元々、ベースとなった人物は東京出身。生前はごく一般的な家庭で生まれ、やらせれば何でもできる優等生だった。それ故に、何物にも強く感情を動かされたことはなかったらしい。
　5年前、休日に家族と出かけた帰りにキセキ使いと遭遇。家族と共に殺害されてしまう。このキセキ使いは福音汚染を使わずに、家族を惨殺し放置。その後、SIDに発見され接合複元個体の実験素体にされる。

　ハウンドとして完成はしたものの、実験の際、ヒューマンエラーよって、各部位の接続が不安定であった。そのせいで頭部が損傷し、記憶が他の接合複元個体より不安定である。一緒に素体にされた両親と妹の記憶が優位に立っているが、家族との記憶を喪失したためそれが彼らの記憶だと理解できていない。簡単に言えば、記憶喪失系キャラ。
　廃棄も検討されたが、傷号持ちのハウンドを求めた白津 千草の判断によってSID横浜支部の管理下に置かれることとなった。横浜支部で管理されるようになり、修繕を受けたのが今の彼女である。

　このような経歴から、経験から判断するというのは苦手。戦闘以外の判断はオーナーやSIDの職員に任せているが、オーナーの判断は危うさがあるので時々意見しなきゃな、と思い始めている。

【以下6話終了時記載】
　彼女の体に組み込まれているのは両親と妹である。彼らのデータは以下の通り。

父親(システムエンジニア)

ネガイは善行/享楽。骨や内臓、筋肉が使用されている。頭がよいが、仕事を引き受けがち。常に微笑んでいたが、それは一人になるのが怖くて仕方なかったからだ。

必死にキミにとっての「善い」を取り繕う。この体で歳不相応の幼さを表現しよう。ほら、少し懐かしいだろう？

母親(看護師)

ネガイは、奉仕/守護。皮や内蔵、手足の一部が使用されている。
過労で倒れた父親と病院で出会い、そのまま付き合って結婚した。用事を引き受けがちの父親に「家族がいるからって言えば断りやすいですよ」と言って彼の心身のバランスを取らせた。
家根がオーナーに意見する際は彼女の記憶を元に発言しだす。

一秒でも早く、キミのためになることをしましょう。側にいさせてください。だってそうしないと私たちを置いていってしまうでしょう？

妹

ネガイは破壊/究明。ネガイはすごい字面だが、家族で一番いい人間は誰？と聞かれたらPLは間違いなく「妹」と答える。
虚無を内包し、やれば何でもできる姉を隣で見てきたし、比較もされたがそんなことは気にせず「姉ちゃんが『楽しい』と思える何かを作らなくちゃ」と考えていた。
そのために多くの人と話して、沢山の映像作品を観て、姉の知らない世界を知るのだ。
「家根 あゆり」が他NPCとたくさん会話をし、映画を沢山観てその話をオーナーにするのは……彼女にとっての「妹」がそうであったからだ。

姉は妹の気持ちを分かってくれない？そんなのいつもだよ、お姉ちゃん

オーナー

　逸路 赤音のことは「護るべき存在」と認識している。これはペアリング直後に、SID職員に頼まれたことが起因している。「妹」という存在が今の逸路の根幹にあると研究員から聞いたため、できる限り妹ヅラをすることで彼女のメンタルを良くしようと考えているが、家根の方が生活力が高いせいか、うまくいっていない。最近は無茶をしているように見えるので心配である。私より早く死なないでね？
　毎朝彼女の部屋に行くのがモーニングルーティンの2つ目である。

【以下6話終了後記載】
　オーナーについての情報は、本人から言われていること以外は「妹がいて探している」「課長と何か約束をしていて、だから頑張らないといけない」「ハウンドにだけやたら優しい」ということだけは把握している。

　家根は一般常識をペアリング後に再学習したため、現在のオーナーを見る目は補助執行官に近い……のだが、キズアトで悲しみ、怒り、ためらいを喪失したので怒ったり叱ることはできず、それを悲しいとは思っていない。

　キズアトの影響で実の「妹」の記憶を参考にできなくなり、この感情をどう処理したらいいか分からず、自分の記憶を探した結果「母」の記憶を見つける。

　患者や子どもに接する彼女は総てを許し、少しだけ意見をする。ああ、身近にもそんな人(白津)がいた……

あのね、課長。私ねオーナーにはみんなと仲良く頑張って長生きしてくれたら嬉しいんだよね。でも、それはオーナーの願いじゃないみたい。

でも、それは仕方のないことなんだよね？

大丈夫だよ。私、最後までオーナーの側にいる。
大丈夫。
他の誰かを「あの子」が傷つけてしまっても
「あの子」が自分自身を傷つけてしまっても

私だけはあの子の側にいるから。
「あの子」が謝れない悪い子になっても、私が代わりに謝るから。

どうか、私が生きてる間は「あの子」を許してあげて。

SID職員

　課長の白津 千草を「コーヒーくれるいいおじさん」と認識している。家根は彼の厳しさを良くも悪くも気にしないのだ。
　研究員や補助執行官とも話したり、遊んだりしている。現代の知識や一般常識は彼らから学んだ。家根は仕事がなければ基本的にSID横浜支部をうろちょろしているため、警備課以外にも話したことがある人が多い。

　このカルテは、私(霞流)が部下の研究員及び担当補助執行官向けに作成した資料である。
　以下の内容は当人の希望によりクリアランスレベル3(極秘)相当の扱いをすることとし、監督官：逸路 赤音が本カルテの資料内の情報を請求した場合、本人の希望ですぐに伝えられない旨を伝え必要な手続きを取らせること。
　また、家根本人が以下の内容を口にした場合は制止及び記憶処理を行う必要はない。あくまで、機密ではなく当人希望の処置だと理解されたし。
─────────
　村谷 茉莉奈は東京都◯◯区で、5年前にキセキ使い■■ ■■に家族で休日を過ごしていた際に殺害される(現場付近の施設の崩壊事故として処理)。福音汚染による殺害・吸収ではなく、福音で生成された刃物を使用して四肢を切断された上で家族全員が性的暴行を加えられていた。
　福音汚染で残った死体ではないが、体内(体外)に残存する体液内の福音を使用しハウンド化できないかという実験的なケースで作成の流れとなった。

To.EA(補助執行官)
→以上の経歴から、性的暴行あるいはそれに類する事件を担当させることは、リスクが高い。家族全員が被害にあっているからだ。
類似資料を白津課長に渡してあるが、必要であれば事件の担当を下ろすことを進言すること。

　その後、研究員●● ●によって、接合複元個体として作製された。しかし、福音が全パーツに渡っていなかったせいか、あるいは技術不足か。縫合しても癒着せず、廃棄処分されるか、薬剤投与の素体にするかどちらかを待つ身となっていた。

　2年前、ハウンド不足解消のために交渉に東京を訪れた白津課長の判断で、管理が横浜支部に移る。

　リベルを全身に渡らせるために、血液透析を行い、改めて縫合を行うことで四肢は問題なく動かせるようになった。
　だが、頭部の損傷を復元し切ることは困難だ。慢性的な脳貧血を引き起こすことになると思われる。記憶障害を引き起こしキズナの獲得が阻害されなければよいが。ペアリング後問題があれば、強制的にペアリングを解除する必要もあるだろう。

　1年6ヶ月前、状態が安定しているので、管理を波澄研究員と佐倉補助研究員に担当させることに。

【ペアリング後の経過について】
　安定しているように見えるが、生前の記憶が家族の記憶に埋もれてしまっているだけでなく、一部が薄れてしまっているようだ。特に事件の記憶はないように見える。
　生前の彼女を分析官に調べてもらったが、虚無感を感じながら生きていたようだ。その要素が強く出てしまっているらしい。
　白津課長と佐倉研究員(1年経ったので昇格した)との対話で『オーナーを護ること』を目標設定したそうなので、それが彼女の原動力になっているのだろう。しかし、なぜあんなに幼く振る舞うのだろう？演技がバレないと思っている？本来の彼女はドライでニヒリズムなのだが……バレてないならいいけど。

【懸念要素】
　監督官もだが、彼女もネガイに囚われ過ぎな面があることは否定できない。監督官のために良いことをしようとして、本来の自分を抑え込み過ぎている。本来の彼女は先述した通り、脱力感や虚無感に襲われ、心の底から笑顔になることも困難なのだ。
　自分を押し殺すという慢性的なストレスは、自覚ないままいわゆる脳疲労を蓄積させていく。睡眠時間の減少による体力低下をリベルで補っている。眠れずにひと晩中映画を観ている日が増えてきた。研究員として、あるいは医者として何も感じないわけではない。
　監督官のデッドロックブルー実験再開から、やはり上記の要素は顕著になってきた。
　平常時のオーナーのリベルの励起は、ハウンドにも影響を与えるらしい。オーナーのリベルが活性化するならハウンドのリベルも活性化していなくてはならない、ということなのだろうか？
彼女のリベルも活性化され、ハーネスによる鎮静が行われているのだ。

　結果、オーナーもハウンドもリベルの数値異常を確認しなくてはならなかった。経過観測に一ヶ月休ませることにした。
　監督官側はリベルの分布が変わってきた。視神経だけでなく、脳にも渡っているため、本人は気分が良くなってきているだろう。

　ハウンドは、オーナーのリベルの励起と鎮静の負荷を受けることになった。
　動体視力、運動能力の低下を観測した。新たに盾を装備に加えたが、リベルから与えられるはずの戦闘技術をいまだにうまく反映できないでいる。

　監督官のリベル適性はもはや異常である。それを使いこなす技術も身につけてきた。私の計算を超えていく。更にリベルを投与しても問題ないと判断できるくらいに。
　だが、ハウンドが耐えられない。ペアリングを通してリベルの負荷を受け止めるはずなのは監督官側のはずだ。しかし、このバレットはそれが逆転してしまった。このまま、監督官がリベルを励起させればさせるほどハウンドに被害が及ぶ。

　ハウンドを憂う監督官が、ハウンドを使い潰す監督官になりつつある現状。

　現在監督官に装備させたリードは、オーナーの負荷をハウンドに流さないよう調整もしてはいる、が。

　監督官側のネガイの強さが、いつか落ち着くことを願うことしか現状できないのである。自身のハウンドを食い尽くす前に。