アースランで戦士をしていた父親と、出自不明の母親の下で生まれる。カミュが生まれた際に、父親はグローヴィスの戦士を引退し、グローヴィシャにある小さな教会で司祭をしながら、男手ひとつで幼少のカミュを育てていたのだという。母親の行方について尋ねると、父親はカミュを優しく抱きかかえ、「お母さんはどこに居ても、カミュのことを愛しているよ」というのが口癖だった。

グローヴィシャに居る者の多くが、剣の女神グローヴィスの下に集う戦士であり、戦士でない領民もグローヴィスや七大信仰を信仰するものが多い、しかしながら、カミュの父親の教会では様々な宗派の信徒が来訪し、父親もその全ての教えを説き、正しい作法で儀式を執り行っていた。元々グローヴィスの戦士だった父親がこういった特殊な神官になったのは、母親の出自と関係している事を悟ったカミュは次第に父親の真似をし、様々な神への祈りを子供ながらの拙さを持ちながら、それ故の純心さが宿っていた。

そんな幼少期を過ごしたカミュも、グローヴィシャで生まれ育った少女である。10歳を迎えた頃には、グローヴィスの戦士。サロゲートに憧れ、父親の反対を押し切る形で“紅蓮神殿”エルカラドルへと赴き、グローヴィスの戦士に志願した。
しかし、カミュにはグローヴィスの加護を扱う力が殆どなく、訓練にはついて行けず、落第生の烙印を押され、憧れや自尊心は瞬く間に崩れ去った。仕舞いにはグローヴィスから直々の呼び出しを受け、北方の教会への出向を命じられてしまったのだ。

カミュ自身、自分のことを「自他共に認める落第生」だと思い込んでいるが、カミュの父親。そして、グローヴィスと元老院の一部にしか知らされていない秘密があった。それは、彼女の母親が幽界から一時的にアースランにやってきていた神喚者であり、“寵愛の聖女”という、数多の神々からの祝福を受ける能力を引き継いでいたのだ。しかし、無自覚に発動している能力が、サロゲートの力に緩衝し、彼女の成長を停滞させていた。さらには、元老院からその力をセルノーグを筆頭とした邪神の勢力に目を付けられる心配の声が上がり、グローヴィスは彼女を北方の教会へ向かわせ、邪神の勢力の目の届かない場所で成長させようと考えたのだ。本来なら、“寵愛の聖女”の能力のことも本人に伝わるはずだったのだが、厄介払いと勘違いして泣きながらゲートに飛び込んでしまい。下手に情報を漏らす訳にも行かないため、グローヴィスの心配の種となっている。