シャローム
プレイヤー:うみ
- 種族
- ナイトメア(人間)
- 年齢
- 44
- 性別
- 男
- 種族特徴
- [異貌][弱点/土]
- 生まれ
- 錬体士
- 信仰
- なし
- ランク
- ハイペリオン
- 穢れ
- 1
- 技
- 9
- 体
- 14
- 心
- 7
- A
- 9
- B
- 6
- C
- 6
- D
- 2
- E
- 6
- F
- 8
- 成長
- 6
- 成長
- 13
- 成長
- 8
- 成長
- 7
- 成長
- 1
- 成長
- 8
- 器用度
- 24
- 敏捷度
- 28
- 筋力
- 28
- 生命力
- 23
- 知力
- 14
- 精神力
- 23
- 増強
- 増強
- 2
- 増強
- 2
- 増強
- 3
- 増強
- 増強
- 器用度
- 4
- 敏捷度
- 5
- 筋力
- 5
- 生命力
- 4
- 知力
- 2
- 精神力
- 3
- 生命抵抗力
- 16
- 精神抵抗力
- 15
- HP
- 62+2=64
- MP
- 29+2=31
- 冒険者レベル
- 12
経験点
- 使用
- 79,000
- 残り
- 200
- 総計
- 79,200
技能
- バトルダンサー
- 12
- エンハンサー
- 8
- レンジャー
- 7
- ウォーリーダー
- 7
- デーモンルーラー
- 2
一般技能
- 作家(オーサー)
- 1
- 旅先案内人(ツアーガイド)
- 3
- 漁師(フィッシャーマン)
- 1
- 薬剤師
- 1
- 肉体労働者
- 4
戦闘特技
- 《牽制攻撃Ⅲ》
- 《武器習熟A/スピア》
- 《防具習熟A/非金属鎧》
- 《防具習熟S/非金属鎧》
- 《練体の極意》
- 《武器習熟S/スピア》
- 《武器の達人》
- 《舞い流し》
- 《サバイバビリティ》
- 《不屈》
秘伝
- 《崩衝鰐尾撃》
- 《雷速鶴角貫》
- 《大転象鼻旋》
- 《銛利投擲の法》
- 《船上銛打ちの法》
- 《銛兵采配の法》
練技
- 【キャッツアイ】
- 【ガゼルフット】
- 【マッスルベアー】
- 【ビートルスキン】
- 【ケンタウロスレッグ】
- 【リカバリィ】
- 【ジャイアントアーム】
- 【デーモンフィンガー】
鼓咆/陣率
- 【怒涛の攻陣Ⅰ】
- 【怒涛の攻陣Ⅱ:旋風】
- 【陣率:慮外なる烈撃Ⅰ】
- 【瑕疵への追撃】
- 【怒涛の攻陣Ⅲ:旋刃】
- 【陣率:掃討の勝鬨】
- 【怒涛の攻陣Ⅳ:爆焔】
判定パッケージ
レンジャー技能レベル7 | 技巧 | 11 | |
---|---|---|---|
運動 | 12 | ||
観察 | 9 | ||
ウォーリーダー技能レベル7 | 先制 | 12 |
- 魔物知識
- 0
- 先制力
- 12
- 制限移動
- 3 m
- 移動力
- 32 m
- 全力移動
- 96 m
言語
会話 | 読文 | |
---|---|---|
交易共通語 | ○ | ○ |
地方語(ウルシラ) | ○ | ○ |
魔法
魔力 | 行使 基準値 | ダメージ 上昇効果 | 専用 | ||
---|---|---|---|---|---|
デーモンルーラー技能レベル2 | 召異魔法 | 4 | 4 | +0 |
技能・特技 | 必筋 上限 | 命中力 | C値 | 追加D | |
---|---|---|---|---|---|
バトルダンサー技能レベル12 | 30 | 16 | ― | ― | 17 |
デーモンルーラー技能レベル2 | 30 | 6 | ― | ― | ― |
《武器習熟S/スピア》 | ― | ― | ― | ― | 3 |
武器 | 用法 | 必筋 | 命中力 | 威力 | C値 | 追加D | 専用 | 備考 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ロングスピア | 2H | 20 | 16 | 30 | 10 | 20 | ||
タウトゥミの雷/ウコニュルッキ | 1H# | 8 | 16 | 10 | 11 | +1=18 | ||
吹雪の魔槍ミュラッカ(旗付) | 2H | 18 | +1=17 | 45 | 10 | +1=21 | 回避+1 |
技能・特技 | 必筋 上限 | 回避力 | 防護点 |
---|---|---|---|
バトルダンサー技能レベル12 | 30 | 17 | ― |
《防具習熟S/非金属鎧》 | ― | ― | 3 |
防具 | 必筋 | 回避力 | 防護点 | 専用 | 備考 | |
---|---|---|---|---|---|---|
鎧 | リュングスベスト | 8 | 2 | 3 | ✔ | |
他1 | ミュラッカ | 18 | 1 | |||
他2 | アイソアーマスク | 1 | ||||
合計: すべて | 20 | 7 |
装飾品 | 専用 | 効果 | |
---|---|---|---|
頭 | スマルティエのヘッドバンド | HP回復時MP1回復 | |
顔 | アイソアーマスク | 防護点+1 レベル6以下の敵の遠隔攻撃・射撃効果を吸引 | |
耳 | 蝙蝠の耳飾り | 盲目ペナルティを-2 透明敵にも有効 | |
首 | スマルティエの銀鈴 | ✔MP | その他枠追加 |
┗ | スマルティエの銀鈴 | その他枠追加 | |
┗ | スマルティエの銀鈴 | その他枠追加 | |
背中 | 野伏のセービングマント | ✔HP | 回避・抵抗失敗時ダメージ-4 |
┗ | ラル=ヴェイネの肩掛け | 合言葉:「VIRMA」 | |
右手 | スマルティエの敏捷腕輪 | ||
左手 | スマルティエの筋力腕輪 | ||
腰 | ブレードスカート | 回避反撃 | |
足 | 軽業のブーツ | 転倒ペナルティ無効 | |
他 | スマルティエの武道帯 | リカバリィの回復量に生命力ボーナスをプラス | |
┗ | 熊の爪 | マッスルベアー+1 | |
┗ | マイナーカースリベリオン | 魔神へのダメージ+1 / 魔神からのダメージ-1 |
- 所持金
- 0 G
- 預金/借金
- 0 G / 0 G
所持品
冒険者セット
薬師道具セット
救命草0個
気付け薬1個
アビスシャード1個
気になる案山子Ⅱ
解毒スプーン
- 名誉点
- 115
- ランク
- ハイペリオン
名誉アイテム
点数 | |
---|---|
冒険者ランク | 700 |
リシバル集団運槍術入門 | 0 |
野伏のセービングマント | 0 |
容姿・経歴・その他メモ
身長:176cm
趣味:食事
好き:冒険者、殴り合い、育ての親
嫌い:浮ついた思想、魔神
経歴1:純潔である
経歴2:歌を褒められたことがない
経歴3:命を救われたことがある
冒険の目的:最高の冒険者になるため
仲間達や一般人等の普段会話は粗暴、育ての親にだけ敬語、ヴィルマにだけはとっっても穏やかな口調
考えるより行動する 立ち止まるより前に出る 障害物は壊して通る
<4.人探し>
目的:ヴィルマ・リオッサの保護。共にクルツホルムからキングスフォール行きの魔動列車に乗り込む。
ヴィルマ・リオッサ(人間/女/15歳)を探している。君とヴィルマとの関係は好きに設定してよい。
特別ルール:すべての都市でヴィルマについて「情報収集」が出来る。
ビルドメモ
バトルダンサー最大+レンジャー少し+ウォーリーダーまあまあ+エンハンサー5
1牽制・防具習熟A→3武器習熟A→5防具習熟S→7回避行動→9錬体の極意→11武器習熟S
魔法組の後、先手で殴って鼓砲+崩衝鰐尾撃で敵の回避を下げる一番槍ビルド
前衛シューターとマルアク前衛プリーストと前衛妖精ライダーとか十分すぎる手数
野伏のセービングマントの為にお金貯める予定だったのにブレードスカートが・・・ならワイドウィング要らんな
隙あらばデーモンルーラー1だけ取る
1牽制・防具習熟A→3武器習熟A→5防具S→7錬体の極意→9頑強→11武器習熟S
回避行動・命中強化・錬体の極意・頑強・武器習熟Sから7.9.11で3個
ジャイアントアームで打点伸ばすくらいなら習熟S、回避1だけなら先制にも使えるケンタウロスレッグ、命中強化はデモフィンで良さそう
エンハンサーをどこまで上げるかによる 頑強かリカバリィかは微妙
今んとこ連体の極意・回避行動・武器習熟Sが優勢
長すぎる経歴
幼少期
幼少期、魔神が支配する都市にて奴隷として他の人間と共に捕らわれていた。双子の生まれだったが、生まれてすぐに片割れを連れて親が脱走を図ったらしく、2人とも殺されたと魔神から聞かされてる。その状態で何故自身が生かされているのか分からなかったが、他の人間奴隷とは違い言語の習得や生活環境において特別扱いを受けており、本人は自らの出生を「魔神に囚われた男」もしくは「襲われた女」から生まれた人と魔神の子なのだろうと推測している。戦闘訓練と称し、いたずらに奴隷を殺し合わせた"余興"にはナイトメアよりも数段邪悪な気配の -恐らくは穢れが多く受け継がれた魔神と人間の子の- 奴隷が数人混じっており、自身を含め実験体としてモルモットの如く扱われていたと理解していた。余興で生き残るために沢山の命を殺しているが、それが人であったのかも定かではなく、幼少期というのもあり記憶にはあまり残っていない。ヒトと殴り合うその瞬間に"生を感じていた"事を僅かに覚えているようで、以来大人になっても「物理で殴る」が彼の口癖となった。
少年期
奴隷生活が10年ほど続き、当然と思っていた自分の境遇に変化が起きる。冒険者の集団が解放戦争を仕掛け、シャロームのいる都市に対して総攻撃を行った。騎兵を活かした電撃戦による都市の制圧は実験や余興で油断していた魔神達に非常に有効であり、戦力差を覆して都市解放を成し遂げたのであった。だが、最後の抵抗とばかりに魔神達は完全支配した奴隷達を戦争に出撃させ、同士討ちを演出する。実験成果がヒト族の手に渡るのを阻止するためでもあっただろう、操った奴隷達を肉壁にして魔神達は奈落に逃れ、冒険者達はこれ以上の追撃を諦め生存者の救出に力を注ぐのであった。
穢れの薄かった彼は他の実験体とは違い魔神の支配から逃れており、人間奴隷と共に救出されることとなった。奴隷としての労働力に欠ける幼子が存在すること自体が冒険者達に驚かれ、ナイトメアであることも重なり処分を検討されたが、のちに育ての親となる冒険者に庇われ、九死に一生を得る。「大丈夫。私の花は万物を落ち着かせる香だから。」引き取った彼女はコニーと名乗り、彼に衣食の提供と引き換えに従者のお願いを申し出た。奴隷として生きた彼には従者など普通の事と思っていたが、コニーは子どもが出来たと喜び、メリアとナイトメアの奇妙な親子関係が出来上がったのであった。
コニーは名前のなかった彼に「シャローム」と名付ける。魔神との混血の可能性を彼から聞いたコニーが、「じゃあ思い切って魔物の王になっちゃおう」と伝承にある魔島の名前を付けたのだ。当初は名前というものにも王にも戸惑ったが、反対するという事を知らなかった彼は素直にうなずく。その名が奇跡を生んでいるとも知らずに。
コニーとの生活は平穏…とはいかないまでも、充実した毎日となった。コニーは歴史や見知らぬ土地を見るのが大好きだった。流れのウィザードである彼女は大陸を渡る冒険者として当てのない旅をしており、シャロームは従者として共に依頼をこなす日々を送る。妖精達の住む大森林、剣の迷宮から発展した冒険者の街、都市間を結ぶ鉄道網…各地で会った人々との触れ合いは、奴隷人生での常識を根本から覆し、"冒険者"という職業の「世界への貢献度」を知るには充分であった。いつしか彼は「コニーのような最高の冒険者になる」という夢を持つようになる。永遠ともいえる寿命を持つ彼には些か子どものような話だが、コニーも「私みたい?は恥ずかしいけど、人助けはいいぞぉ」と応援しており、またナイトメアの冒険者適正についても詳細に話されたため、より冒険者として高みを目指すようになった。
シャロームには魔法の素質もあるようだがコニーは全く指導しようとしなかった。それどころか「魔法は使っちゃ駄目だよ」と釘を刺されている。本当かは不明だが、魔神の魔力が暴走する可能性を考慮していたのだろう。また、すぐに拳で事を済まそうとすることや、奴隷としての性なのか自己犠牲を前提とする行動も多かったため戦闘経験をあまり積ませる事もなく、最低限の強さだけを身につけさせて過ごしていた。拳で殴るよりは、と別大陸の槍術を指導され、戦闘スタイルもだいぶ良くなっていった。
青年期
冒険者として15年の時が過ぎ、シャロームは25歳になる。「ナイトメアは15歳で成人、私と出会って15年、"シャローム"も成人だね!」
コニーも世界中を回り見聞欲が落ち着いたのか、"大人になった"シャロームに人付き合いをさせたかったのか、丁度受けたゴケルブルグ大公国からの依頼で都市防衛の任についたため、住居を構え日常を送るようになる。長命種のメリアとナイトメア、一見すると夫婦のような異種の2人は当初周囲からも不審がられたが、防衛任務において超火力のウィザードと着実に依頼をこなす青年の活躍を耳にすると次第に打ち解け始め、ついに「一般的な日常」を送ることになる。コニー以外では人生初となる長期の付き合いにシャロームは戸惑うことも多かったが、生来の生真面目さがようやく顔を見せ、近所付き合いは上手く立ち回っていたようだ。
それから20年近く、コニーの突発的な発作による1~2年ほどの旅行は都度あるものの基本的にはゴケルブルグを拠点とし、安定した生活を送る。ここでもやはりコニーはシャロームを前線に立たせることなく、監視任務や関所の門番、薬草採取など戦闘外の仕事を多くさせていた。「冒険者になるにはね、沢山の目線を持つことが大事なの。皮肉なことに戦闘経験はいつでも養える世の中だから、今できる楽しい事をやりましょ。」市街の住人達と接点を増やすことでナイトメアへの迫害を阻止する目的もあったのだろう、おかげでシャロームは、いち冒険者として多くの人から感謝され、容姿を隠さずとも恐れられることはほとんど無くなっていった。
隣人のリオッサ家に長女ヴィルマが生まれ、医師と教師の忙しい夫婦に代わりベビーシッターをすることもあった。赤ちゃんの扱いはコニーも含めからっきしだったが、育児に四苦八苦したあと笑う子の姿に生命の神秘と価値を感じ涙を流すこともあったという。子守歌とばかりに人生初の歌を歌うも「気合が入りすぎ」とコニーやリオッサ夫妻から強烈な駄目出しを食らったのも今となっては良い思い出である。以降、歌については応援歌や軍歌しか歌わなくなった。
成年期
ヴィルマは健康に育ち、両親だけでなくコニーやシャロームにもとても懐いていた。コニーの紫の花に似た髪留めを頭に刺して『わたしのふたりめのおかあさん!』と抱き着いたり、角のようなアクセサリをして『おそろい!』とはしゃぐ彼女を赤面しながら見るシャロームの姿は、傍から見ても、幸せそのものだっただろう。時折奈落の魔域出現による魔神の討伐はあったものの、彼は間違いなく、平和の中にあったのだ。
やがて時は過ぎ、15歳になった彼女に、シャロームは特別な感情を抱いていた。赤ちゃんの頃から見てきて、とても大切な存在。コニーも俺に対してこんな思いだったのか?と聞くと、「うーん、私は自由な植物だから、旦那要らずに子どもが欲しかったのもあるけど、ずっとそばにいたいってのは、多分私とは違うんじゃないかな? シャロームにも自由にいてほしいし。それってきっと恋だよ恋! 君も同じ人間だから、結婚だってできちゃうぞ~?」と揶揄われてしまった。これが恋というものなのかは分からない。でも確かに、ずっとそばで守ってやりたい。そんなことを思っていた彼には強烈な不意打ちで、2人で出かけていた夜、薄光の月明りの下、ヴィルマは彼に本心を話した。
『シャローム。聞いて。 私も大人になったから、言っておかないとって思って。シャロームは子どもの頃からずっとそばにいて、でもお父さんみたいに見てるだけじゃなくて、一緒に遊んでくれた大事な人。シャロームはコニーのこと好き? 私は、お父さんもお母さんもコニーも好きだけど、シャロームは特別に好き。私は年を取っちゃうから、対等にはいれないかもしれないけど、これからも、一緒にいてくれないかな?』
断る理由もない。彼はいつかのように真っ赤に顔を染めて、うん、と一言だけ返事をした。必ず守ってみせるから。いつまでも一緒にいよう。月下に誓った想いは、儚くも破られることを知らずに。
ヴィルマにせがまれて、昔、戦いで折れた角を髪留めとして加工し、成人の記念にと彼女にプレゼントした。『おそろい!だね。』とヴィルマは非常に喜び、それ以来、角のアクセサリを頻繁に付けるようになった。おそろいのチャームで出かける2人。様子を察したのか、ヴィルマの両親は度々うんうんと謎の頷きをみせ、コニーは毎日のようにシャロームをからかった。「しっかりしてね、"カレシ"くん?」
冒険直前
《"前日譚"後》
月下の告白以来、ヴィルマとは一層仲良くなっていた。何をするにも2人一緒。先日はヴィルマが鉄道に飛び乗ってしまって結果的に2人旅行となってしまい、両親に大層怒られていた。「大人になったのぉ、"シャロくん"?」とコニーには全力でからかわれている。
最高の冒険者が夢なんだ、と彼女に話したら、荷運び等の簡単な依頼にもついてくるようになった。シャロームとしては本当は危険な事はしてほしくないのだが、『私も、冒険者になろうかな。シャロームすぐに無茶するんだもん、傷、治してあげたいし。』と彼女も譲らなかった。自己犠牲の精神はまだ治っていないようで、ヴィルマにお説教を食らう姿も恒例となっていた。要はどこからどう見てもお似合いのカップルである。
"奈落の魔域が出現した"、最早日常と化したいつもの簡易防衛任務(門番)に当たっていたシャロームに、非日常の急報が届く。「防壁を突破された。魔神じゃない、人間に市街が襲われている」
どうやら防衛隊に間者が紛れていたようで、コニー含め魔導部隊が背後から強襲されたらしい。市街は既に大公の私兵が鎮圧に向かったため問題ないだろうと聞いたが、シャロームは悪寒がして、自宅、いや正確にはヴィルマの元へすぐに駆けた。コニーの容態も心配だが、俺が守るべきはヴィルマだ、と。
向かった先で見た我が家は、廃墟と見間違う程に荒れ果てていた。道中の市街はこんなに荒らされていない。ウチの周辺だけが異様に破壊しつくされている。何かがおかしいと思いつつ辺りを探すも、ヴィルマの姿は見当たらなかった。すぐさま避難所に向かい、彼女の名前を叫ぶ。反応がない。そんな馬鹿な、動転した彼を、私兵隊が呼び止める。
「シャローム殿ですね。コニー殿より貴方を確保、というより保護するよう指示があったのです。今すぐ、こちらに来てください。」
ヴィルマの行方は? コニーが何故俺を? 自由な彼女が拘束とは余程の事と考え、自分より強い私兵隊にヴィルマの捜索を託し、シャロームはコニーの元へ向かっていった。
「ああ良かった、シャローム、無事なんだね。一安心。」病院には多くの患者が運び込まれており、その中にコニーもいた。床に臥すコニーの声にいつもの覇気がない。よく見ると、左腰にあざが出来ている。「見てこれ。お揃い~。…笑ってよ。まさか初めてが人間だなんて。しかもこんな小規模な戦闘で。ちょっとだけ、悔しいかな。」冒険者間では受け入れられているが、やはり良いものではない。あざを見たあたりから、シャロームは涙が止まらなかった。
「泣くなって。生きてて良かったでしょ? それよりも、貴方の話。どうやら今回狙われたの、私達だったみたいでさ。」コニーは泣きじゃくるシャロームを抱きしめながら、淡々と話を続ける。
「30年も前の事なんて覚えてないってのぉ。魔神達は君を取り返しに、わざわざ人間使って襲撃してきたのよ。『角の生えた人間を確保…確保…』って呪われたように、いや呪われてるのか、そんな人間達が街に押し寄せて、流石に魔法ぶっ放せなかった。その中に近所の人達がいたら、って。守りたいものが増えるのも考えものねぇ。」その言葉を聞いたシャロームは我に返り、ヴィルマの所在を問う。一抹の不安を背負いながら、縋る様に、育ての親に問う。
「…え。ヴィルマちゃん、いないの? 先にご両親は見舞いに来てくれたから、てっきり無事なのかと。」
ヴィルマは角の髪飾りを付けていた。耄碌した人間達では、区別なんて付くはずもない。魔神達が魔力で見分けていたとしても、あの角は本物のナイトメアの角だ。連れ去られたのか? 俺の代わりに? 考えるだけで、動機が止まらなかった。
その後、街中をいくら探してもヴィルマの姿は見当たらず、シャロームは絶望の淵に沈むのであった。
数日後、冒険支度を終えたシャロームは、挨拶をするためコニーのいる病院へと赴いた。
2か月ほど前、コルガナ地方北西部にて<奈落の大侵食>が起きたらしい。先日襲来した魔神と人間も、北西部に向かっていったとの情報が多数報告されている。間違いない。ヴィルマは北西部にいる。
「確保、ということは、殺す目的で貴方を狙ったわけじゃない。容姿でも魔力でも間違えられてるなら尚更、ヴィルマを殺すことはないわ。それにあんな状態の人間達からなら、逃げ出す隙はいくらでもあるだろうし。案外、道中の都市で身を隠しているかもしれない。大丈夫よ。私とリオッサ夫妻の英才教育、ヴィルマちゃん、少なくとも貴方より頭良いから。……笑ったわね。よし、貴方も大丈夫そう。」
コニーは笑顔で彼に語る。旅立つ子を、優しく送り出す。
「ごめんね、私も行ければ良かったんだけど。体調が戻ったところで、<大侵食>のせいで防衛任務も一層激しくなりそうだし、そもそも私には魔神達もかなり警戒してるだろうから。……話してなかったけど、前回の<大侵食>で乗っ取られた街の一つが、貴方を拾った街なの。まぁまず、前回取り逃がした奴らもいるでしょうね。見知った顔もいるかもしれない。嫌な事を思い出すかもしれないけど、奴らのやり方を一番理解しているのは貴方。貴方が一番、ヴィルマちゃんを助けられる可能性がある。貴方自身の手で、ヴィルマちゃんのついでにその辺の人達も救ってあげて、"最高の冒険者"になって帰ってきなさい。大好きよ、シャローム。」
履歴
※長くなりすぎたのでカクヨムへ移動しました
登場人物紹介
シャローム
本キャラシの人。設定過多なのでこれ以上追加なし。特に主役というわけではない。
レイナルト・ミリヤム
https://yutorize.2-d.jp/ytsheet/sw2.5/?mode=edit&id=BQHxnA
+@設定 常に無駄な事を省き続けて行くタイプ。なので一見矛盾した行動も多いがそこにはちゃんとした理論が存在する。(シューターなのに前衛、斥候なのに金属鎧等)
エンレイ
https://yutorize.2-d.jp/ytsheet/sw2.5/?id=Fl1AeP
+@設定 正しいことを正しいと言えるタイプ。なのでパーティ内の奇抜な行動に冷静なツッコミも必然的に多くなる。目的が目的なので若干主役っぽくなってる。
OEC
https://yutorize.2-d.jp/ytsheet/sw2.5/?id=5ayVyQ
+@設定 男が見ると女に、女が見ると男に見える。プレイヤーの発言を全て切り取るとキャラが破滅するので多少マイルドにしてる。事実は小説より奇なり。
アメジスト=ターコイズ
https://yutorize.2-d.jp/ytsheet/sw2.5/?id=rwuzFw
設定全追加。以下完全なオリジナル。
とある国は魔神の脅威に晒されていたが、突如訪れた勇者によって救われた。救国の勇者はその国の姫と結婚することになり、物語は幸せな結末を描いていた。
が、勇者はおおよそ貴族には向いていない性格だった。彼は底なしの善人であった。昔から酒場に行っては市民達の声を聴き、貧困層には無償で全てを提供する。金貸しには持ち前の強さで恩を売り、一獲千金を目指しギャンブルに手を出しては無一文。そしてまた金貸しに無償で働かされる始末。そんな人間が姫と結婚したのだから王族貴族は大混乱である。
彼は結婚後も人を救う事をやめなかった。それは国民にとっては何よりも喜ばしい事であったが、本来は姫へ向けるべき愛情を全ての人に向けているようにも映っていた。国の資産に手を出してでも一つの村を救い、時には姫の命を危険に晒す事もあった彼の行動は国王や貴族から強い反感を買い、最終的には離婚させられる事となる。
しかし勇者は離婚してもなお人を救う事をやめない。そして姫もまた離婚後もなお底なしの善人勇者を愛していた。公務の合間を抜け出しては勇者に会いに行き、金策に苦しむ勇者に貴重品を贈呈する。「国民の税金で買ったものだもの、国民に還元されるべきよ。」彼女は国民も貴族も騙して、勇者との婚姻生活を続けていた。
そんな生活が長く続くはずもなく、姫が身籠ると流石の王族も姫の脱走を見逃さなかった。しかし彼女は懇願する。「私の娘は、彼の子で居させてください!」既に跡取りとなる王子もいたため王族は願いを聞き届け、国民貴族に秘密となる王女を出産した。
蒼緑の瞳に紫の髪を持つ彼女の名はアメジスト=ターコイズ。父の背中を追い、母からの教養を得た彼女は、救人の意思と一般常識を併せ持ち、伝承にはならない名もなき英雄になりたいと夢を見る。人々を守る高潔な騎士を目指し、人生を送るのであった。
・人の命を救うためなら自らを捨てる
・常識や旅支度など一般教養はあるが世間に疎く騙されやすい
ルミナリア
https://yutorize.2-d.jp/ytsheet/sw2.5/?id=mZieEJ
+@設定 一人称「某(それがし)」。エルフの前ではガチガチに緊張して喋れない。本当にふざけちゃいけない場では丁寧語で会話できる。いたりいなかったりするので扱いがムズイ
前日譚・海賊の入江
鉄道の街キングスフォール!沢山の人とモノが運ばれて凄い活気だった!魔導列車が沢山の地方に繋がっているせいか、人間以外の種族もみんな生き生きしてて楽しそう!こんな街で2人で依頼をこなす日々もいいかもしれないなぁ、なんて言ったらお父様に怒られるかしら? 外の世界ってこんなにも知らないことだらけなのね、シャロームから旅のお話は沢山聞いてたけど、やっぱり実際に見るのは全然違うわ! 無理やり連れてきちゃって怒ってるかな? でも魔物と戦っているシャロームもカッコ良かったなあ。奈落の魔域も初めて入ったけど魔神ばかりじゃなくて人間もいたりするのね、勉強になった!「最高の冒険者なら人が困ってたら助けないとな!」だなんてあーんもうカッコイイ!! 家に帰ったらめっちゃ怒られたけど、いつかまた一緒に旅したいな。最初はコニーに連れてってもらおうかな。うーん、楽しみがいっぱい! でもその前に、旅先で迷惑かけないように勉強頑張らないと!(記:ヴィルマ)
序章・王国と壁の守人
コルガナ地方に向かう魔導列車。その先頭車両には、以前キングスフォール近郊で起きた魔域事件の解決者達が揃っていた。示し合わせたわけでもない、偶然が重なった結果、彼らは同じ時期時間瞬間に、コルガナ地方に向かう事になったのだ。
「あれ、君達もしかして…」
最初に気付いた妖精騎士アメジストが口を開こうとした瞬間、隣車両からけたたましい声を上げて、人間の女性が入り込んできた。
「んうふぅうエルフ!!!エルフは最っ高ですぞ!!! 見てくださいましこのエルフの彫像! 舐めやかで艶やかなこの形状!うひひなんと美しい!! こちら1つずつ皆様にお譲りいたしますゆえ各々楽しんでくださいませ!!」
そう言って彼女ルミナリアは有無を言わさず全員に木像を配り始めた。唐突な事で文句も言えず受取り困惑することで他の乗客がお互い知り合いだと気付いたのは彼女の功績であろう。木像を渡してもなお騒がしい彼女に嫌気が差し、別の車両へ移動を決めた男もいたが、直後、更に大きな音声が魔導列車の急停止音と共に鳴り響く。
「線路上に奈落の魔域が出現しております!大変申し訳ありませんが暫くご辛抱を!……駄目だ、間に合わない……!!」
侵入時に感じる独特の浮遊感を伴い、彼らは状況も呑み込めぬまま、車両ごと奈落の魔域に突入した。
「いててて…大丈夫かいOEC。皆さんもご無事ですか?」
車掌ヤルノは自宅と同じように転がっている同居人を起こしつつ、乗客の無事を確認する。
「大丈夫です。どうやら列車の先頭車両のみ、魔域の巻き込まれてしまったようですね。」
アメジストは冷静に周囲を見回し、状況を分析している。肩に梟を乗せたメリアの女性エンレイもまた、無言で頷き辺りを観察し始めた。
「ったくツイてねぇな。まぁ居合わせた奴がだいたい冒険者だったのは幸いか。さっさとコア破壊して外出ようぜ。急いでんだ、俺。」
ナイトメアの男シャロームは起き上がると共に車両のドアを目指す。思えば、彼が角も隠さず不躾な態度でいたからこそ、冒険者以外の乗客は同車両にいなかったのかもしれない。その言葉を聞いたヤルノは傍にいるアルヴに噛み付かれながら、思いついたことを話す。
「皆さん冒険者なのですね。それでは依頼という形で、奈落の魔域の調査をお願いしても良いでしょうか。列車が巻き込まれている以上、報酬はウチの会社から出ると思うのでご安心ください。私は列車修理のため調査には同行できませんが、代わりに同居人の彼女を同行させますので、どうか頼みます。よろしくね、OEC。」
OECと呼ばれたアルヴは(吸精直後のためか)元気いっぱいに快諾しており、それに合わせる形で居合わせた冒険者達も依頼を引き受けた(エルフがいない事に落胆する女性の姿もあったが)。以前にも同じようなことがあったな、あのアルヴは"彼"では?などと話しながら準備を整えていると、いないはずの8人目の存在が、まるで最初から車内にいたかのように自然に自己紹介を始める。
「私の名はアレクサンドラ、"壁の守人"である。共にこの魔の空間から脱出しようではないか。この黒狼の名はラピスと言ってな、皆も共に仲良くしてほしい。しかしすごいな、この魔導列車というものは。」
突如現れた尊大な少女と黒狼の存在に臨戦態勢を整える者もいたが、彼女に敵意がないことを確認すると、不穏ながらも同行をお願いすることにした。ヤルノに列車を任せ、周辺調査を開始する。周囲は何もない丘陵地帯であり、生命の存在を感じさせない静けさが魔域独特の空気感を生み出している。"守人"に興味津々なエンレイ・アメジストの学者チームがこぞってアレクサンドラに質問をしており、彼女もまた誇らしげにその事を語ってる。前回の海賊少女と同じく魔域の住人なのだろう、魔の力に慣れているシャロームはうっすらとではあるがそう考えていた。
「おい、こちらに洞窟がある。人ひとり入れる程度の抜け道だ。恐らく、どこかに繋がっている。」
見るからに重そうな金属鎧を纏うシャドウの隠密レイナルトが集合を促す。その他に目立った痕跡はなく、この洞窟がコアに繋がっているのだろうと推測できる。騎獣達をしまい、一行は洞窟に侵入した。
慎重に先に進んでいくが、罠もなく、魔物の痕跡も見つからない。平和な魔域かと思いながら小一時間ほど進んだところで、血まみれの兵士が倒れているのを発見する。意識はあるも息は絶え絶え、すぐにOECが神聖魔法を唱えたが、もう長くはないだろう。
「お前、、、姫の護衛騎士か!?」
アレクサンドラが気付き叫ぶ。
「アレクサンドラ様…姫はこの先に……魔神が…追いかけてきて……すみませ…‥・」
贖罪で終えた騎士の最期を確認し、アレクサンドラは確信する。
「そうか…これはあの時の…救えなかった私の後悔を基にしているか……っ!!ではこの先にいるのは!!!」
アレクサンドラは冒険者達に向き合う。
「すまないが諸君、私に力を貸してくれないか? この先に私の仕えた姫がいる。急げばまだ、間に合うかもしれない。ただの私のエゴかもしれないが、2度もあの方を失いたくはないんだ……!!」
尊大な態度は消え、年相応の少女の姿がそこにはあった。
「主君を助けられずに息絶えた騎士の無念は相当でしょう。当然、私は参ります。」
「依頼とあらば、答えよう。」
「姫君はエルフなんですかな?な?」
「仕方ねえな。付き合うぜ」
「……はい。行きましょう。」
「ここはアレクさんの心象風景の魔域なんだね~。」
様々な回答はあるも、冒険者達は満場一致で姫の元に急ぐこととなった。
先に進むと、洞窟初の分かれ道が見えてきた。それぞれの道には太陽神ティダン・月神シーンの像があり、さながら「太陽と月の道」を暗示している。レイナルトが調査しようとする前に、ルミナリアが奇行に走る。
「むむむ!!!エルフの気配!!!ここですな!!!これは……なんだ、ただの紋章ですか。残念至極。」
アレクサンドラいわく紋章は侯爵家のものらしく、こちらの道が王城に繋がっていることを示していると判断した。お手柄をどぶに捨てたルミナリアはOECに謎の励ましを受けているが、気にする時間もないため一行は先を急ぐ。
通路の最果てには扉があり、開かれる前から金属音や喧騒が聞こえてくる。応接室のようなその場所から聞こえてくるのは、まごう事無き戦闘音だ。
「イリーチナ様!!ご無事ですか!!」
扉を開き、中にいる赤毛の少女へ一目散に駆け寄るアレクサンドラ。
「アレク! ああ、流石私の騎士アレクサンドラ!! きっと来てくれるって信じてたわ!!」
アレクサンドラは少しだけ苦い顔をしていたが、過去を振り切るとすぐに戦闘に加わっていく。冒険者達も続いていった。
戦闘は非常に厳しい戦いであった。数で勝る魔物達の攻勢が凄まじく、一人、また一人と倒れていく兵士達。槍兵シャローム、暗殺者レイナルトも致命的失敗を繰り返し崩壊寸前の前線を支えたのは、妖精騎士アメジスト、そして彼女の愛馬ゼロ丸であった。守りの戦いを得意とする彼女は獅子奮迅の立振る舞いをみせ、ゼロ丸もまた彼女に呼応するように決して倒れることはなかった。また、時が経つにつれジオマンサーの本領を発揮した森羅導師ルミナリアの相域が炸裂し、優位な状況を作り出すことでなんとか、本当に紙一重のところで、姫を守り切ることが出来たのであった。
「こちらです、お早く!!」
いつからか業火に燃える部屋を背に、残る護衛騎士が決死の思いで、姫を出口へと先導する。冒険者達もそれに続き駆け出す。アレクサンドラは姫に駆け寄り、別れの言葉を告げる。
「イリーチナ。会えて、助けられて良かった。」
「ありがとう、私の騎士アレク。これからも、ずっと一緒よ?」
アレクサンドラは涙を堪え、振り返らずに先へと駆けた。
洞窟を出ると小高い丘に辿り着いた。振り向くと、真っ赤に燃える大都市の惨状が見える。気が付くと、先導していた護衛騎士も、守っていたはずの姫の姿も消えていた。
「アスィルムラート王国、王都クルィシャ。この日滅びた都市の名だ。3000年以上前、君達が魔法文明と呼んでいる時代、原種のティエンスが一人アレクサンドラは、この地で何も守れず死んだ。ここにいるのは、己の力のみを過信して無様にも魔神に敗れ、奈落に囚われた亡霊だ。」
アレクサンドラは目を赤く染め、自虐気味に語る。だがその顔は、決して意思を捨てたわけではない。
「姫を救ってくれて、感謝する。おかげで私は悔恨という名の奈落から解放された。とは言え、死人の私が現実に帰れるわけではない。奈落に囚われたものは、奈落で戦い続ける定め。君達が求めるなら、私は君達の力になり得るだろう。」
そういって、エンレイの耳元に美しく輝く耳飾りを付ける。
「先ほどエンレイやアメジストから聞いたが、外では今多くの魔域が発生して人々を苦しめているそうではないか。壁の守人として、断じて見過ごすことは出来ない。この耳飾りは、イリーチナから受け賜わったラピスラズリを加工して、私の魔力を込めた物。これに祈りを捧げてくれれば、魔域の中でなら恐らくは、君達の元に向かえるかもしれない。……あの戦いで散っていった壁の守人は数多く存在する。私のように囚われている者もいるだろう。遺品を集めているというのなら、奈落の魔域をしらみつぶしに探してみるのも良いかもしれない。」
話し終えると彼女は丘の上を指さし、奈落の核の存在を告げる。
「さぁ!君達の旅はこれからだ! 各々目標は違うだろうが、私のようになりたくなければ、共に協力して進むが良い! 君達に盾神イーヴの祝福があらんことを!」
そう言い残し、彼女は黒狼と共に暁に消えていった。
「ええ!!?あの女の子が3000年前の壁の守人だったのかい!? 確かに最近、古の壁の守人に会ったという話が各地で聞かれていましたが、本当だったんですね…。」
魔導列車の修理を終えたヤルノは、疲れて寄りかかるOECを上手く支えながら驚嘆する。魔導列車の修理を無事終えたようで身体中煤だらけになっており、こちらも激戦を潜り抜けていたようだ。全員が落ち着いて暫くすると核の消失と共に領域は縮小し、やがて侵入時に感じた浮遊感を伴って、先頭車両は元の場所に戻される。そこには機関部分を失い立ち往生している後続車両の姿があったが、侵入時からあまり時間は経過していないようだ。
ヤルノが連結部分を修理中に、冒険者達は今後について話し合う。
「あらためて、私の名はアメジスト・ターコイズ。若輩者ではありますが、騎士として恥じない人間を目指し旅を続けています。今回はオクスシルダという場所で行われる魔神殲滅作戦へ参加するためこの地へやってきました。魔神の暴虐は許されるものではありません。もし、余力があるのであれば、皆様にもご協力いただけたら幸いです。」
「OECはOECだよ。しばらく自宅でゴロゴロしてたんだけど、ヤルノから魔域の攻略に行ってくれって頼まれちゃって~。まぁ家にいるのも飽きたし行こうかな~って思ってたから、みんながいてくれると心強いな!(美味しそうだし)」
「エンレイよ。コルガナ地方への目的はこれ…この耳飾りのような遺品を研究しているの。妹のやり遺したことを終わらせたい。危険な事とは分かっているけど、奈落の魔域で守人の目撃情報が発生していると聞いて居ても立っても居られなかった。魔域の攻略が目的なら、一緒に行かせてもらえると嬉しいわ。」
「レイナルト・ミリヤム。故郷エルヤビビへの帰還を目指しているが、道中の魔神が多すぎて叶わずにいる。ご助力願えたら幸い。よろしく。」
「シャロームだ。俺は人探し……前会った時一緒にいた、ヴィルマが魔神に攫われちまった。正直、他の事なんか構ってる暇は無いんだが、前回今回と移動中に魔域に巻き込まれてウンザリしている。襲われてる人達も放っておく訳にいかねぇし……。ヴィルマの情報があったらそっちを優先しちまうが、それでも良ければ、俺も一緒に連れてってくれ。」
「某…ぃえ、私は、ルミナリアと申します。ここに来たのは、故郷を滅ぼした憎きテラービーストに復讐するためです。奴がこの地方に向かったという情報は掴んだのですが、その先の行方は知れず。よろしければ、共に居させてもらえると助かります。……あのクソ野郎!!!某のエルフグッズを丸ごと灰に変えやがって!!!!絶対許しませんぞおおおお!!!!!!」
ルミナリアの見せた予想外の表情に驚きつつ、一行はコルガナ地方の入口、クルツホルムへ向かうのであった。
1章・大浸食の脅威
一節
「この壺は… 持っているだけで敵の攻撃が当たりにくくなるとは……しかしそもそもこんな物持っていたら避けにくくなるのでは…?」
魔導列車は無事クルツホルムへ到着し、冒険者達は目的に備え買い物・情報収集の二手に分かれることになった。にぎやかな都会の喧騒に当てられたのか、旅行気分の抜けていないOECはまるで遠足前の子供のようにはしゃぎながら食器や調理器具を選んでいる。アメジストは買い物経験自体があまりないのか、間違いなく不要そうな壺の購入を勧められ真剣に検討している。ルミナリアは店員エルフに夢中で話を聞いていない。買い物チームに一抹の不安を抱えつつ、ミリヤム、エンレイ、シャロームは情報を求め酒場へと向かっていった。
「大浸食以降、平和だった平原や森にさえ強大な魔物がうろつく様になっちまって、完全に商売上がったりだぜ。」
ヤケ酒しながら語る商人が言うには、主と呼ばれる強力な魔物が各地で徘徊するようになり、魔域と合わせて流通網に壊滅的な被害を与えているらしい。クルツホルムではコルガナ地方の特産品等を買う事も売る事も出来ず、悪徳商売に手を出す人間も増えているのだとか。先程の不安は更に大きくなってしまった。
「壁の守り………教え………にゃ……」
エンレイが強力な呪文を唱えたのか、艶めかしく耳元で囁かれた情報屋はとても陽気に壁の守り人について話していた。探し人についてはシャロームの必死な様子が相手にも伝わったのか、足元を見られ高額な情報量を請求されている。一人で解決しようと躍起になっていたようだが、そもそも彼は器用な人間ではない。見かねたミリヤムの助言もあり、次回からは収集も共に行動しようと話し合うのであった。
「おじ……美味しそうだね♪」
いつの間にかOECが酒場に来ており、酔っぱらった親父と何やら親しげに会話している。平原についての情報を得たようで、遠足気分でなく真面目に行動していた事と、その強力な人たらし力に3人は驚いていた。満足したのか情報チームと合流し、4人は今後の予定について話す。
「平原の魔域なら僕たちでもすぐに向かえそうだよ。みんな困ってるみたいだし、とりあえず先に安定させた方が良いんじゃないかな?」
「平原・森林のどちらにも秘物や宝と呼ばれるものがあるみたい。私はどちらでも構わないわ。」
「ヴィルマらしき目撃情報があって、森林の方に向かったと言うんだ。すぐにでもそっちに向かいたい。お前たちが平原に行くんなら俺は一人でも行くぞ。」
「おい…先ほど、一人で抱えるなと言ったばかりだが? 我々はまだ情報が足りない。森の主は平原より危険だと聞いたが、多少歩く程度ならば遭遇もしないだろう。魔域の存在も噂されている。一度森林の方に向かって、一先ず早めにヴィルマの情報を得る。OECもそれで良いか?」
「んまぁ、確かにヴィルマちゃんも心配だし。でも、平原も放置は出来ないから早めにね。」
「…すまない。恩に着る。」
情報を共有し、方針が決まった4人は残る買い物チームを迎えに行く。アメジストは壺だけでなく謎のお札やネックレスまで買わされそうになっていたが、既の所で止めることができた。必要な物品の購入は終えていたようで、テントや食料、コルガナ地方全体の地図など有用な道具は一通り揃えていた。一方のルミナリアはいくら探しても見つけられず、「森にエルフがいるという話を聞いてすっ飛んでいった」との目撃情報を得て全員が頭を抱える事となった。
「さて、コルガナ地方最初の一歩ですね。こういった事は始めが肝心と言います、気合を入れていきましょう!」
先ほどまで怪しげな勧誘を受けていたアメジストがまたも俗説的な話をしている事に心配を抱きつつ、一行はクルツホルム東門を通り抜けた。夜ということもあり見通しの悪い森林地帯となっているが、大浸食以前から利用されていた山道は辛うじて残っており、森林地方を抜けた次の都市、パルアケまでの道は迷わずに進めそうである。
「おおー!森だ!久しぶり!リスとかいるかなぁ?」
山道に向かい飛び出したOECに呼応するように、森の奥から巨大な生物が飛び出してきた。それは一切の前触れもなく、まるで日常と言わんばかりの自然さを装って一行の前に立ち塞がった。
「ーえ?」
目前に現れた巨大生物は真っすぐとこちらに敵意を向けてきている。今からクルツホルムを襲うつもりであったのだろうか、気が立っているのは明らかだ。ほとんどが唖然に取られ動けない中、森林に慣れたミリヤムがいち早く、指輪を割りつつ大きく叫ぶ。
「来るぞ!全員、戦闘態勢を整えろ!!」
一括され我に返った各々が臨戦状態となってゆく。次に叫んだのは、敵魔物の生態を一目で見抜いたOECだった。
「やばい!主だよ主!明らかに超格上!逃げた方が良いよ~!」
「この先にヴィルマがいるかもしれねえんだ!俺はどうあがいても逃げれねぇ!」
「でも、こんなもの私達だけで倒せるとは思えないわ…いくら何でも強すぎる。せめて狼がいなければ…」
突如現れた森林の主、スカーレットスタンプは数えきれないほど多数の狼を引き連れており、主としての風格を漂わせている。戦闘か逃走か悩む一行をよそに、狼達は四方に散らばり、瞬く間に囲まれてしまった。戦闘経験の少なさが、ここに来て致命的に影響を及ぼす。
「くそっ!やるしかねぇ! 全員、覚悟決めろ!!」
シャロームの鼓砲と共に戦闘が開始される。狼1個体はさほど強力ではなく、冒険者達の実力でも討伐は可能であったが、兎に角数が多かった。打ち漏らした一部がクルツホルムへ向かい出す。
「…ッ!! 都市にだけは、行かせない!!!」
騎馬を駆け先回りしたアメジストが身体を張り狼を止める。無理を通して彼女が態勢を崩したのを主は見逃さなかった。
「しまっ…」
這い寄った主の渾身の一撃がアメジストを直撃し、鈍い音と共に彼女は吹き飛んだ。高く高く突き上げられ、落下によって致命的な損傷を得ることは全員が理解する。だが救おうにも狼達は絶えず群がってくる。
「誰か、、助けて・・・」
希望が途絶えエンレイが目を覆いかけたその時、パキリという砕音と共に彼女の耳飾りから光の玉が飛び出し、落下直前の騎士をふわりと包み込む。光は徐々に実態を伴っていくと、聞き覚えのある声で、悪態を言い放つ。
「全く。昨日爽やかに別れたばかりじゃないか。早々に呼び出しおってからに。」
気絶したアメジストを抱き抱えながら、壁の守り人アレクサンドラは颯爽と姿を現した。残る冒険者達の元へ駆け寄るとすぐに魔法を唱え、アメジストを回復させる。
「おい、大丈夫か。」
「……! あ、アレクサンドラ殿。すまない、迷惑をかけたようだ。」
「よい。強き願いに答えるのも我らの役目。しかしこれは…なるほど事態は深刻なようだ。手を貸そう。」
アレクサンドラは槍を杖のように持ち、守備態勢を整える。
「すまぬが、ここではラピスは顕現出来んでな。指揮と回復は任せよ。」
「助かったわ、正に猫の手も借りたい状況だったのよ。」
エンレイの相槌に、猫か、それも良いなとアレクサンドラは自らの魔力を周囲に分散させる。水色に光るそれは猫の顔形に整っていた。
「狼共が四方散らばるのは厄介だ、周囲にマナを広げておく。後方の都市に向かわせぬよう、後退しつつ隊形を整えよ。主の注意は我と妖精騎士がもつ。狼を各個撃破ののち、総力を持って主を食い止めるぞ。」
顕現してすぐの的確な思考と行動に、過去、守り人と接触してきたミリヤムが感心する。
「流石"原初"の一人、か。恐ろしく、頼もしい。」
アレクサンドラの参戦後は、やはり流石と言うべきか、戦況は常時優勢であった。周囲を照らすマナによって深夜の狭道でも不意討ちを受けず、数の利を活かし切れない狼達は次々と数を減らしていく。スカーレットスタンプの進撃はアレクとアメジストの遠距離魔法によって進路を塞ぎ続け、目前に迫る頃には狼の姿は無くなっていた。前衛組も合流し、主に総攻撃を仕掛けていく。主の強さは冒険者一人ひとりには圧倒的であったが、前日にチームを組んだとは思えないほど息の合った連携を見せ、少しずつ追い詰めていくのであった。
「さて、あとは叩き潰すのみよ。自信のあるものはおるか。」
アレクの問いに対し、先程彼女に感化されたミリヤムが名乗りを上げる。
「任せてほしい。止めは、必ず。」
ミリヤムは敵前に駆けたかと思うと、瞬く間に夜の闇に溶け、主の背後に回る。
「闇之壱:虚心を穿つ闇弓 ー堕ちよ、"月光閃"」
天より落ちる一閃がスカーレットスタンプの頭蓋を砕き、巨体の崩れた先に美しく輝く月夜が顔を覗かせるのであった。
「疲れたぜ…ちょっとばかし、大浸食を舐めてたな、俺。」
「私もだ…だが、主を討伐し、全員生きて帰れた。結果としては最高の成果だ。良かったではないか。」
「まぁ、一番危なかったアメジストがそう言うのなら、いいのかしらね。」
激戦ののち、一行はすぐさまクルツホルムに引き返した。冒険者達の始めの1歩は全身全霊を賭けた戦いとなった。討伐結果の報告も兼ね、安全な都市内で休息することになった。
「今日はゆっくり布団で休む!じゃあねみんな!また明日!」
そう言い放ち、OECは宿屋…ではなく酒場の方へ去っていく。元気過ぎるアルヴに驚きつつ、一行は休息を取るのであった。
「この耳飾り…思ったより、凄いわね。人ひとりの魂を格納している…? そんなことが起こり得るのかしら。」
梟を懐に挟みつつ、エンレイは青金に光る遺物を見つめていた。戦闘後にアレクサンドラが話した事を思い出す。
『賭けであったが、アビスシャードを一つ拝借し無事成功したな。魔域の力があれば、こちら側でもわずかに顕現可能なようだ。現世の興味は尽きぬが、時間は無い様だな。君達が願えば、また私は力になると約束しよう。では。』
そう言って、アレクサンドラは光の玉となり、耳飾りの中に消えていった。初めて手に入れた遺物を詳細に調査したいが、器具も時間もない現状では推察する事しかできない。いつ無くなるかもしれない貴重品という事で絵に残しておくことにした彼女は、羽ペンを動かしながら、膝に乗る梟に話しかけるように、少しの思いを呟いた。
「カワユの魂もこんな風に……馬鹿ね、何を言ってるのかしら、私。」
二節
激戦から一夜、いや正確には一昼明け、太陽は地平線に沈みかけている。体力を回復した冒険者達は、次なる進路について話し合っていた。
「森林に行かないなら、俺はチーム抜ける。時間を無駄にしてる場合じゃねぇんだよ。」
「でもでも、昨日みたいな魔物とまた鉢合わせるのは僕もう嫌だよ? 身の丈に合った行動って大事じゃないかなぁ?」
「んなこと言って手遅れにでもなったらどうすんだ! モタモタして誰も救えなきゃ意味ねぇだろ!!」
バンッ!と机を叩く音が宿屋に響く。OECとシャロームの意見が真っ二つに割れてしまい、議論は平行線を辿っていた。元々の目的が他人への奉仕であるOECと、自分の責任であるシャロームでは感覚が全く異なっており、この場を適当に済ませてもこの先事あるごとにぶつかり続ける事だろう。仲裁案を思考するも両者の主張が間違いではない為良い案が浮かばず、アメジスト、エンレイは口をつぐんでいる。暫くすると、情報収集に出かけていたミリヤムが思わぬ話を持ち込んできた。
「おい、落ち着けお前達。酒場で話を聞いたのだが、昔、平原のどこかに"海賊の住処"があったんだと。…覚えているか? 私達が最初に出会った、入り江の魔域の事を。どうやら、あの時遭遇した海賊少女の拠点だったみたいだ。シャロームの話からして、ヴィルマが魔神に目を付けられたタイミングはあの時の魔域だと私は思っている。もしかしたら魔神の手がかりが掴めるかもしれない。…どうだ? 平原平定のついでとしては、悪くない話だろ?」
呼気荒れて話していたシャロームも、情報を噛み締めつつ、落ち着いて話し出す。
「……確かに。ヴィルマ、というか俺が魔神に狙われた理由も詳しく分かっちゃいない以上、似た女の目撃情報より有意義なモンが得られるかもしれねぇな…行こうぜ。悪かったなOEC、荒れちまうのは許してくれ。」
居心地悪そうに旅支度をし始める彼に対し、「まぁそういうこともあるよね、気にしてないよ♪」と人たらし力を見せつけるOEC。こうして一行の次の目的地は平原となるのであった。
クルツホルム西口の門を抜けると、時刻は夜に差し掛かっていた。平原には無数の天幕が設置されており、平原にある奈落の脅威からクルツホルムを防衛する兵士達が常駐している。今日はエルフの警備兵が担当のようである。
「…ん? エルフって……」
エンレイの予感通り、ある天幕の物陰から聞き覚えのある騒がしい声が聞こえてきた。ルミナリアだ。
「んんんエルフ!!!美しき肢体の戦士エルフ様方がこんなにもいらっしゃいますぞ!!! はぁあなんと神々しい!! 眩し過ぎてこれ以上近づけませぬ!!! ああ、某これでは眠れずに尊死してしまいますな‥‥あ…そういや寝てないしなんも食べてなかった…」
パタリ、と倒れる様を遠くから見ていた冒険者達であったが、流石に放っておくことも出来ず、戦士達にお願いして近くの天幕に宿泊させてもらうことにした。一泊の恩にと料理や食材を振る舞いつつ、兵士達に平原の近況について話を聞く。
「ここは警備をしっかり行っているのもあって比較的安全だが、奥に行くと平原の主の大蛇が住み着いてるわ、奈落の魔域から魔神達が溢れてくるわでとても人が歩ける状態じゃねぇ。警備兵の一部が斥候に向かって行ったんだが帰ってこないような状況だ。…あんたら奥に行く気かい? 平和にしてくれるってなら願ったり叶ったりだ。もし余裕があったら斥候隊の救出も頼みたいんだが大丈夫か?」
警備兵の願いにアメジストが「任せてほしい!」と即答する。その様を眺めメモを取りながら、エンレイが現状をまとめていく。
「えーっと、主の討伐に魔域の破壊、海賊少女訪問、兵士の救出、遺物の捜索。笑っちゃうくらいやることだらけね。新米冒険者のやる事じゃないわ。時間も限られてる訳だし、今後はあまり安請け合いしない方が良いかもしれない。」
冷静な分析をきいたアメジストは気まずそうに、しかし確かな意思をもって語る。
「うっっ…そうかもしれないが、私は、出来るだけ多くの人を救いたい。この地方に来たのも誰かの助けになればと思ったからなのだ。貴殿らの目的の邪魔にはならないよう努力するから、多少は見逃してくれないか。」
眩しいほどの正論を話す彼女に対し、昔の夢がよぎったのか、誰よりも急いでいるはずのシャロームが声を上げる。
「ま、依頼を受けたら達成するのが冒険者だな。俺達の目的のついでに誰かを救えるってなら、見捨てて行くよりは良いんじゃないか?」
先の喧騒とは裏腹にあっさりと承諾したシャロームに合わせ、一行の行動方針が決まっていく。その傍で、OECはにやりとほくそ笑んだ。
「(なるほどね、冒険者に憧れあり~っと。次からは簡単に説得できそうだね♪)」
一夜明け、ルミナリアの復活と共に冒険者達は平原の奥へと進みだす。警備担当がエルフからリカントに変わったためルミナリアもついてくるようだ。
「いや~~最高でしたな戦士エルフ。ところで何処に向かっているんですかね? エルフの楽園? 楽エルフですかね?」
「…んまぁ、そんな感じの場所よ。もしかしたら、すんごい高貴なエルフがいるかもしれないわ。」
珍しいエンレイの意地悪な笑み。彼女の想定通り、道中の魔神達はルミナリアが張り切って殲滅してくれた。
半日ほど進み、一行は魔域の出現している旧ハルーラ協会跡地に着く。魔域は協会の真上に発生しているが、拡大する気配はない。内部には魔神が住み着いていたが難なく掃討し、魔域へ続く道を見つけるべく協会内の探索を始めた。
「おお! ハルーラの銅像ですな! 一説にはハルーラ神は元々エルフの美少女で、イーヴ神と共に聖夜の姉妹"ノエルフ・シスター"という2つ名があったりしまして…」
「ちょっと、ハルーラ様に変な名前付けないでよ。」
べたべたと銅像を触るルミナリアに少しだけ御冠のOEC。銅像の隅にきらりと光る物体があるのをミリヤムは見逃さなかった。
「おい、なんかあるぞ。……これは、ハルーラの聖印か?」
OECに見せると、大興奮でミリヤムに抱きつきだした。
「凄い! ハルーラ様の御力が篭った聖印だ! ハルーラ様、ずっとここで奈落の侵食を防ぎ続けてたんだ!!」
そう言いながら聖印を頭に付けると、聖印は神官に反応するように輝きだす。灯りによって屋上へ続く階段も見つかり、魔域の前まで進むことが出来た。
「ハルーラ様の御力を借りたんだし、気合入れないとね。」
いつになく真剣なOECを先頭に、冒険者達はコルガナ地方最初の魔域へと足を踏み入れた。
魔域の中は人の行き交う大都市が広がっていた。魔域の中は誰かの心象風景が広がる事も多い、エンレイの言葉から"魔域の主役"を探していると、突如ルミナリアの黄色い叫び声が聞こえる。どうやらエルフがいたようだ。
「あわわっわわわわ、金色に光り輝くエルフ様、エルフ様がそこに!!!!」
壁ごしにエルフを覗く変態に呆れつつ指さす方向を確認すると、金髪の青年が路地裏に入っていくのが見えた。と同時にルミナリアが少女に話しかけられ「ぎゃっ!」と悲鳴を上げる。
「金髪のエルフと言いましたね!? どこにいましたか!!」
慌てふためく少女はルミナリアの両肩を掴みブンブンと揺さぶっている。路地裏に入っていった旨を伝えると、少女の顔は急激に青ざめ、冒険者達に懇願する。
「あ、ああの裏路地は怖い人達がいっぱいいる場所、、、お願いです、キャラウェイ様を追いかけるの、手伝ってもらえませんか!? ああ、すみません、私の名前はカティアと言いまして、キャラウェイ様の従者をしています。」
「よし任された。すぐに追いかけよう。」
即答したアメジストに合わせ、少女を連れて裏路地を進む。気付くと、エンレイは彼女の名を聞いて以降カティアから距離を取っていた。
裏街通りのような場所に行き着いたが、金髪エルフの姿は見えなかった。カティアに行先の目安はないか尋ねると、酒場、金貸し、賭博場、花街と軒並みアウトローな場所を指定される。
「エルフの行先ならルミナリアでは?」
「私の尊敬するエルフ様はそんなとこ行かれませんぞ?」
「ここはやっぱり、男の子のシャロームに当ててもらおう!」
「うーん、俺そーゆーとこに縁無かったから分かんねえな。。。」
「賭博とか似合いそうなものだけれど…困ったわね。」
「…なんとなくだが、行先は分かる。ついてきてくれ。」
アウトローとはかけ離れたアメジストが立候補し、どよめく冒険者達。
「なんと、アメジスト殿が。意外ですな。」
「ぃや、父うぇ…昔の知り合いが、よくこんな風に街を駆け回っていてな。見つけるのに苦労したものだ。」
「アメちゃんも振り回されて大変だったんだねぇ。」
「ふふ、そうかもしれないが、あの人は他人の為に全力が出せる、素晴らしい人だった。」
アメジストの案内で裏街を歩く。道中、同じハルーラ様の神官繋がりでOECとカティアはとても仲良くなり、仲の良い姉妹のように映っていた。賭博場、金貸し、酒場と訪れたところ常に直前までいたとの事で予想は見事に的中しており、最終的に飲んだくれているキャラウェイを無事捕縛することが出来た。
「キャラウェイ様! やっと見つけました! さぁ、行きますよ!」
「ま、まて、落ち着けカティア。今は貴重な情報収集の時間でな・・・」
「ふーんそうですか、私の大切な聖印を質に入れるくらい、さぞ大事な情報を手に入れたんですね?」
「い、いや、それはだな・・・」
しどろもどろになっているキャラウェイをロープでぐるぐる巻きにしつつ、カティアは冒険者達に礼を言う。
「本当に、ありがとうございました。私一人では捕まえることも出来ず。皆様の旅路に、ハルーラの祝福があらんことを。」
その言葉にOECが反応すると同時に、世界が歪み、冒険者達は更なる闇へと落ちていった。落下中、エンレイは思案し続けた事を呟いていく。
「あれが、"英雄殺し"カティア・ロッサ? どう見ても、普通の女の子だったけど…」
目を覚ますと、一面の雪景色が広がる山脈の中にいた。重さのせいで頭から雪に刺さったミリヤムを引き上げていると、最早見慣れた人影が姿を現す。
「うむ。またしても昨日ぶりの。そんなに私に会いたいか、お前達。愛い奴らめ。」
壁の守人アレクサンドラが耳飾りから顕現する。皮肉っぽく言ってはいるが、不快では無い様に見える。奈落の魔域内では無制限に顕現可能と言ってたわね、とエンレイが早速質問攻めの構えを見せたが、少し先で戦闘音が聞こえてくる事に気付き、一先ずそちらに向かうことにした。
「キャラウェイ様、おやめください!」
戦場へ向かうとすぐに、先程苦労していた少女カティアが崖に立つキャラウェイに対し叫んでいるのが見えた。周囲では魔神と兵士達が戦闘を行っているが劣勢であり、次々と兵士が倒れていく。一行が救援のため近づくと、図ったかのようにキャラウェイが叫んだ。
「すまないな、カティア。そして名も知らぬ冒険者達よ。君たちの尊い犠牲は無駄にはしない。」
そう言うと同時に崖から飛び降り、刹那、上方から爆発音が鳴り響き、振動と共に雪崩が発生した。雪崩は戦況を包み込む巨大な大きさであり、当然、冒険者達も巻き込まれるサイズである。
「おいおいおい! 冗談じゃねえぞ!!」
「アレク~なんとかしてえ~!!」
「む、無理を言うでない!! …が、多分、大丈夫な気はするな。見るがよい。」
前方を見ると、カティアが杖を掲げ呪文を唱えている。視界が光に包まれた後、目を開けると冒険者達は洞窟内にいた。
「近くの洞窟に転送されたのか。凄いですね、カティアさん。おかげで助かりました。」
アメジストが礼を言うが、大魔法後の疲労したカティアの表情は厳しいままだ。
「…いえ、貴方達を助けられたのは良かったのですが、戦闘中の兵士達を連れてくることは出来ませんでした。出てすぐの雪に埋もれてしまっているでしょう。どうか、お力をお貸しいただけないでしょうか。」
「今すぐ行くぞ。時間が足りない。・・・チッ、一部の魔神達は無事の様だぞ。」
魔神達は一部が雪の中から飛び出してきており、特に手傷もなく彷徨い出す。ミリヤムの報告を元に迎撃態勢を整え、流れるように戦闘を開始した。
「魔神の事なら、ハルーラ神官の僕にお任せ!☆ 弱点も含めて情報はバッチリだよ!」
光る聖印を掲げながら、OECが的確に情報を伝えていく。転倒しないアガル達と翼を持つザルバードは雪の影響を受けず厄介な相手であったが、アレクの先導とカティアの補助、ルミナリアの存在もあったため、森林の主ほど苦戦する事はなかった。対魔神戦の皆の力の入れようも凄まじく、一行の魔神への殺意が垣間見える戦闘となった。
戦い自体は無事に終わったが、続く兵士の救出が難航を極めた。雪が想像以上に深く積み上がり流れたため場所の検討すらつかなかったのだ。次第に空も暗くなり、諦めかけたその時に、一人のルーンフォークが発見される。治療すれば、まだ命は繋がるかもしれない、カティアが兵士に駆け寄ると、兵士は最期の意地と言わんばかりに、胸の奥に秘められた言葉を話し始めた。
「カティア様…ご無事で、なによりです。」
「貴方も助かるわ! 諦めちゃダメよ!」
「良いのです。これは、あの時の報い…私達がノマリ族を、貴女様の御家族を囮にして逃げ遂せた時の罪の精算…」
「……え…? なにを、言って……」
「私達が魔神に追われ窮地に陥った時、たまたまそこにノマリ族のキャラバンが通りかかった…キャラウェイ様は魔神の標的がそちらになる様あえて進路を変更した…ゴホッ…貴女様以外が全滅した、あの襲撃事件はキャラウェイ様が自らの指揮ミスを帳消しにするために起こしたもの。キャラウェイ様は結果を何よりも大事にされる方。。私達一般兵はキャラウェイ様の言葉に逆らえません…せめてもと貴女様だけはご無事に生きていただけるようにと頑張ったの…ですが今回、も、キャラウェイ様は全てを飲み込んで、貴女様ごと隠蔽しようと…」
「……そんな…、、キャラウェイ、様が、皆の命を……?」
「カティア様…許してくれとは言いません…ですが…この命はもう終えさせてください…これ以上、、私が貴女の笑顔を見る資格など、、、」
「…そん、な・・・」
カティアは兵士を看取ると、山奥を見つめ、意を決したようにハルーラの聖印を胸から剥ぎ取る。
「…皆様、探索はもう大丈夫です。兵士の方々も、生きてまたキャラウェイの手下になることを望みはしないでしょう。」
聖印と共に、頭に巻いたターバンをOECに託し、背を向けて彼女は話す。
「壁の守人、誇り高きノマリ族、ハルーラの神官。その全てを投げ捨てて、私は個の望みを叶えに行きます。あの者を放っておいたら、また兵士達や私の家族のような犠牲者が出るかもしれない。それだけは、絶対に許せない。OEC、変な事頼んでゴメンね。…それでは。」
先程キャラウェイが落ちた崖を目指し走り出すカティア。一瞬あっけにとられたOECが叫ぶ。
「待って!敵討なんてダメだよ! ハルーラ様は全てを許す事こそが最善だと! 罪を受け入れさせる事が本当の真実に繋がるんだって言ってたじゃないか!待って!」
追いかけようとしたOECを、エンレイが少し震えた声で引き留める。
「駄目よOEC。ここは魔域。過去の残像。今貴女が何を言っても、"英雄殺し"カティア・ロッサは事を成し、世界に悪名を遺す。遺してしまう…」
泣きじゃくるOECを抱くエンレイの前に、アビス・コアが出現した。呆然としていると、頼れる守人が前に出る。
「…彼女の心残りは、『どうして英雄を殺したのか』を誰かに知ってもらいたかった事なのかもしれないな。」
アレクサンドラがコアを破壊しつつ話す。魔域の空間縮小が起きる中、シャロームが独り言のように、塞ぎ込むOECに語る。
「…俺は宗教とか分かんねぇけどよ。カティアが現代でノマリ族の恥だなんだ言われてたら、そいつぶっ飛ばしてやるよ。」
それじゃダメなんだって、バカだなぁ、と笑いながら、OECも立ち上がる。こうして冒険者達は、コルガナ地方最初の奈落の魔域破壊に成功するのであった。
三節
「おお!一面の花畑!! 月明りに照らされ、なんと美しい光景か!!」
アメジストがはしゃぎ出し、OECもそれに続く。冒険者達は奈落の魔域攻略後、街へ戻らずそのまま平原の探索を続ける事にした。クルツホルム斥候兵達の行方が未だ掴めていないからだ。魔域に侵入した形跡もなかったため、そのまま平原の別地域へ足を伸ばしていた。
「いやー、それにしても、昨日の飲み会は久々に酒が飲めて最高だったな!」
「シャローム!お前私のゼロ丸にお酒を飲ませただろう!なんてことしてくれたんだ!」
「コマケーこと気にすんなって!ゼロ丸も楽しそうだったぜ。」
「そうですぞ!顔を赤らめるエルフと話せただけで僥倖というものです!」
元気に話す仲間達を見ながら、ミリヤムとエンレイは青ざめた顔で休んでいる。
「なんで、あんな強い酒を量飲んで、平然としてるんだあいつら…」
「早く朝…朝になって……」
ここへ来る道中、一行はノマリ族のキャラバンに遭遇していた。彼らはOECがカティアから貰ったバンダナ(腹に巻いている)を見て同胞と思い声をかけてきたようで、気前よく商品を案内してくれた。疲労回復薬や視野拡大薬から感度上昇薬などの怪しい薬まで行商とは思えぬほど豊富な品揃えであり、大量に購入した結果商人達に気に入られ、なんやかんやで宴会を開くことになったのだ。OECは早速カティアの話を聞こうと息巻いていたが、商人達の用意した果実酒が強力なアルコールを含んでいたため敢え無く撃沈。ミリヤムとエンレイも潰れてしまい、結果として"酒バカ"と"エルフキチ"と"場に流される子"の3人で聞き届けたためまともな情報収集が出来なかった。一応最初にカティアについて聞いたが、特段悪い話をしてこなかったため「よし、もういいな、酒だ」となってしまったのである。カティアから貰ったバンダナについても、なんか古い模様だね、で終わってしまい、次こそはまともに話を聞こう、とミリヤム・エンレイは決意を固めたのであった。
花畑に無数に這い寄る毒蛇を討伐数を競いながら倒していると、復活したミリヤムが動物の存在に気付く。
「虎か。やはり猫族は可愛いな。ほら、こっちおいで。」
右手で弓を構えながら左手を猫手に誘ったが、虎達はミリヤムの方ではなく、近くにある洞窟ばかり気にしている。違和感に気付き全員を集め、茂みに隠れ様子を探る。
「虎達が洞窟内の何かを狙っているようだ。もしかしたら斥候兵達かもしれん。」
「それは大変だ、今すぐ助けよう。」
「しっかし、タイガーって舐めたらまずい程度には強かったよな?」
「…任せて。今なら多分、貫ける。」
合図と共に梟が虎達に近付く。その合間にエンレイが光の束をかき集め、梟の示した方向を狙い直線状に放出する。
「…-ライトニング―」
雷撃音と共に茂みから放たれた光に貫かれ、虎達はその場で気絶する。絶命にまでは至っていないが、暫くは起き上がれないだろう。
「エンレイ、すごーい。」
「意外と暗殺も向いてるんじゃないか?」
「やめて。私は学者なの。一応ね。」
肩に戻る梟を優しくなでながら、才女は颯爽と茂みを出るのであった。
†
洞窟内は暗闇に包まれており、ランプを付けても一寸先はほとんど見えない。警戒しつつ声を出しながら先へ進むと奥から返答が聞こえてくる。ヒト族の声だ。
「君達は…冒険者か! 虎達を倒してここに来たのかね?」
声と共に視界に炎が灯り、兵士の集団が現れた。重症者もおり、虎に気付かれないよう灯りを消していたことが伺える。
「ああ、良かった、クルツホルムの斥候兵ですね。問題発生と聞き、助けに参りました。」
アメジストが代表として話を聞きながら、シャロームの薬草とOECの回復魔法で重傷者の看病を行った。斥候兵は身軽な装備だったため、速度と耐久性を備えるタイガーとは相性が悪かったらしい。
「いや、助かったよ。逃げ込んだ先でこの洞窟の奥に主がいたらと思ったが、この先は大きな扉があるだけで何もいなくてね。虎達が去るまでここで潜んでいようと思ったんだ。」
「…大きな、扉?」
学者様がすかさず反応する。背後の安全を確認するため、そうエンレイに言いくるめられ一行は奥に進むと、魔動機文明時代であろう巨大な古代扉が目の前に現れた。中央には非常に古い形式のマギスフィアが嵌め込まれており、これを動力にして扉が開かれるようだ。
「デカすぎんだろ・・・」
「困ったわね、ここまで大きいと力づくでも開けられないわ。」
なんとか開けられないか調査するも時間だけが過ぎていく。暫くすると探索に飽きたのか飲酒チームが雑談を始めていた。ふと、ノマリ族との会話の内容を思い出す。
「そうそう、おっさん達なんか歌ってたよな。この辺の地域に代々伝わる歌があるとかなんとか。何言ってるか聞き取れんかったけどオモロかったな。」
「確か魔動機文明語…だったよね。発音だけ覚えているぞ。シオシオナンジャ、エイ!go! ノ無理~ノナカニィ~♪」
アメジストが歌い出すと、巨大な扉が僅かに動く。何をしても動かなかった古代扉の突然の反応に驚く一行だったが、若干雑談が聞こえていたミリヤムがふと気づく。
「おい、その歌ちょっと僕に教えてくれ。」
「え、ぁ、ああ。いいぞ。まず音程は…」
「いや、先に呪文の方から教えてくれないか?」
"死よ、死よ、汝は永劫の眠りの中に。いつか見た憧憬は、我らには眩し過ぎる"
魔動機文明語が理解できるミリヤムが歌詞を解読し、あらためて唱えるとマギスフィアが先程より強く反応を示した。幾度か検証したところ前半が開扉の呪文、後半が閉扉の呪文のようで、半分だけ唱えると扉は引き戸の如く壁に吸い込まれていった。開かれた道からは湿度の高い空気が吹き出してくる。
「ウソだろ…アメジスト、すげぇな。」
「あはは、私というよりはノマリ族の情報網と読み解いたミリヤムの知識だろう。ちなみに、歌詞の意味はなんだったんだ?」
「永遠に眠る者へ送る歌だ。…気を付けろ、恐らく何かいるぞ。」
†
扉から続く通路は長くなく、すぐに開けた場所へと辿り着いた。半球状の空洞に湖が広がっているが、べた付いた潮風からして海水が溜まっているようだった。そして湖畔には武装したスケルトン達がまるで生きているかのようにのんびりと過ごしている。
「ん? なんかあるぞ?」
シャロームが暗がりを少し進むと奥に腐り堕ちた木造の建物が見えた。と同時に建物からスケルトン達が飛び出し、周囲にいたスケルトンと共に一行に襲い掛かってくる。動きからしてただのスケルトンではなく、今の実力では捌けそうにない。
「一度退却しよう! 歌詞の通りだ、ここは死の気配が強すぎる!!」
「そうだね~今は斥候隊の人達もいる事だし。彼らを無事に帰すのが最優先だね。」
全速力で元来た道を引き返し、扉の手前まで辿り着く。
「"いつか見た憧憬は、我らには眩し過ぎる"!!」
マギスフィアの反応と共に側壁より扉が動き出し、スケルトンの到着前に締め切られた。一行が落ち着きを取り戻しながら洞窟を抜け出す最中、建物を間近で見たシャロームは思考する。
「うーん、木材の上に引っ掛かってた布の絵、なんか見覚えあるんだよな…なんだったかな…」
†
洞窟の出口に近づくと陽の光が漏れだしてきた。どうやら朝を迎えたようだ。
斥候隊を待ち構えていた虎の姿はなく、焼け焦げた草花の後だけが残っている。
「あ~!気持ちいい朝だね!エンレイ!」
「本当よ。もう二度とアルコールなんて摂取しないわ。」
「そう言うなって!酒飲んだおかげで今の気持ち良さが味わえたんだぜ?」
「そうですぞ!エルフ様とまた飲みたいですな。…おや、なんですかなあれは。」
ルミナリアの見つけたそれは、朝の清々しい空気
セッション履歴
No. | 日付 | タイトル | 経験点 | ガメル | 名誉点 | 成長 | GM | 参加者 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
キャラクター作成 | 10,0006,000 |
80
| 敏捷×3 | 筋力×1 知力×1
|
| | ||
1 | 2022/12/16 | 前日譚・海賊の入江 | 1,5201,500 |
22
| 精神 | ふにゃ
| あいのあすたえんじゃくそん
| |
2 | 2023/1/19 | アレキサンドラ・エンゲージ | 1,9101,000 |
| 敏捷 | ふにゃ
| あいのあすたえんくらげじゃくそん
| |
3 | 2023/2/2 | アレキサンドラ・エンゲージⅡ | 1,2002,000 |
45
| 筋力 | ふにゃ
| あいのあすたえんじゃくそん
| |
4 | 2023/2/9-16 | 平原完クリ(?) | 3,0003,000 |
40
| 筋力 | 器用 ふにゃ
| あいのあすたえんくらげじゃくそん
| |
5 | 2023/23-3/9 | 外伝からの風の塔 | 1,400
| 13
| 筋力 | ふにゃ
| あいのあすたえんくらげじゃくそん
| |
6 | 3/10 | 森林の魔域 | 2,0003,000 |
23
| 敏捷 | ふにゃ
| あいのあすたえんくらげじゃくそん
| |
7 | 3/17 | 山岳にて | 3,2005,000 |
20
| 生命 | 器用 ふにゃ
| あいのあすたえんくらげじゃくそん
| |
8 | 4/28 | いろいろあってクルツホルム | 4,2007,000 |
27
| 敏捷 | 生命 ふにゃ
| あいのあすたえんくらげじゃくそん
| |
9 | 5/23 | 無限列車編 | 4,00010,000 |
27
| 精神 | 筋力 生命 精神 ふにゃ
| あいのあすたえんくらげじゃくそん
| |
10 | 6/9 | キメラキマイラ | 2,6009,000 |
61
| 器用 | 精神 ふにゃ
| あいのあすたえんじゃくそん
| |
11 | 6/16 | 滅塵☆邪教団 | 2,8006,000 |
49
| 精神 | 器用 器用 ふにゃ
| あいのあすたえんじゃくそん
| |
12 | 9/7 | 愛してるぜヴィルマ | 6,60020,000 |
122
| 敏捷 | 生命 敏捷 生命 筋力 敏捷 ふにゃ
| あいのあすたえんくらげじゃくそん
| |
13 | 9/28 | くまクマ熊ベアー | 5,20014,000 |
135
| 精神 | 敏捷 敏捷 筋力 ふにゃ
| あいのあすたえんくらげじゃくそん
| |
14 | 10/19 | 滅びし都エルヤ・ビビ | 3,640
| 48
| 生命 | 器用 ふにゃ
| あいのあすたえんくらげじゃくそん
| |
15 | 12/7 | いざ最終決戦の地へ | 12,31030,000 |
103
| 精神 | 精神 生命 敏捷 敏捷 筋力 ふにゃ
| あいのあすたえんくらげじゃくそん
| |
取得総計 | 79,200 | 117,500 | 815 | 43 |
収支履歴
冒険者セット::-100
アラミドコート::-750
ロングスピア::-220
軍師徴章::-100
気付け薬::-20
薬師道具セット::-200
ブレードスカート::-4580
情報料::-450
たくみの指輪::-500
リュングスベスト::-2750
アラミドコート::+385
マナチャージクリスタル::-2500
セービングマント::-8000
野伏::-1000
熊の爪::-6000
ロングスピア売却::+110
軍師徴章売却::+50
蝙蝠の耳飾り::-3500
スマルティエのヘドバン::-6000
スマルティエの武道帯::-6000
スマルティエの銀鈴::-7500
スマルティエのカッコイイまふらー::-250
アイソアーマスク::-2000
スマルティエの筋力腕輪::-900
軽業のブーツ::-11600
たくみの指輪売却::-250
スマルティエの器用腕輪::-900
オーシャントライデント::-6000
魔法の武器化::-20000
召異化::-200
スマルティエのカッコイイまふらー売却::+125
ラル=ヴェイネの肩掛け::-15000
魔晶石3点×3::-900
消魔の守護石5点×4::-10000