ゆとシートⅡ for SW2.5 - ゆと工公式鯖

アーミオン - ゆとシートⅡ for SW2.5 - ゆと工公式鯖

アーミオン

プレイヤー:ニック

種族
ソレイユ
年齢
23
性別
種族特徴
[輝く肉体][太陽の再生][太陽の子]
生まれ
軽戦士
信仰
“太陽神”ティダン
ランク
穢れ
12
12
2
1
11
12
11
4
6
成長
8
成長
9
成長
5
成長
4
成長
1
成長
4
器用度
21
敏捷度
32
筋力
29
生命力
27
知力
7
精神力
12
増強
1
増強
1
増強
2
増強
増強
増強
器用度
3
敏捷度
5
筋力
5
生命力
4
知力
1
精神力
2
生命抵抗
11
精神抵抗
9
HP
48
MP
12
冒険者レベル
7

経験点

使用
32,500
残り
595
総計
33,095

技能

フェンサー
7
スカウト
6
レンジャー
6
セージ
6

一般技能

ギャングスタ(ギャング)
4

戦闘特技

  • 《武器習熟A/アックス》
  • 《囮攻撃Ⅰ》
  • 《武器習熟S/アックス》
  • 《両手利き》
  • 《トレジャーハント》
  • 《サバイバビリティ》
  • 《鋭い目》

練技/呪歌/騎芸/賦術

  • なし

判定パッケージ

スカウト技能レベル6 技巧 9
運動 11
観察 7
レンジャー技能レベル6 技巧 9
運動 11
観察 7
セージ技能レベル6 知識 7
魔物知識
7
先制力
11
制限移動
3 m
移動力
33 m
全力移動
99 m

言語

会話読文
交易共通語
ソレイユ語
地方語(ランドール)
エルフ語
妖精語
魔神語
ドワーフ語
汎用蛮族語
技能・特技 必筋
上限
命中力 C値 追加D
フェンサー技能レベル7 16 10 -1 12
《武器習熟S/アックス》 3
武器 用法 必筋 命中力 威力 C値 追加D 専用 備考
コニングシャフト(両手利き) 1H両 14 -2=8 29 10 15
ブレードスカート 10 10 9 12
技能・特技 必筋
上限
回避力 防護点
フェンサー技能レベル7 16 12
防具 必筋 回避力 防護点 専用 備考
ソフトレザー 7 3
他1 アイソアーマスク 1
他2 多機能ブラックベルト 1
合計: 鎧+他1 12 4
装飾品 専用 効果
アイソアーマスク
幸運のお守り
背中 サバイバルコート
右手 巧みの指輪
左手 俊足の指輪
多機能ブラックベルト
ブレードスカート
スマルティエの怪力の腕輪
所持金
4,790 G
預金/借金
0 G / 0 G

所持品

武器

ブージ
黄金のマトック

防具

バックラー

一般装備品・消耗品

冒険者セット
着替えセット(一週間)
食器セット

生活費・宿泊費

保存食(一週間)

薬品・修理具

救命草*46
ヒーリングポーション*11
アウェイクポーション*4

冒険者技能用アイテム

スカウト用ツール
魔香のパイプ
魔晶石3点*5

冒険道具類

太陽神のハンガー

冒険道具類(消耗品)

消魔の魔晶石2点*3個

装飾品

宗匠の腕輪
疾風の腕輪

その他

ギフトトリガー

名誉点
211
ランク

名誉アイテム

点数
冒険者ランク
多機能ブラックベルト20
新たな門出を祝う冒険者達-20
「幸せの形は」-20

容姿・経歴・その他メモ

経歴

特定の異種族を好んでいる(いた)
未だ叶わない夢がある
有名人の友達がいる(いた)

見聞を広めるため

身体データ

ALC12

ペアPC

ヨハン・フォン・シュヴァルツシルト

アイコン

我流男青年

履歴

アーミオンはランドール地方にあるソレイユの集落で生まれた。ソレイユは元々好奇心の強い種族であるが、アーミオンはそれに輪をかけて好奇心旺盛な子供であった。物心ついたときには集落の外に強い興味を示し、一人でも勝手に冒険へといかんばかりの勢いだった。両親はそんなアーミオンの意を汲んで、彼を連れて集落を出ることとした。それはアーミオンを甘やかしたというよりも、彼らもまた強い冒険心をもったソレイユだったからだろう。新たな冒険というのは、いつだって心躍るものだ。
アーミオンが集落から出てまず知ったのは、世界には多種多様な種族がいるということだ。うっかり踏み潰してしまいそうな兎や、自分よりも大きな蜥蜴、耳長、髭長、機械に植物、獣耳と、集落の外には様々な種族がおり、アーミオンの好奇心を満たすには充分であった。

アーミオンと両親が街道を歩いていたときのことだ、彼らは魔物に襲われた。両親は多少の魔物であればソレイユのフィジカルを用いて難なく追い払うことができたが、そのときの魔物は群れをなしていた。母親がアーミオンを庇い、父親が魔物を退けようと奮戦した。しかし父親が一人で相手にできる数というのには限りがあり、両親は多勢に無勢の状況に冷や汗を流す。そのときだ、通りすがりの冒険者パーティが彼らに加勢してくれたのは。
その冒険者の一人に、アーミオンは釘付けとなった。
異様なほど肌の白い男だった。戦闘の中でその肌は青白く変化し、魔物の攻撃でバンダナが外れるとそこから禍々しい角が顕になった。金属鎧を着込み、重量のある武器を軽々と振り回して相手を叩き切っていく姿。かと思えば大声で周囲を鼓舞しつつ、魔法で敵を吹き飛ばした。

その姿は、今まで見た何よりも美しかった。

冬の日の空気を閉じ込めたような肌が。しなやかな筋肉で武器を繰り、強烈な魔法を繰り出す姿が。頭部に根を張る異形すら、その種族の美しさを際立たせるために与えられているとしか思えなかった。
ナイトメアという種族は、まるで芸術品のように高貴で美しかった。

冒険者パーティのおかげで魔物の襲撃を退けたアーミオンと両親は、その晩彼らと食事を共にした。
アーミオンはそのナイトメアの男に擦り寄り甘えて、人懐こい子供を演じてみせた。自分は彼に恋したと思ったからだ。ソレイユの中では多少の賢しさをもった彼は、そうやって自分を偽るのも得意だった。
だが実際に話してみると、アーミオンは自分の中に生まれた恋心がみるみる萎んでいくのを感じた。
その男は美しい見た目に反し粗野だった。大口を開けて唾を飛ばしながら笑い、酒に酔って地面に転がり、口元に食べカスをつけたままいびきをかいて眠った。快活で豪快な気のいい男ではあったのだろう。だがアーミオンは男の様相にひどく幻滅した。美しく高貴な見た目には、同様の魂が宿るべきだと心底思った。
翌朝冒険者パーティと別れると、両親はナイトメアとはどういった種族なのかをアーミオンに言って聞かせた。ナイトメアについてだけでなく、他種族や冒険者という職業についても教わった気がするが、アーミオン本人はそのときに何を教わったか覚えていない。覚えているのは、ナイトメアは生まれつき穢れた種族だということだ。それを聞いてなお、アーミオンはナイトメアの美しさに囚われたままであった。

その後彼らは近隣の街に居住することとなる。先の襲撃で身に染みてわかったのだ、幼い子を連れての三人旅は難しいと。あまりに計画性に乏しい行き当たりばったりの冒険だった。ソレイユらしいといえばそうなのだが。
彼らが居を構えたのはハルシカ商協国の領地であった。そこは他と比べ大きく発展した街。貴族や大商人の子息を対象にした教育機関があり、上流階級のものが多く逗留した街だった。豊かな生活を望むものが多く、人やものがそこに集まっていた。華美なものたちが闊歩し、商業魂逞しいものたちの活気に満ちた街。そんな煌びやかな場所が、彼ら家族の定住を決めた地だった。

穢れに対して寛容な土地というわけではない。だというのに、その少年は屈託ない笑顔でそこにいた。
ヨハン・フォン・シュヴァルツシルト。
ナイトメアとして生を受けた、名家の一人息子。周囲にナイトメアであることを受け入れられた幸運な少年。彼は貴族、平民問わず友人が多かった。それは彼自身が身分や出自で人を差別することのない性格ゆえ、まさに高貴な精神の持ち主だったためである。ナイトメアという美しい肉体と、貴族として培われた気高い魂。それはまさにアーミオンの理想だった。
アーミオンはヨハンに惹かれた。それと同時に、ヨハンもアーミオンに好感を抱いたようだった。アーミオンはそれが嬉しかった。平民の自分に向けられる友愛はそのまま、彼の高貴な精神性を表していると思えたからだ。ヨハンが自分に友情を向けるほど、真にヨハンは身分による差別を行わない人物だと実感できた。
だが彼の魅力は、それに留まらなかった。
ヨハンはチャレンジ精神に溢れており、常に何か新しいことに挑戦していた。彼の隣で見る世界はいつもキラキラしていた。アーミオンも好奇心は強い方であったが、自分とヨハンとでは見えてる世界が違うようだった。ヨハンの始める新しいことというのは、アーミオンには思いもつかないことで、彼の隣にいればアーミオンは常に退屈をせずに済んだ。今や彼のいない日常など、思い出せないほどだった。
気付けばアーミオンは、気高いナイトメアではなくヨハン・フォン・シュヴァルツシルトに惹かれていた。彼の美しい肉体に、聡明さを湛えた瞳に、気品ある仕草に、強い冒険心に、明るい笑顔に、彼の全てに惹かれていた。彼を芸術品としてではなく、一人の人族として愛していた。
この愛情は性愛ではない。それは崇拝に近い親愛と、敬愛に似た友情だった。

しかしその想いは、いとも容易く歪んでしまう。それはまるで、透明な水に一滴の汚泥を垂らしたときのように。
純粋なものほど、歪に変化しやすいものだ。

平民の女が、ヨハンに告白した。
アーミオンはそれを見てしまった。告白されたヨハンが照れたようにはにかんで、「返事は考えさせてほしい」と濁したところまで。全てを聞いてしまった。
アーミオンにはそれが、どうしようもなく許せなかった。
女はヨハンに相応しくなかった。アーミオンから見ての話だ。まず平民であることが論外だった。卑しい身分でヨハンの隣に立とうなど、恥知らずもいいところだと思った。人間という無駄に数だけが多い有象無象のような種族であることも許せなかった。せめてエルフになって出直すべきだと思った。ヨハンの家はエルフの名家なのだ。人間の女などが嫁ぐなんて許されることではない。ヨハンの子にあの女の血が混じるなど想像するだけで怖気が立つ。もし人間に近いものが彼らの間に産まれてしまえば悲劇だ。ヨハンというナイトメアの血を、もっとも濃く残すべきなのだから。そもそもヨハンに婚姻の必要はあるのだろうか。ナイトメアに寿命はない。彼さえ望めば、未来永劫当主の座を守ることも可能なはずだ。ならばやはりその女はヨハンの人生に必要のない異物に違いなかった。厚顔無恥にもヨハンの人生を汚そうという害虫だ。許せない。その害虫も許せないが、それに笑顔を向け脈があるかのような態度で期待をもたせたヨハンのことも許せなかった。ヨハンがあのゴミのような女を恋人にするかもしれないと考えると吐き気がした。冷たくあしらえなどとは言わない。ヨハンは優しいからそんなことはできないだろう。だが有無も言わさず断るくらいはするべきなのだ。その方が女も分不相応な夢を見ずにきっぱりと諦めれたろう。ヨハンにあの女は必要ない。必要ないはずだ。そうだと言ってくれ。ありのままであるだけでヨハンは完璧なのだ。醜いものを取り入れてその美しさを損なわないでくれ。
ーーアーミオンは、ヨハンと離れたくないだけだったのかもしれない。だが彼の中の美しい感情は、一見して狂気と見分けのつかない何かに成り果てた。

あのときは幼稚だったと、思い出すだにアーミオン恥ずかしくなる。
アーミオンはヨハンに見つからないように女を呼び立てて、いかに女がヨハンにとって不要なゴミであるか、彼の恋人でありたいと思うだけでおこがましく身の程知らずで恥知らずなことであるかを、懇切丁寧に伝えた。アーミオンの巨体に圧倒されたのか、その狂気に恐怖したのかはわからないが、女はそれ以降ヨハンに近寄らなくなった。あのときヨハンに告げ口されていればどうなっていたことか。初めてのこととはいえ、あまりにも衝動的で感情的な対処だった。やり口に穴がありすぎる。今ならもっと、うまくやる。

ただ乱暴なやり方だろうと、そうやって一度うまくいってしまってからは最早歯止めが効かなかった。アーミオンは彼独自の基準でヨハンに近付くものを剪定していった。身の程をわきまえない平民、下品な貴族、無能な使用人。ヨハンに相応しくないものは全て排除した。平民は恫喝するだけでいなくなるが、貴族の子息や使用人はそうもいかない。より賢いやり方で排除する必要がある。
アーミオンはヨハンと過ごす裏で、ガラの悪い友人を増やすことにした。仲良くなるのは簡単だった。この巨体で軽く撫でてやれば、彼らはすぐ友達になってくれる。その街にいたゴロつきはどいつもこいつも中途半端な連中ばかりだった。金持ちを狙って一攫千金だと意気込んで街に入ったはいいものの、そこから一歩先に踏み出せない臆病者だった。彼らの犯罪を押し留めるのは、ハルシカの刃傷沙汰に対する罰則の重さ。捕まるリスクを考えれば安易には動けない。チャンスがあればすぐにでもやってやる。そんなことを言いながら管を巻く、楽をして金を稼ぎたいだけの美学も努力もない連中。それがここ街のゴロつきだった。
そんなやつらを動かすのはやはり金だ。
ゴロつき連中に、とある貴族の後をつけさせる。いつどこで何をするのか、生活パターンを調べさせ警護の薄い時間を炙り出す。そうして彼が一人のときに会いにいき、善意の寄付をお願いするのだ。何度も何度も。それこそヨハンと会う余裕がなくなるまで。
露骨な犯罪ではある。だがそれでもある程度逃げられるのは、貴族に傷一つ付けていないからだった。ハルシカで刃傷沙汰の罪が重いのは国家としての中立性を保つため。周辺国家による政治的かつ武力的な介入を防ぐためだ。それによる民間レベルの治安維持は副次効果であり、国家として犯罪者を強く取り締まっているわけではない。
それはつまり、相手に怪我さえさせなければ虎の尾を踏まないということに間違いなかった。それを利用し、アーミオンは小悪党たちをまとめて犯罪に手を染めていく。
無能な使用人への脅迫を行ってからは、仕事がぐっと楽になった。使用人たちは貴族のように警備がいるわけではなかったし、ともすれば職務中になんらかの不正を働くような輩もいた。そういうやつらは恫喝するより、弱味を握ってしまうのが楽だった。弱味を元に脅し、呼び出し、金を搾り取り、ヨハンの屋敷で働けなくするまでが、アーミオンの最初の考えだった。
だが使用人たちは、自分が助かるために周囲を売り始めた。
偶然見てしまった貴族の秘密をぺらぺらと話し、他の使用人の不正を告白して、自分に向けられた矛を他へと逸らそうとした。アーミオンたちにとってそれは嬉しい誤算だった。それを機に使用人たちには、ヨハンの周囲を調べさせることにした。内部に密告者がいるというだけでどんどん仕事はスムーズになった。そうしてついには、弱味の捏造までも可能となった。貴族に悪い博打を教え、使用人に屋敷の金を盗むよう唆し、平民に金をつかませて仲間に引き込むこともできるくらいになると、もはや彼らは一端の盗賊もどきになっていた。

仲の良いものが離れると、ヨハンの明朗だった表情に影がさすようになっていった。だがアーミオンはそれを問題とは思わなかった。何かを憂う姿は彼の美しさを一切損なわなかったからだ。それどころか彼は失うほどに魅力的になっていった。アーミオンを見つめる瞳に、熱が帯びるようになっていった。縋るような目で絡みつくほどに見つめられるのが、アーミオンはたまらなく好きだった。

そうして感情は肥大化し、一線は容易に越えられていく。

仕方がなかったのだ。
ヨハンは貴族御用達の学園へと通うようになった。つまり1日の大半を学園で過ごすようになり、平民たちと過ごす時間などほとんどなくなってしまった。ヨハンが、アーミオンとは違う世界で生きはじめた。元々彼は違う世界の住人だったのだ。ヨハンが優しさでわざわざその垣根を越え、共に過ごしてくれていただけ。裏町でごろつきをまとめあげたアーミオンでも、こればかりはどうしようもなかった。
ヨハンの学園生活を壊す一番簡単な方法は、ヨハン本人の経歴に傷をつけることだったろう。学園側から素行不良を理由にヨハンを退学させる。それができれば、今までと同じの日々に戻れるはずだった。
だがアーミオンは、それをよしとしなかった。もっと正確に言えば、そんなことなど思いつきもしなかった。美しいヨハンを傷つけることなど、アーミオンは考えつきもしない。思いつかないという事実が、彼をさらに追い詰めた。
学園側に細工をするのは不可能だ。組織の規模が違いすぎる。こちらはあくまで金儲けを目的とした烏合の衆。個人ではなく組織を相手にする力も経験もありはしない。アーミオン自身、学園のどこを突けばヨハンをこちらに引き戻せるのか想像もつかなかった。アーミオンは頭脳明晰というわけではない。人より多少賢しいだけの少年だ。彼に学園をどうこうすることなどできなかった。
ならば、どうするか。

ある昼下がり。冬の乾燥して澄んだ空気が、雲ひとつない空の下に広がる日のことだ。
ヨハンの屋敷は煌々と燃えていた。中にはヨハンの両親と、貴族の家に盗みに入った強盗グループが残されている。しかしもはや彼らの生存は絶望的だ。運悪く、冬支度のため油や薪を多く蓄えていたところに強盗グループが火をつけたためだ。想像以上に火の回りは早く、犯人ともども屋敷は焼け落ちてしまう。そういうシナリオだった。
アーミオンは、ヨハンの家族を剪定することとしたのだ。
自分とヨハンを引き裂くのは、ヨハンの両親に相違なかった。彼らがヨハンを学園などに通わせようと思わなければ、こんなことにはならなかった。ヨハンは学園など通う必要はない。ヨハンは貴族である必要すらないのだ。だたそこにあるだけでヨハンは完璧なのだから。そんなことすらわからないヨハンの両親も、ヨハンには相応しくなかった。
彼はそうやって自分の中に整合性を付けた。
強盗グループは、小悪党の一団からアーミオンが選んだ。できるだけ若く、頭が悪そうで、この一団に入ったばかりのものたちにした。刃傷沙汰や放火を示唆するとさすがに二の足を踏まれたが、そんなことは予想の範疇だった。
「俺らがどんだけでかいグループだと思ってんだ。こんなことは日常だ。捕まったやつなんざ見たことねえ」
そう言われるだけであいつらは乗り気になった。
どんな馬鹿でもここに長くいれば、刃傷沙汰が御法度ということが透けてしまう。だからまだこの一団に慣れていないものに声をかけた。何も考えず、この計画を実行して欲しかったから。
油や薪が多く蓄えられた時期は、使用人に聞けばすぐにわかった。警備が手薄な時間もすぐに。実行日は、ヨハンのいない日中に絞って計画を練った。頭の悪い夢見がちな連中は、アーミオンの言う通りの時間に屋敷に赴き、当主夫婦を殺して、指定の場所に火をつけた。火をつけてから彼らは屋敷の奥へと向かう。金目のものを盗るためにそうしろと言った。決して戻れないというのに、何も疑わずに彼らは死の淵へと向かっていった。

計算違いがあったとすれば、それはヨハンが燃える屋敷に飛び込んだことだ。
アーミオンは野次馬を装い屋敷を眺めていた。友人の屋敷から火が出たと聞きつけて、心配して駆けつけたソレイユの少年というのが表向き、金蔓の家が燃えて、慌てて現場を見に来た小悪党というのが裏向きのロールだ。真実は放火計画が滞りなく遂行されたかを確認する黒幕だったが、それに気がつけるものはいなかった。
火勢の弱いところから、焼け死ぬべきものが転がり出てくれば計画は失敗だ。だからアーミオンはあまり火の手の回っていない出入口ばかりを真剣に見ていた。そのために、彼はすぐに気がついた。そこから屋敷へと駆け込んでいくヨハンに、誰よりも早く。
アーミオンは大声でヨハンを呼び止めた。しかしヨハンはそんなことで止まりはしない。アーミオンの声に反応して、その場に居合わせた冒険者がヨハンの後を追った。炎を対策する魔法を使ってから屋敷に向かう様子は大いにアーミオンを苛立たせた。なぜ自分の身も顧みずすぐにヨハンを追わないのか。お前などヨハンの足元にも及ばぬ価値しかないというのに。
その指摘がここに立ち止まる自身にも当てはまっていることに、アーミオンはついぞ気が付かなかった。

アーミオンは怖かったのだ。
彼は人を貶めたことはあれども、殺したことはなかった。直接的にも間接的にも、人の死の関わったことはなかった。彼はここまできて、人を殺すのが怖かった。自分の計画で人が死んだのだと自覚したくなかった。
そもそも立てた計画もアーミオン自身は一切関わらないものであった。ほとんど会ったこともないやつらに人を殺させ、そいつらが勝手に焼死するように計らった。彼は自らを、外から見ているだけのポジションに据えたのだ。
仮に本人に聞いたなら、万が一にも自分が刃傷沙汰で捕まるなんて結果にはならないよう、バカな連中を嵌めてやったのだと言うだろう。屋敷に火を放つのが最も簡単に実行犯を殺せ、証拠を隠滅できる手段だったと言葉を吐き出すだろう。
だが理由はそれだけではなかった。もっと矮小な理由を、それらしい理屈で飾り立てていた。自分の手で殺したくなかったから他人に実行役を押し付けた。死体を見たくなかったから焼死体になるように手配した。どこまでも自分の罪意識を削ぎ落すような計画を無意識に立てていた。
だからアーミオンはヨハンを追わなかった。自分の罪の塊である屋敷に入りたくなかった。入ってしまえば必ず目の当たりにする。自分が殺したものと。自分が犯した罪と。
そんなことは、耐えれなかった。

アーミオンは、人より脆い精神の持ち主だったのかもしれない。
だから耐えられなくて、耐えられなくて。
退屈に耐えられなくて。
理想と現実の乖離に耐えられなくて。
寂寥に耐えられなくて。
罪と向き合うことに耐えられなくて。
そうして何もかもを他人に押し付けた。

ヨハンは、片目を失明したらしい。事故の後遺症で、神聖魔法でも治癒できないのだそうだ。アーミオンはそれを聞いてひどく心を痛めた。目を背けたはずの罪が、背後から襲いかかってくるようだった。
完璧だったヨハン。傷ついたヨハン。損なわれた片目。一体何故。どうしてこんなことに。
いや。いいや。こんなことでヨハンの美しさは損なわれない。ヨハンの洗練された素晴らしさは曇らない。肉体の欠損がなんだというのか。たとえ片目を失っても彼がヨハン・フォン・シュヴァルツシルトであることには変わりないではないか。彼の美しい肉体と高貴な魂は、片目程度で損なわれるはずがないのだ。
アーミオンは罪意識から逃れるために、狂気を狂信へと増長させた。歪に歪んで狂気に狂って。そうやって耐えきれないものから逃げ出した。
一段と深く狂気に身を投げて、彼は止まれずどこまでも転がり落ちていく。

その冒険者を殺したのは、正当な理由があった。
あれは自分の身可愛さに万全を尽くさずヨハンの片目を失わせた大罪人だった。そのくせヨハンに近づく恥知らずで、純粋なヨハンを騙し侍らせようとする害悪なのだ。
そう思うと勇気が湧いた。そうすべきだと心が叫んだ。
ヨハンはあの男にすっかり騙されていて、可哀想なことに自らを傷つけた悪党に感謝までしているような有様だった。だがアーミオンはそれを利用し、ヨハンに紹介されるかたちで男に取り入った。そして偶然を装い男と街中で出会して、まだヨハンを助けてくれたお礼をしていなかったとプレゼントを渡した。
睡眠剤入りの酒と、食べれば数時間後に嘔吐が止まらなくなる植物を混ぜた乾物だ。
成功すればよし。失敗しても誤魔化そうと思っていた。酒はしらばっくれればいいし、乾物は自作のもので誤って毒草が混入したのだと伝えるつもりだった。
本当ならこんなやぶれかぶれな手段は取りたくなかった。しかし男は冒険者で、後をつけてもすぐに気が付き警戒心が増すばかりだったのだ。今までのやり方が通じぬ以上、やぶれかぶれだろうができることをするしかなかった。男がこの罠にかかるかどうかは、神のみぞ知るといったところだ。
アーミオンの心配もよそに、男はあっけなく死亡した。ベッドで吐瀉物に塗れて絶命した。食中毒だったらしいと、ヨハンが悲しそうな顔で言っていた。

ざまあみろ。
ああやはり神は見ているのだ。神は我らを見ているのだ。だからこんなに杜撰な計画でもあの男は死んだ。ヨハンを傷つけていながらヨハンに取り入ろうとする痴れ者め。正義の神はお前を見ているぞ。太陽神ティダンの名の下に、お前の醜い性根は輪廻転生して消えてなくなるのだ。
笑いが止まらないほどの充実感と万能感を、アーミオンは味わった。こうして彼は初めて、自らの手で人を殺した。

ヨハンは冒険者になるのだという。あの男の影響であることは明白だったが、アーミオンはそれを応援することにした。冒険者は身分で他人を差別しないヨハンに適した職業だと感じたからだ。また自身も共に志せば、今よりもずっとヨハンと過ごせるとも考えた。
それに、冒険は好きだった。ヨハンと一緒にする冒険はどんなに素晴らしいものになるかと心躍った。

そうしてアーミオンはギルドの門をくぐる。
ヨハンの親友でありながら、ヨハンを崇拝する狂人。それがアーミオンというソレイユだった。
目標は未だ叶わぬ夢を叶えること。ヨハンと共に、永劫のときを歩むこと。そのために、今はただ好奇心の赴くまま、見聞を広げていく。

セッション履歴

No. 日付 タイトル 経験点 ガメル 名誉点 成長 GM 参加者
キャラクター作成 3,000 1,200 0
1 R4.4.27 薬草採取 3,720+50 4,030 27 筋力×2
敏捷
精神
アイラ ヨハン・フォン・シュヴァルツシルトリーシャ・アズラエルレオルカ・ロッコ
救命草35枚、ヒーリングポーション11個、アウェイクポーション4個
2 R5.7.1 恒常クエスト:知識の剣:魔術塔:研究者の後始末 3,240 3,260 26 敏捷
器用×2
アイラ バラントフィレネ・フローランレミリア
魔晶石3点*5個 消魔の魔晶石*2点*3個
3 R5.12.30 ビルグゴーデン:雪降る里の祭儀 6,630 9,270+520 32 精神×2
器用
敏捷
生命
筋力
アイラ アナスチガルキズクキリューセシル
4 R6.1.2 精霊亭:舞姫荘:新年祭のライブの舞台警護 5,235+100 7,400 53 器用×3
生命×2
アイラ カンパニア・コンスティードヤイカレオンルーヴ
救命草、太陽神のハンガー
5 R6.1.28 【1/28 アーミオンの経歴評価】 2,700 1,200 5 敏捷×2
知力
アイラ
黄金のマトック
6 R6.2.16 「ともにいきをする」 3,100 500 10 精神
敏捷×2
生命
ヤマザキ ヨハン・フォン・シュヴァルツシルト
幸運のお守り、ギフトトリガー
7 R6.3.31 橋の国の防衛戦 5,320 6,222 38 敏捷×2
器用×2
筋力×2
アイラ イレース・ダルシンヨハン・フォン・シュヴァルツシルトロゼリア・グランデュールハナ
取得総計 33,095 33,602 191 31

収支履歴

ブージ::-240
ソフトレザー::-150
バックラー::-60
救命草*10::-30*10
冒険者セット::-100
着替えセット(一週間)::-10
保存食(一週間)::-20
食器セット::-12
スカウト用ツール::-100
魔香のパイプ::-1360
巧みの指輪::-500
俊足の指輪::-500
アイソアーマスク::-2000
サバイバルコート::-180
宗匠の腕輪::-1000
多機能ブラックベルト::-1000-3000
ブレードスカート::-4580
疾風の腕輪::-1000
コニングシャフト::-5900
コニングシャフト::-5900
スマルティエの怪力の腕輪::-900

チャットパレット