FHチルドレンの'ナイチンゲール'と敵対していた頃の彼女は「みんなの日常を脅かす者」だったのに、面影島で高校生の小鳥遊小夜として出会った彼女は「自身の日常を守る者の1人」なんだよね。声と平穏に暮らしたいだけなんだったらこのまま見過ごして、霧谷さんには適当に誤魔化そうって、思ってたんだけどなあ。
小夜ちゃんは今の生活を楽しんでいたのに、声くんのこと忘れちゃって本当に幸せなのかな。大切な人と離別する苦しみや悲しみはとても辛いけど、その存在すら忘れちゃうなんて。忘れた人はそもそも忘れたことを自覚出来ないっていうのがやなとこだよね。ひとまず、黄泉返りやオモイデ様のこと、もっとよく調べないとどうにもならないか。
相変わらず耳鳴りはする、むしろ日織と再会してからちょっと酷くなってない？気のせいだといいんだけど。少しでも和らぐようにって日織がくれた大事な耳飾り、気休めかもしれないけど付けておこうかな。落として失いたくないから持ち歩いてはいたけど、この島に日織がいるなら全力で止めたいから。

オモイデ様について調べてた冬日ちゃん、七姫さんも黄泉返りしてしまった。いつかオモイデ様の祟りで僕達も同じ運命を辿る可能性だって有り得る話なのかも。ただ、彼女らと違って僕達はオーヴァードだ。…まあ、でも一応遺書でも残しておこうかな、こんな島じゃ届くかすらわからないけど。
UGNに非オーヴァードの協力者がいるんだから、情報が少ない面影島でだって協力関係にあってもいいと思うんだよね。あと、「死者に対する思い」を持ち続けている人間がいるから黄泉返りが発生する、そう霧人さんが言ってた。小夜ちゃんは僕が想うから、ああやって殺し合いをしてしまうのかもしれない。
つい最近日織がクロックメーカーと面影島で見かけられたらしい。都築京香の右腕と一緒にいたんだったら、あの日織とは別なのか…？ジャームになった彼があの頃のように優しく話しかけてくるなんて有り得ないんだ。そういうところは少しだけ、ブラックレインの気持ちがわかるかも。なんてね。
日織を大事に想ってないなんて有り得ない。やっと止められると思ったのに、彼の言葉に耳を傾けてしまいそうになるなんて、僕も気が緩んじゃったのかも。あの日のように日織と居られたらって思っちゃった。…まあ、金緑くんが近接戦闘タイプだから僕と噛み合うっていうのは事実だけど。彼なら感情に左右されず僕を止めてくれると信じてる。さすがに支部長や真柴さんに頼むのは残酷かなって。
小夜ちゃん、あの時一瞬だけ記憶が戻った？「プランナーに気をつけろ」って、とても嫌な予感がする。彼女の右腕も来ているなら、この島で何かを企んでいる可能性は高いんだろうな。日織がそれに加担して、金緑くんのことをよく知っているような口ぶりだったけど上手く聞き出せなかった。早く支部長や皆に相談しないと。

誰かがこの遺書を見ているなら、僕の家族に渡して欲しい。ライバルを追いかけて禁忌に踏み入れて、ジャーム化してしまったのか死んでしまったのかはわからないけど、とにかく僕にはもう正しい判断ができる状況じゃないんだとおもう。まあ、きっと金緑くんがどうにかしてくれたと願ってるよ。
…うーん、上手く書けないや。これはボツかな、後で捨てておこう。

ついに島の住人に嫌われちゃったっぽい？変な動きは見せてないつもりだったんだけど。霧人さんがいうなら事実なんだろうな。…信用しすぎることは控えろっていうけど、霧人さんだって島の住人だから警戒はちゃんとしてるよ、ちゃんとね。縁切りの祭、名前は物騒だけど祭り自体は楽しみ。美月ちゃんも真柴さんも、小夜ちゃんだって浴衣姿似合うんだろうな。
って、お祭りを楽しめたのは前半だけ。せっかく小夜ちゃんと楽しんでたのに、急に村人たちに命狙われちゃって。霧人さんのこと、僕だって信じたい気持ちはあったよ。まあ、ジャームだって言われたらなんか納得しちゃった。亡くなった傷無ちゃんのことを想う気持ち、それって日織が僕に抱いているものと同じなのかな。
日織は僕と一緒に過ごすために手を汚してきたらしい。そんなの僕だってずっと一緒にいたいに決まってるじゃないか。ジャームとしてずっと生きたまま囚われている日織が籠の鳥なんだろ。僕だって叶うならずっと相棒のままがよかった。でも今は親友として、君を止めなくちゃいけないんだ。

オモイデ様の記憶の中、みんながみんな自分のした事を全部わかってて、欠片を集めるために話を聞いた。
霧人さん、穏やかな笑顔を浮かべていたなあ。あれだけ理性的に反省してる人をぶん殴る趣味はないし、こうして最期に本来の霧人さんに会えたのがうれしい。島に来て蘇った神無ちゃんが偽物だって気付いたのも、辛かっただろうな。妹さんを大事に思うからこそ、狂ってしまったんだ。本当の霧人さんが優しい人で、最期に会えてよかった。
冬日ちゃんからお礼で貰ったバニラアイス美味しかった。バニラみたいな見た目？はまあ…わかる気がしなくもないかな。島のために命をかけた小春ちゃんとも、次は姉妹仲良く東京を満喫してほしいな。FHの陰謀を止めて欲しいっていう冬日ちゃんの想い、ちゃんと大事に受け取ったよ。僕らが止めてみせるから、どこかで見守っててね。
声くんが足を引っ張ったなんて小夜ちゃんは思ってないと思う。相棒兼弟っていう響き、好きだなあ。言葉じゃなくて音楽を楽しむ声くんと好きな音楽を一緒に歌えて、声くんの大好きな歌を最期に歌えてよかった。
セーラー服が似合う小夜ちゃんに会えて嬉しかったよ。日常を謳歌して、僕と過ごした日々をかけがえのないものだと言ってくれて本当に良かった。少しだけでも、日常の尊さをわかってくれたんだ。感謝するのは僕の方だ。こちらこそ、楽しい日々を一緒に過ごしてくれてありがとう。声くんの歌聴きながらまどろみの中で、静かに、ゆっくりと過ごして欲しい。親友だってさ。僕も同じ気持ちだよ、小夜ちゃん。
日織はFHで一緒になんて言ってたけど、僕は君を止めるために今まで頑張ってきたから、その誘いに乗る訳にはいかなかったんだ。そんな日織の想いをクロックメーカーが利用したなんて許せなかった。そばに居たのにジャームになるのを止められなかった僕が、責任をもって終わらせなきゃいけなかった。でも、最後の最後でクロックメーカーに打ち勝って僕を庇うなんて、そんなのずるい。ずるいよ。(涙で皺になった跡がある)。オモイデ様の記憶から帰ってきた今は日織らしいなって思えるけど、苦しかった。ジャームにならなかったらずっと相棒でいられたのに。悔しい。後悔してもしきれない。…でも、僕にとってはずっとこれからもかっこいいヒーローだよ、日織。
プランナー、あいつの計画がとんでもない悪事だってことはわかる。オモイデ様の力は正しく使われるべきだ、それは記憶を辿った僕らがよくわかってる。大丈夫、ずっと戦ってきた僕達ならあの計画(プラン)だって止めれるはずだ。

都築京香の'プラン'は実行させない。世界の命運は僕たちに任せられちゃってさ、随分荷が重いなあなんて。だけど、全て彼女のせいで怒ったことだと思うと言葉にできないほど腹立たしかった。…でも、世界を救うためなんて大きなことはいえなくて、僕は大切な友人たちを守りたかっただけ。みんなの想いを背負って終わらせなくちゃいけなかった。それも全部対抗種の力があるからできたこと。あのとき日織が肯定してくれたから、僕も力を存分に発揮できたんだろうな。
オモイデ様の力はとても優しくて、本当に素敵な神様だった。だけど、そんな力はいつまでもあるべきじゃない。大切な人を喪った悲しみも背負って、生きなきゃいけない。それを言うなら僕もか。小夜ちゃんや声くん、日織、面影島の人々の分まで平穏に幸せにね。最期に日織にもお別れが言えてよかった。今までもこれからも、僕にとって唯一で最高の相棒だよ。ゆっくりおやすみ、日織。
日織の言う通り、UGNチルドレンであり対抗種である僕が何年生きられるかなんて分からないし、やりたかったことはやりきっちゃったんだよね。だったら余生を楽しむ感覚で好きなことやっちゃおうかなって。美月ちゃんの支部に所属したいし、真柴さんの秘書もやりたい。…あとは家族の説得かなあ。両親もお姉ちゃんもきっと僕の門出をお祝いしてくれる、はず。