最初の思い出

同じ家に住むようになって初めての買い出し、ハウンドが「タバコほしい」というからオーナーが買ってくれた。夜、オーナーがベランダのテーブルでコーヒーを飲んでいると、タバコで一服しようとしたハウンドがやってくる。ハウンドはオーナーに気づき「吸っていいっすか？」「吸うなとは言わない」とやりとりがあり椅子に腰掛ける。煙を楽しんでいるとオーナーがこちらを見てるに気づく。興味の目線を感じたハウンドは「吸いますか？」とタバコを差し出すと、すっと無言で受け取り唇で挟む。不慣れな仕草に気づかないふりをしながらハウンドはライターを近づけ火をつける。途端にむせるオーナー、慌てるハウンド。背中を叩きまくられたオーナーに怒られしゅんとしたハウンド、オーナーはベランダから去っていった。
翌日夜中、ベランダでコーヒーを飲んでいるオーナーのもとにハウンドがやってきた。「タバコ吸っていいすか？」
そこからは繰り返し。そうして習慣となり、オーナーはタバコを一日一本だけ嗜む喫煙者となり、ハウンドはその時間を一日一番の楽しみにするようになった。