設定・その他メモ

　ある吸血鬼が愛する吸血鬼のために贈ったセンチメンタルジュエリー。彼女の名前の頭文字と、贈りたい言葉を込めた小粒の宝石が煌めいている。
「なにもこんなに宝石を入れ込まなくてもいいでしょう！」
「だって文字だとみんなの目に触れちゃう」
「こんなキンキラの鋏を使っている方が目立つわよ！」
「だって好きなもの全部盛りにしたかったんだ！」
　後に“彼女”の遺髪も組み込みモーニングジュエリーとなった。

　遺された吸血鬼は泣いて泣いて、いつまでもいつまでも泣き暮らしていたものだから、目が溶けてしまうのではないかしらと思った時には意識があった。
　そうして見上げた時には朝日が己を照らしていて、“彼女”の墓石の上に散った雫と一緒に己の本体がごく小さく音を立てた。

　メモリ。
メメント・モリと引っ掻かれた傷跡はきっととても大切なことだろうから、恥ずかしがり屋だった吸血鬼のためにそれは伏せた。

　血盟を組んだのは、大切な場所である墓地を守るため。
あそこだけは誰にも侵させない。そのためにSIDへの協力を惜しまない。
　血契の相手は…誰でも、よかったのだけれど。だけど、涙だけ遺して灰となったあのひとの真似事をしてみたくなった。

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