姉へのコンプレックスをこじらせたUGNチルドレン、だった。
姉以外に家族はおらず、あるUGN幹部によって育てられた。桜莉自身生みの親のことはよく知らない。
曰く、その幹部は彼女たちの両親に恩があるらしい。……己の生い立ちを知り、嘘だと悟った。
チルドレン活動の傍ら高校生としても生活しているが、別に世を忍ぶ仮の姿というわけでもなく普通にJKライフをエンジョイしている。学生としての桜莉、ほぼ描写してないのでPLもどんな感じなのかわかんなくなってきた。
ちょっと生意気なくらいでそう目立つ性格的問題もないため、高校でも友人は多い方。美術部所属。

一人称はあたし、二人称はあなた。
常に敬語で話す。といっても語尾がですます調というだけで、かなりラフ。
UGNの上司などの前ではもう少し畏まるが、そういった真面目な話し方はあまり得意ではない。
少々意地の悪いところもあるが、世話焼きでマメな性格。
ただ面と向かって人に感謝されるのがこそばゆいので、表面上はあえて高慢で冷たい人物を装おうとしている。ちっとも上手くいっていないが。
そもそも高慢ぶるには自己肯定感が全然足りていない。なんなら卑屈なほう。
高校では友人が多めなのにUGN内での人間関係はあまり広くないが、それはどこでも｢暁夕莉の妹｣として見られるのがイヤなため。
趣味は絵を描くこと。絵を見るのも好き。
中学の頃絵で賞を取ったことがある。
好きな花は桜、好きな食べ物はアイス。
実はロマンチストでもあり、心の奥底では強めの恋愛願望を抱えている。
しかし今のところはそういった相手に遭遇していないため、表に出ていない。そちらに使う精神リソースが姉に向いているというのもある。
なお好みのタイプは別に姉というわけではない。

｢桜って好きですか？あたしは好きですよ。あたしの名前ってのもありますが、絵の題材にも映えますからね。…まあ、今からあなたが見るのは真っ赤な血の桜ですけど｣

｢あのねえ、あたしだって馬鹿じゃないですからね？そのくらいわかりますよーだ｣

｢ええ、あたしは"天の火(ヘヴンスジャッジ)"暁夕莉の妹。"桜禍爛漫"暁桜莉です！ちゃーんと、覚えて帰ってくださいね？｣

桜莉から見て、姉というのは何を考えているかまるでわからない人だった。
年は9歳差とかなり離れているが、桜莉にとっては唯一の血の繋がった家族であった。
しかし、言葉を交わした回数は決して多くない。
夕莉は冷徹に、最低限の言葉しか発しない。
果たして自分のことを家族として見ているのかも分からない。
今でも一緒に暮らしているが、多忙な夕莉はほぼ家に寄り付かない。おまけに夕莉の自室は小さな机と本棚、ベッドくらいしか物がない。
そして、暁夕莉とは天才であった。
｢賢者の石(レネゲイドクリスタル)｣に適合し、桜莉がチルドレンとして活動を始めた頃にはすでにエージェントとして名を上げていた。
夕莉は自分に特別目をかけてくれているというわけでもないのに、自分には夕莉の妹という重圧だけが課せられる。
そんな生活の中で桜莉の夕莉に対する感情はどんどんと拗れていった。
本当は、はじめは憧れていたはずなのだ。
ただ1人の家族として愛していたはずなのだ。
銃をもらった時、嬉しかったはずなのだ。
そもそも自分のためだけの武器を貰っているのだから、全く目をかけられていないわけではないはずだ。
なのに、肥大したコンプレックスが全て塗りつぶしてしまった。
だから桜莉は姉について聞かれると、｢嫌いです｣とはっきり言う。
なんにも言わない姉さんと違って、あたしははっきりものを言いますよ、という自己主張なのだろうか。
もはや桜莉自身でさえ自分の感情が整理出来ていないが、未だ姉さんと呼び続けていることが答えなのかもしれない。
ちなみに、桜莉は姉さんの誕生日に何かしたことなんてありませんと言い切っている。

民間人を庇い、あまつさえ賢者の石(レネゲイドクリスタル)まで授けてしまった夕莉は瀕死の重傷を負った。
そして、それから始まった事件の渦中で己に宿る力、ソロモン72柱の14位レラジェのことを知った桜莉は戦いのあと入院する姉を問いただした。
そこで聞いたのは、元々夕莉は桜莉に注がれた力の残りの受け皿であったこと。
それゆえ賢者の石(レネゲイドクリスタル)……智慧ある王の石を育てる器となっていたこと。
そして、夕莉は｢レラジェ｣ではなく、｢暁桜莉｣として生きてほしかったがゆえに研究施設から脱走し、今まで桜莉に何も言わなかったこと。
何も言ってくれなかったこと、それ自体が不器用な姉の愛だったと知り、桜莉は以前よりずっと姉に心を開くようになった。
これからは、天の火(ヘヴンスジャッジ)を姉に持つことを誇れるチルドレンとしてさらなる戦いに身を投じていくことになるだろう。

前回で知り合い、悪友というか喧嘩友達というかよくわからない仲になった三淵淳がシャックスの陰謀で殺人の濡れ衣を着せられた事件。
彼の無実を証明するため協力した結果一時はUGNから追放されたりもしたが、シャックスを殴ってどうにかした。
しかし事件終了後、No.9(パイモン)の口から明かされた「桜莉が強くなればなるほど、姉である夕莉の命が削られる」という事実に衝撃を受ける。
真の名を持つ桜莉が悪魔の力に目覚めた以上は、桜莉(レラジェ)が望む望まないに関わらず姉(レライエ)の力を吸い上げてしまう……困惑と絶望の中、桜莉にはただ立ち尽くすことしかできなかった。

No.57(オセ)によって生み出された精神世界で突然姉と戦う羽目になった桜莉。
必ず裏があるはずと信じ、自身の悪魔の力の具現化とでも言うべきNo.14(レラジェ)の導きで夕莉のもとへと向かう。
そこで桜莉は、夕莉が自分のためにあえて敵となり倒されようとしていたことを知る。
そしてその望みは叶えられ、夕莉の肉体は塵となりすべての力が桜莉へと集まった。
ひとつとなった姉妹の力、そして仲間の力と共にNo.57(オセ)を打倒した後、桜莉はNo.14(レラジェ)から衝撃的な事実を聞かされる。
精神世界で力を受け継いだことで、夕莉の精神は桜莉の中に共生型レネゲイドビーイングのように宿っていたのだ。
その事実に驚き喜ぶ暁姉妹だが、夕莉を唆しNo.57(オセ)と組ませた張本人……つまり夕莉の精神が桜莉に宿るよう手助けしたNo.9(パイモン)にはまだ企みがあるのだという。
その時、終末のらっぱが鳴り響いた。

桜莉がチルドレンとして正式に活動を始めた記念に夕莉からもらった銃。
夕莉が唯一桜莉に贈ったもの。
名前の意味を聞いたら｢なんとなく、かっこよかったから｣と言われた。
実際には夕莉が《ハンドレッドガンズ》で作り出す｢塵は塵に(ダスト・トゥ・ダスト)｣と同型の銃であり、名前も対になっている。
ただし性能は少し異なり、こちらはより火力に優れるが少し射程が短い。
また光を装填する｢塵は塵に(ダスト・トゥ・ダスト)｣と違いこちらは桜莉の血液を弾として装填する。
この銃を握り強く意識することで、血液弾は回避行動を取ってなお逃がさないほどに命中精度を格段に上げることができる。
桜莉はそれを銃の能力だと思っているが、実際には違う。確かに良い銃ではあるが、｢灰は灰に(アッシュ・トゥ・アッシュ)｣は血を装填できる以外に特殊能力のない銃だ。
姉からもらった世界でただ一つの銃を握ることは桜莉にとって無意識に誇りであった。
その銃に恥じぬよう気合を入れ集中することで、桜莉は隠されていた悪魔の力を解放していたのだ。
『集中力を持続、向上させる』射手の悪魔たるレラジェの権能。
彼女がそのことに気づけないのはひとえに姉からの贈り物を信頼しすぎていること、そして自分の力を信じていなさすぎること、そして悪魔の力を知らなかったことが原因だろう。
また、これ以外の銃ではそこまでの集中を発揮できないことも力が銃の方にあると思い込むには十分だった。