Kotone Hortensia

経歴表結果

経歴・性格など

「お願い、私を外へと連れて行って！それがダメだというのなら……その拳で、私を好きなようにして」

綿の花を咲かせた短命種のメリアの少女。出身はミラージ共和連邦の自治国家の一つであるらしい。
街ではそれなりに大きな家であるアンブラ家の育ちながら、今は家名を捨てている家出娘である。

裕福な家に生まれたが、生まれた家は積極的に街の権力争いに飛び込んでいくような家であった。
一家はミラージ共和連邦の「議員」の席を狙っており、その国の当代「議員」の一派へと取り入ろうとしていたのだ。
そのため、コトネ自身も権力争いに参加することが一家から望まれていたが、本人はそうして圧力を受けるのを嫌っていた。
そうした圧力から逃れるべく、コトネはよく家の書庫に籠り、書物を読み耽っていたそうだ。
また、こっそりと家を抜け出して市街を訪れた時にできた友人との知恵比べは、コトネの数少ない楽しみであった。

ある日、業を煮やした対抗勢力の家から、まだ２歳のコトネを排除するべく「黒牙賊(こくがぞく)」の暗殺者が送り込まれることとなった。
そうしてやってきた刺客こそが、当時３歳の暗殺者だったヨイヅキである。
……当時のヨイヅキは【旋風】と呼ばれた恐るべき暗殺者で、彼に狙われた者はまず生還できないと言われていた。
しかし、今まで一度もターゲットを逃さなかったヨイヅキの刃が、コトネを殺めることはなかった。
ヨイヅキがコトネに一目惚れでもしたのか、はたまた今までのターゲットと全く違う雰囲気に驚いていたのか……。
ヨイヅキに、今まで己が持つことのなかった「人の心」を知りたいという欲が芽生えたのだった。
そうして呆けていたヨイヅキに、すかさずコトネは詰め寄り、説得を敢行した。
ヨイヅキはコトネを殺めることが出来ず、コトネは「家」での生活からの解放を求めていた。
……ヨイヅキはコトネに言われるままに、彼女を抱えてその家を離れた。

そこから暫く、ヨイヅキとコトネは二人きりの逃避行を続けることとなった。
コトネの生家、ヨイヅキを雇った家、ヨイヅキが所属していた組織……それらが放つ数多の刺客を退け、躱し続けた。
ヨイヅキは拳闘士の武力と斥候の技量を活かし、追手や自然の猛威からコトネを守り続けた。
一方で、コトネはヨイヅキに「人の心」を含めた様々なものを教えたのだった。
そうしてヨイヅキは、「人を殺す殺戮人形」から「人間」へと変わることができたのだった。
その中で、二人は恋心を自覚し、互いを愛し合うようになったようである。

そうして１年の逃避行の末、二人は完全に追っ手を撒くことに成功する。
行き着いた場所は、ハーヴェスとグランゼールの中間地点の宿場町の近郊。
そこに存在した複数種族が混在する小さな集落に腰を落ち着け、二人は夫婦として暮らし始めた。
ずっと望んでいた慎ましくも穏やかで幸福な生活だったが、それも長続きはしなかった。
集落で暮らし始めてから１年が経過する頃、二人の間に子供の種が生まれた。
生まれた種を地面へと埋めたその夜、二人の家は「柘榴石(アンドラダイト)」と名乗る集団により襲撃を受ける。
柘榴石(アンドラダイト)の連中は、ヨイヅキの前からコトネを無理矢理連れ去っていった。
次いで、集落の各所で火が上がり、集落でも特に信頼していた集落の長の家の長男がヨイヅキの前に現れる。
彼は、自分こそが柘榴石(アンドラダイト)の一団を集落へと呼び寄せた張本人であるとヨイヅキに告げる。
……それ以上、彼が何を話していたのかをヨイヅキは覚えていない。
覚えているのは、己の拳によって命を奪われた彼の姿と、ヨイヅキを心配するように漂う扉の小魔(ゲートインプ)の姿だけである。
そして、ヨイヅキは居ても立ってもいられず、コトネを誘拐していった柘榴石(アンドラダイト)の連中を追って、これから萌芽するであろう子供さえも放り出して、一晩で廃墟と化した集落を飛び出していったのだった。
……この事件が起きて以降、コトネの消息はずっと不明である。

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