容姿・経歴・その他メモ
概要
「公安警察特殊犯罪調査室零課G事例特別対策部隊ライラプス」。通称「処理班」。その関西の地方都市、B市に構えた処理班の支部に所属する猟犬。
仕事に真面目で扱いやすい猟犬。勝気で男勝りな印象を受けるが、その実とても繊細な面もある。
音楽がとても好きで楽器は大抵のものは演奏することができ、歌も上手い。しかし、まるで機械のような完璧な自分の演奏があまり好きではなかった。そんな自分とは対照をなす四ノ花君葉の情熱的な歌と演奏がとても眩しくて羨ましかった。それでも四ノ花君葉と一緒に奏でることが出来るのならば自分の音楽も悪くはないのかもしれないと思っていた。
レインゴートに全てを奪われたあの日から歌も演奏もすることはなくなった。
レインゴートに襲われ際に両足を奪われた。それ以降、「四ノ花 君葉」の義体から回収した義足を装着している。内臓された武装も扱うことが出来る。
飼主時代のコードネームは「君を想う月」
身長は2年前に両足を奪われる前のもの。現在は義足のハイヒール部分もあるためさらに高い。身長が高い事を気にしている。
来歴
FHのあらゆる武装を手にするだけで完璧な習熟度で扱える兵士を生み出すという実験で生まれたフラスコベビー。しかし、完成品は計画していた成果には程遠い失敗作であった。それは習熟の速度を著しく向上させるのみだった。
幼くしてUGNによって救出されたので扇歌自身に当時の記憶はない。
救出後はUGNのオーヴァードに覚醒していたこともありチルドレンの施設で暮らすことになる。
一般的な日常に慣れるために学校にも通うようになる。
中学1年生の秋に友人に連れられて訪れた他校の学園祭、中庭で行なっていた軽音部のライブ。そのステージで一際目立つギターボーカルの小柄な少女がいた。音楽など触れたこともなかった扇歌のような素人でもはっきりとわかる並外れた技術力もそうだが、しかしそれ以上にステージ上のバンド仲間や熱狂する観客、その場にいる誰よりも楽しそうに演奏する少女の姿が扇歌には鮮烈に映った。自分もああ成りたい、そんなことを思った。今までただ言われたことを実行するだけの人生だった扇歌にとってそれは初めての願望だったと言える。
学園祭の翌日には自身の通っている中学の軽音部に入部届を出した。時期外れの入部だったが軽音部の部員たちは快く扇歌を迎え入れてくれた。それからというもの扇歌は音楽にのめり込んだ。上達の速度は異常なほど早かった。それもそのはず、扇歌の能力は「手にした道具の習熟を早める」というものだからだ。結果、一年が経過する頃には大抵の楽器は部内の誰よりも上手く演奏できるようになっていた。そして、そうなった頃には扇歌とバンドを組んでくれる人は居なくなっていた。
高校に進学しても軽音部には入るつもりはなかった。しかし、入学初日そんな扇歌の前に現れたのは小柄で可愛らしい少女だった。それが彼女、「四ノ花 君葉」との出会いだった。
彼女は扇歌と会うなり一緒にバンド組もうと唐突に勧誘をしてきた。というのも君葉も扇歌の学園祭でのライブを見ていたらしくその技術を見込んで声をかけたとのことだった。猛烈なアピールに根負けして扇歌は君葉の誘いを受けることにした。
扇歌がまるで機械のような完璧な演奏をするのだとすれば、君葉は突飛なアレンジなどを加えることもあるが情熱的な音色を奏でるギタリストだった。高校では仲間に恵まれ君葉とツインボーカルでバンドを組んでいた。
二人に転機が訪れたのは高校2年生の夏。扇歌がUGNの任務で市内のFHを調査している時だった。そのFHセルの構成員の一人が四ノ花君葉だったのだ。さらに、君葉は扇歌がUGNであることに気付いていたという。それでも話しかけたのはただ一緒に音楽がしたかったという思いからだと君葉は笑って語った。互いの正体を知ってなお二人の関係は大きく変わることはなかった。変わったことといえば付き合い始めたという事だ。二人は互いに最も理解し合える大切な存在となった。
高校3年生になり同じ大学を第一志望にし、無事に二人で入学することが出来た。大学生になってからは同居をするようになった。そんな新生活にも慣れ1年が過ぎ去った頃、扇歌の所属しているUGNの支部が君葉のFHセルを襲撃するという任務が下った。当然、UGNは君葉の情報もつかんでいた。二人の選択は逃亡だった。UGNとFHを裏切り逃避行に走った。
二人きりの逃避行は順風満帆ではなかったが二人でいればそれ以上はいらなかった。しかし、そんな生活も1年と少し経過したところで唐突に終わりを迎える。処理班に捕捉され、拘束されてしまう。君葉がすぐに処理されなかったのは彼女がはっきりとした理性を持ったグレーゾーンのジャームだったからだ。君葉はタルタロスに収容され、扇歌は保護された。扇歌がオーヴァードだと判明するとその能力の優秀さからボスにスカウトされる。扇歌は乗り気ではなかったが飼主になれば君葉を猟犬として登用するという契約のもと処理班に所属することとなる。実際、君葉は精神的に安定しており猟犬として扱いやすいという点では優秀だった。
バディの相性は当然良好であり、任務の達成率も高い水準で安定していた。その功績から新設される関西のB市支部に配属となった。
新たな環境ではあったが二人でいることに変わりはなかった。あの悪魔に全てを奪われるまでは。
レインゴートというジャームによって君葉は殺され、唯一義体に換装していない眼球を奪われた。そして扇歌も両足を奪われる事になる。這いつくばった状態で君葉の死体を見た扇歌は彼女の眼球を取り戻すため、支部からの待機の命令を無視してレインゴートが去ったと思しき方角へ距離にして1kmほど這った状態で追いかけた。侵蝕率の上昇と肉体の負荷、精神の不安定さから侵蝕率は100%を突破した値で安定し猟犬へと落ちた。
グレージャームに落ちしてしばらく精神的に不安定であったが、回収した君葉の義体から義足を借り受けて猟犬として復帰した。レインゴートを殺すために、そして彼女の瞳を取り戻すために。
現在のバディであるPC2は2年前に猟犬として復帰した時からの付き合いである。
武装
【褪せた歌姫】
靴底と踵に銃が内蔵されたヒールレスシューズの義足。蹴り技と射撃攻撃を組み合わせた遠近どちらにも対応した戦闘スタイル。
普段はただのハイヒールだが戦闘時には変形し、格納されていた銃器が展開される。
一見理性的でただのオーヴァードにしか見えない扇歌だが、義体とはいえ亡くした恋人の身体を義足にするという狂気的な行為は、彼女が紛れもなくジャームであるという事を体現している。
大切な人
四ノ花 君葉
URL:https://yutorize.2-d.jp/ytsheet/dx3rd/?id=NisvNq