『UGNに所属すると決めたきっかけ、あるいは理由を覚えていますか？』

───「俺がUGNに所属したきっかけ、か。」
───「すまない、覚えていないんだ。いや覚えていないというと語弊がある。」
───「確かに俺の意志で、ここに来た。だがその理由を…忘れてしまった。」

『では現在の立場になった経緯などは覚えていますか？』

───「今は本部の…エージェント、だったか。」
───「……あと、俺が昔に査察部に所属していたことだけは知っている。」
───「聞かされたというのは…俺が医務室で目覚めた時に申し訳なさそうにしていた職員がいた。」
───「その人が説明してくれた。俺がかつて査察部第四課に所属し、そして退職したことを。」

『査察部第四課で何をしていたか、覚えていますか？』
───「いや、何も。」
───「なぜ辞めることになったのか…を聞いてみたが、教えてはくれなかった。」
───「辞めさせられた、という可能性もあるが……俺の憶測に過ぎない。忘れてくれ。」

『なんでこんなにコードネーム長いんだ？なんて呼んだらいいんだよ？？』

───「コードネームで呼ばずとも名前で呼んだらいいだろう。」
───「コードネームとは元より"二つ名"であり、本来の名前ではなくその人を象徴する名前だ。」
───「それにこだわる必要はないと思うのだが……ふむ。」
───「もし必要になるなら、"｜花冠《カローラ》"とでも呼んだらどうだ？俺の好きな言葉の一つだ。」

『でも結局本来はあの長い方だよな？申請した方がいいんじゃないか？』

───「とはいえ、勝手に上が決めたものだ。俺の一意見でどうにかなるのだろうか。」

『その…一人称に拘りはあるんですか？ずっと俺って言ってますけど。』

───「ない。」
───「こっちの方が言い馴染みがあるだけだ。」

『あとその…ずっとハサミをくるくる回す癖も、よく見たことがあります。』
『やっぱりこれも？』

───「別に。考えたこともなかった。(左手でハサミを回しているのを止める)」
───「あなただって、脳内で会話しているだろう。どちらも無意識的なものだ。」

『……』
『でも、あなたは確か右き────』【質問許容量をオーバーしています。】

『す、すみません…』

『ハサミを持ち歩いているのも、名残とやらでしょうか？』

───「……それは、分からない。」
───「御守りのようなものだ。だがなぜか、いつもの得物より使いなじみがある。」
───「まるで手のように、指のように扱える……忘れてくれ。ただの独り言だ。」

『あ！もしかして査察部時代の武器だったのかもしれませんよ～』

───「たし……かに。その線はある。」

『フン、俺はアンタを覚えているぜ！！何せクールだったからな！！それに俺のアコガレってヤツ。』

───「そうなのか？」
───「だが……すまない、俺はあなたを覚えていない。」
───「……一つ聞きたい、俺のどこを気に入ってくれたんだ？」

『いいだろう、まずはアンタの｜名前《コードネーム》かr』【以下、UGN■■■■■■により自動切断】

『あの、FHを倒すコツとかってあるんですか？あるならその、ぜひ教えていただけると…』
───「コツ、といってもたいしたことではない。」
───「UGNが規則的に動くとするなら、FHは不規則に動く。」
───「その不規則から彼らだけの法則を探し、穿つ……要は勘だ。」
───「ややこしく話してしまったが、結局のところは全員脳天を衝けば倒せる。」

『責めるつもりはない、と前置きしてお聞きします。私のことを覚えていますか。』

───「…………すまない……本当に、すまなかった。」
───「俺はほとんどのことを忘れてしまっている。だが、あなたを見ていると。」
───「……心の底から申し訳ない、謝らねばならないと感じる。きっとあなたを深く傷つけたのだろう。」

『私は……あなた個人に敵意を持つより、もっと大きなものを私は嫌っています。』
『貴方が何者であるか、どのような人生を送っているのか。それらを既に認識しています。』
『……だからこそ聞きたく、知りたいのです。なぜ貴方がここにいたいと願っているのか。』

───「黄色い花。(胸元の花を指さす)この花が俺を……ここへ留めている。」
───「たったそれだけだが、それだけが大事なんだ。」