プロフィール

一般技能

「オレ様の名前が知りてぇのか？しょうがねぇなぁ。――オレ様はアルタイル、アルタイル・ファルマシアだ。学びだとか絆だとかに興味はねぇが、…ま、縁が続く限りは付き合ってやるよ」
「ハッ、生憎と記憶喪失の身でなぁ。こちとら覚えてる物の方が少ないってもんだが、いざとなったら頼りにしてくれて構わないぜ？」
「努力だ友情だ、寒気がして敵わんが―――勝利ってのは嫌いじゃないさ。ここはひとつ、『仲良く』やろうぜ？お互いに、なぁ？」

10年前、サラディーン地方南東に位置する港町テルミナの浜辺に打ち上げられていたところを拾われた青年。
記憶喪失を自称しているが、その割にはそうした気配を感じさせない傲岸不遜な態度と自信過剰とも思える言動が目立つ。
同じ姓で学園に在籍するネーヴェとは10年前に拾われたときからの縁で妹同然のような扱いで接しており、普段の粗雑な態度とは一変し過保護な一面を見せることもしばしば。
白百合の学園への在籍経緯もそうした繋がりから来るもので、推薦で入学したネーヴェの付き添いを二人の養親に頼まれたからであり、当の本人にはあまり学びの意思はない。
しかしながらその一方で『力』に強い執着を抱いている一面もあり、物の序でといった様子で多少の勉学に励みながら、学生としての日々を過ごしている。

背景

10年前に、港町テルミナで発見された青年。両目とも虹彩が菫色に輝いている、珍しい色素の目を有している。
特にその左目には魔域で生まれた者に備わる「魔眼」の反応が色濃く浮かんでおり、開眼の際には魔眼から青い炎を発する。
記憶喪失であるためか、ファルマシア家に拾われる以前の詳細は明らかとなっている部分は少ない。
確かなことは、彼という存在は”奈落の魔域”でその命を育み生まれて来たということだけである。

人格的特徴

一言で言えば「傲慢」に尽きるタイプ。
自らのことをオレ様と言い、自信過剰で気障な一面が目立つ。
とはいえそれは本人の素の部分とは言いづらく、自らに関わりのある相手や親しい人物と話すときは傲岸不遜な態度はやや成りを潜め、一人称も「俺」と至って普通な付き合いを行う（自信家な一面は本人の気質の問題のようだが）。
また『慣れ合いは好きではない』というような態度を示しておきながら、『人の助けになる道を進んで選ぶ』など、ある種の矛盾的行動を見せる姿も度々あり、港町にいた頃は養親の手伝いを進んで買って出ていた。
時おり何か見えないものと会話しているのではと見紛うほどに独り言を溢している姿が散見されるなど、どこか不安定で繊細な一面が見えることもあり、その全体において彼の性格というのは形容し難いものとなっている。

尊ぶもの

過去に何か強烈な経験をしたのか「普通」を何よりも尊び、羨望の眼差しさえ向けることもある。
かくいうアルタイル自身もこの10年は本人の尊ぶ普通な日常を営んでいたこともあってか、家族を始め一部の町の住民には好意的な反応を示している。
その一方で彼はそうした日常への隔たりも強く有しており、時おりテルミナから見える青い海を眺めて一人過ごすこともあった。
―――異界で生まれた確かな証を持つ自分は、ヒトと呼ぶには醜いものだろう。

関わり深いもの

10年前から共に暮らしている「家族」のことは、彼にとって今は唯一とも言える繋がりである。
町での暮らしは、まさに普通に尽きるものだった。
刺激と呼べるものは少なく、危険と思うものはなく、平穏と退屈に塗れた人生。
―――けれどそこでの生活は、自分にとって決して悪くはないものだった。

弱味

普段の彼は傲岸不遜で自信家という一面から忌避の対象となる場合もあり、学園では浮いた(・・・)存在の一人として数えられている。
一方で家族を始め繋がりを有する相手には情に厚い一面もあり、そうした極端な様子からは情緒の安定性に欠ける様子が垣間見えることもしばしば。
また基本的に他人の悪意には敏感である反面それを挑発するような言動を見せることもあるなど、危険やリスクを顧みることもあまりない性格が、時に衝突の要因となっている。

ルーチェ・ファルマシア

関係：養母　年齢：85
養子として引き取られる切っ掛けを作った張本人であり、アルタイルにとっては実の母親代わりに自分を育ててくれた人物。
最初こそ「ルーチェさん」と他人行儀な接し方に務めていたが、月日の経過に伴い本当の家族のような信頼関係が築かれていくにつれて、現在では「母さん」と普遍的な家庭と遜色ない呼び方を心掛けている。
一方で本当の息子のように純粋な愛情を向けて来るルーチェに昔から苦手意識のようなものがあり、その好意には未だ慣れていないところがある。

スクアード・ファルマシア

関係：養父　年齢：123
ルーチェの夫であり、港町テルミナで警護隊長を務めている人物。だが、殆ど有事の際にしか動くことはなく、普段は漁師として平和な町で気楽に魚を獲って生活している。
最初はルーチェと同じく「スクアードさん」と他人行儀な関係が続いていたが、ルーチェを母と呼ぶようになってからはスクアードに剣の稽古を付けてほしいと自ら志願したことで、次第にその距離も詰まっていった。
また、漁師としての仕事や警護の任務など、男手のいるスクアードの仕事を頻繁に手伝っており、ネーヴェを除けば（ルーチェを避ける体のいい理由であったことも含めて）二番目にアルタイルにとって関わりの多い人物でもある。

ヴェント・ファルマシア

関係：養祖父　年齢：280
アルタイルが育った港町テルミナにて長老の側近を務めている人物。
典型的なエルフの気性を持ち合わせており他種族や余所者に厳しい部分があったせいか、アルタイルを養子として引き取るとルーチェが口にした際には、あまり良い反応をされなかった記憶が幼いながらに残っている。
そのためか、未だに上手な関係が築けているとは言い難い人物でもあり、後述するネーヴェの入学の切っ掛けを作った人物ということもあってか、アルタイルはあまりヴェントのことを快く思っていない。
一方でヴェントがネーヴェに向けている溺愛的なまでの愛情は認めており、ある意味で似た者同士なのかもしれないなとアルタイルは時おり彼との関係について尋ねられたときには苦笑しながらに応えている。

ネーヴェ・エル・ファルマシア

関係：義妹　年齢：13
10年前に養子として迎え入れられたファルマシア家にいた一人娘。
当初はぎこちない関係が続いていたものの歳が近かったこともあってか、月日が経つに伴い徐々に本当の兄妹のような関係となった。
ネーヴェの前では実の兄のように振舞ったり時には優位に立とうとする言動を見せるものの、本心では自分よりも実力や才能があることを認めており、その力が世俗的な目的に利用されぬようにと気を配っている。
そのためネーヴェが国立教育機関サラスヴァナムに入学するとなった際には「まだ幼い上に、ただでさえ引っ込み思案な彼女が学園で平穏な生活を送れるわけがない」と反対寄りの意見を口にしていたが、ルーチェからネーヴェの面倒を見るための同伴をお願いされ、渋々付き添いで彼女が入学する学園まで着いていくこととなった。

アルタイルにはもうひとつ、悪意的な感情を伴った精神性が存在する。
二重人格とするには分かたれておらず共通の人格とするには相反しているそれは、彼の中に混ざっている『魔神』こそがその正体である。

その魔神はときに、彼に向けて囁くだろう。
「お前が新しく出会ったお仲間たちがいっそ不幸になっちまえば、こんな世界も退屈凌ぎにゃ面白いのになァ」
その度に青年は、己の中に眠る意思に反発するように口にするのだ。
「―――そんな陳腐な物語を描くために、俺(・)はあの世界(・・・・)から出て来たわけじゃねぇよ」

青年は、記憶喪失を自称した存在だ。
その青年が腹の内に何を抱え、何のために生きているかを知る者は―――未だ世界の何処にもいない。
きっとその理由は、彼自身でさえも。