限りじゃ、僕が経験したアズールベースでの一件よりも、さらに過酷な事件に身を置いていたみたいだからね」

そう言いながら、氷室はまだ寝癖の残る燎里の頭を優しく撫でる。

「本当によく無事に戻ってきてくれた。最初に送り出した時、君なら心配はいらないと思っていたけど、今回の事態は僕の想定をはるかに超えていた。一歩間違えれば命を落としてもおかしくない話だったんだ。……もう少し、僕も危機感を持つべきだったね」
「氷室さんが鍛えてくれてなかったら、本当に命を落としていたかもしれません。でも、この力があったから、私はそれを拠り所に頑張れたんです。全部、氷室さんのおかげですよ」
「これでも結構責任を感じているんだよ。こうも真っ直ぐに言われると余計に罪悪感を感じちゃうね……」

苦笑しながら、氷室はテーブルに戻る。

「そう言えば、ご両親には会ってきたのかい?」
「いえ、昨日は一刻も早く心の安寧が欲しかったので、作業が終わったところですぐに戻ってきましたから。それに、この半年はずっとあの化け物たちを警戒していたので、実家に戻ってゆっくりするということはあまり考えていませんでした」
「そっか」

燎里の返答に尤もらしさはあったが、氷室はどこか寂しさを感じた。
親元を離れて危険と隣合わせの戦場に身を置いている以上、人を超えた存在と言えど、いつ命を落としてもおかしくはない。
更に言えば、今回彼女が関わった一件こそ、そう言った類の案件だった。

――ここだけじゃちょっと足りないか」
「何か言いましたか?」
「日本での仕事ってまだ残っているよね?」
「そうですね。渋谷の消失、C区の壊滅的な被害、この2点を復旧・復興させるとなると、時間はかかりますし、やることも問題も山積みです」
「そしたら、僕も一緒に行くから、暫くは日本での生活に戻ろうか。クロドヴァも今は比較的安定している。離れることに不安はあるけど、祖国を放っておいて他国の心配をするっていうのも薄情だろう?」
「確かにそうですね。元々戻る予定はありましたけど、氷室さんも一緒に来ていただけるなら心強いです」
「まあ、僕の力は作業には向かないから、治安維持への協力くらいしかできないけど。さて、そうと決まれば出発だ。いつでも戻ってこれるけど、戻ってくるのも手間だから忘れ物がないように準備しないとね」

氷室に頷きを返すと、燎里は空になったカップを洗い、寝癖を直しに洗面台へと向かった。

***

数時間後、2人の乗ったロボットは日本の上空を飛んでいた。
コックピットで操縦桿を握りながら、燎里は氷室に目的地について確認をする。
C区や渋谷を目指すものと考えていた彼女の不意を突くように、氷室の口からは意外な場所が飛び出した。

「まずはF市に向かってもらっていいかな? ちょっと野暮用があるんだ」
「……F市、ですか?」
「露骨に顔を顰めたね。うん、まあ、気持ちは分かるよ? とはいえ、僕も旧知の相手に挨拶やお礼くらいはしておかないといけないと思ってさ」

そんな話をしていると、2人はワーディングを感じ取る。
直後、前方に見え始めていたF市支部のビルから、壁を突き破る様にレーザーが飛び出した。

「……君、よくあの支部で生活できたね」
「私も、何であそこに居られたのか全然分からないです」

頭が痛そうな表情をしつつも、燎里はレーザーによって出来た壁の穴に向かって前進する。
そして、高度が下がってきたところで光学迷彩を起動し、ロボットを周囲の風景に溶け込ませた。

――どうやら懐かしい顔がやって来たようだな」

氷室がコックピットから外に出ると、ラクーシャはいつも通り澄ました顔でそう口にする。

「やあ、どうも。今回はかなり大変な思いをしたみたいじゃないか」
「まあ、確かに厄介な相手ではあったが、どうということは無い。神殺しも、成してしまえばただの語り草の1つに成り下がるだけだ」
「なるほどね。君のそう言うところは相変わらずだ」
「ところで、何の用だ? 私はこれでも忙しい身だ。冷やかしなら他所へ行ってもらおうか」
「ああ、そうだね。こっちもこの後予定があるから、できるだけ手短に行こう。今回は随分と燎里ちゃんがお世話になったみたいだね」
「ああ、中々優秀な人材に鍛え上げた様子だな。私の下で働いていた時と比べて見違えるほど腕を上げていた。ただ1つ残念な点を挙げるとするのであれば、私の勧誘を断ったことだろうな」
「僕としても、彼女の成長は喜ばしい限りだし、君がそう言うなら間違いないだろうね。後、燎里ちゃんの意思は当然尊重するつもりではあるけど、彼女は僕の大事なパートナーだ。僕としても、そう簡単に譲るつもりはないよ」
「そのようだ。やつも貴様の下に戻るの一点張りだったからな。随分と懐かれたものだ」
「ま、代わりと言っては何だけど――

そう言って氷室は懐から取り出した名刺サイズのカードを凍らせると、ラクーシャに向かって鋭く投げつける。
ラクーシャはそれを指の間で挟んで受け取ると、内容に目を落とす。

「日本での僕の拠点と連絡先だ。これからしばらくは僕たちも復興に力を貸す。その過程で、力が必要になったら遠慮なく声をかけてもらって構わない。その時は、今回のお礼を兼ねて僕が直接力を貸そう」
――ふむ、任務をこなしただけではあるが、臨時の報酬としては申し分ない。その時が来たら、全身全霊を以って働いてもらうとしよう」
「お手柔らかに頼むよ。それじゃあ、僕たちはこれで」

再びコックピットに氷室が戻ったところで、燎里はホバー状態を解除して発進する。

――あの、さっきの話って……」
「ん? ああ、言葉通りだよ。僕も君の存在には助けられている。君の心が変わらない内は、これからも力を貸してくれると嬉しいな」

返答はなかったが、燎里の少し照れた様子を見て、氷室は満足そうに席へ着いた。

「それと、次の目的地は――

氷室が口にした場所を聞いて、再び燎里は驚いた表情を見せる。

「どうして……」
「僕が行って欲しいって思ったんだ。今はその時じゃないって思うなら、そのままC区に向かってもらって構わない」
「…………いえ、お言葉に甘えさせてもらいます」

示された目的地に到着し、燎里はロボットを解体すると、いつもの車椅子を作り出す。
流れのままハンドリムに手をかけたところで、氷室がそれを制止し、手押しハンドルを掴んだ。

「車椅子の時くらい手を貸すよ」
「ありがとうございます」

どこか緊張した面持ちの燎里を後押しするように、氷室は建物に向かって歩みを進めていく。
そして、家の前に到着したところで、彼は間髪入れずにインターホンを押した。
少し間が空いた後、勢いよく扉が開き、驚いた様子の両親の顔が見えたところで、燎里は満面の笑みを浮かべた。

――ただいま!」

セッション履歴

No. 日付 タイトル 経験点 GM 参加者
フルスクラッチ作成 50
1 琥珀の輝きは闇か光か 35 デアドラ マメモクロレラあろわなiro
作成レギュ:初期経験点180点
FoR Part1 GM経験点使用 36
re la porte用に270点まで使用 シールドクリエイト+6、ダブルクリエイト、物質合成取得、コンセントレイト-1、巨匠の記憶-4

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