ゆとシートⅡ for DX3rd - ゆと工公式鯖

常盤フヨウ - ゆとシートⅡ for DX3rd - ゆと工公式鯖

刑罰執行人(Executioner)常盤フヨウ(ときわ ふよう)

プレイヤー:K.MYON

年齢
16
性別
星座
蟹座
身長
156cm
体重
47+β kg
血液型
A型
ワークス
ネゴシエーター
カヴァー
『指切り』部隊員
ブリード
ピュアブリード
シンドローム
ブラックドッグ
HP最大値
+5=35
常備化ポイント
4
財産ポイント
2
行動値
6
戦闘移動
11
全力移動
22

経験点

消費
+30
未使用
0
フルスクラッチ作成

ライフパス

出自 両親は彼女の存在を快く思っていなかった。……生んでくれなんて、誰も頼んでいないのに。
疎まれた子
経験 歌、演劇、ゲーム。あらゆる娯楽はあいつらに破壊され、彼女のトラウマとなってしまった。
小さな名誉
邂逅 あたしの所属する部隊の上司。彼女こそが、命の恩人である……そのはずだ。
恩人……?
覚醒 侵蝕値 望まぬ力、異物を見るような視線。孤独には慣れてた……つもりだったんだけどな。
無知 15
衝動 侵蝕値 あたしにはもう、これしかないんだ。
闘争 16
/変異暴走 通常の暴走の効果に加え、回復手段がメジャーアクションの使用のみに変更される。
その他の修正12【機械化兵】《ハードワイヤード》《ペインエディター》分を含む。
侵蝕率基本値43

能力値

肉体4 感覚2 精神2 社会1
シンドローム2×2 シンドローム1×2 シンドローム1×2 シンドローム0×2
ワークス ワークス ワークス ワークス1
成長 成長 成長 成長
その他修正 その他修正 その他修正 その他修正
白兵 射撃+8=12 RC 交渉1
回避 知覚 意志+1=2 調達1
知識:機械工学1 情報:UGN3

ロイス

関係 名前 感情(Posi/Nega) 属性 状態
Dロイス 機械化兵(フルボーグ) 遺志 無関心 No.34。ブラックドッグ専用、自身が受けるHPダメージを常に10点軽減(邪毒は軽減不可)。
上司 鳶色悠刃 尊敬 脅威 彼女が居なければ、今のあたしは存在しなかった。そのはずだ。
違和感 ■■■ なし 不快感 永遠にこびり付く正体不明の違和感。……酷く、気持ち悪い。

エフェクト

種別名称LVタイミング技能難易度対象射程侵蝕値制限
リザレクト 1 オートアクション 自動成功 自身 至近 効果参照
(Lv)D点HP回復、侵蝕値上昇
ワーディング 1 オートアクション 自動成功 シーン 視界 0
非オーヴァードをエキストラ化
ハードワイヤード 7 常時 自動成功 自身 至近
ブラックドッグ専用アイテム(EA/p,136)からLv個選択し、常備化する。このエフェクトは侵蝕率でLvアップせず、侵蝕率基本値+4。(EA/p,40)
ペインエディター 1 常時 自動成功 自身 至近
自身のHP最大値を+[Lv×5]する。このエフェクトは侵蝕率でLvアップせず、侵蝕率基本値+3。(EA/p,40)
アタックプログラム 1 メジャーアクション 〈白兵〉〈射撃〉 対決 武器 2
このエフェクトを組み合わせた攻撃の命中判定の達成値を+[Lv×2]する。(EA/p,37)
ハイマニューバ 5 メジャーアクション 〈白兵〉〈射撃〉 対決 武器 4 リミット
前提:《ハードワイヤード》。組み合わせた攻撃の命中判定の達成値を+[Lv×5]する。その攻撃ではブラックドッグのエフェクトで取得した武器の使用が必須。シーン中1回まで。(EA/p,42)
バリアクラッカー 1 メジャーアクション 〈白兵〉〈射撃〉 対決 武器 4 80%
このエフェクトを組み合わせた攻撃に対して対象はガードを行えず、また装甲値を無視してダメージを算出する。シナリオ中Lv回まで。(EA/p,41)
メカニカルハート 1 オートアクション 自動成功 自身 至近 8 闘争、120%
自身が戦闘不能になった際に使用、戦闘不能を回復しHPを10点まで回復する。さらに自身はそのシーン中、あらゆる攻撃の攻撃力が+5される。シナリオ中1回まで。(RU/p,30)
アンテナモジュール 1 常時 自動成功 自身 至近
身体に仕込まれた強力な通信用電波アンテナにより、どんな環境にいても通信機器を使用できる。自らの意志で弱めたり切断することも可能。(EA/p,43)
セキュリティカット 1 メジャーアクション 自動成功 効果参照 至近 1
建物のセキュリティを切ったり電子的に施錠されたロックを解除するエフェクト。(EA/p,43)
タッピング&オンエア 1 メジャーアクション 自動成功 効果参照 視界 1
無線電波を傍受したり、逆に電波を放送して情報を送受信するエフェクト。ケーブルを用いれば有線でも送受信可能。(EA/p,43)

コンボ

BlackOut(実刑判決)

組み合わせ
「リニアキャノン(LC)」or「インプラントミサイル(IM)」+《アタックプログラム》
タイミング
メジャーアクション
技能
射撃
難易度
対決
対象
単体/範囲(選択)
射程
50m/20m
侵蝕値
2
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100%未満LC
2
10
12
8
100%以上LC
2
10
12+-1
8
100%未満IM
2
10
12+2
12
100%以上IM
2
10
12+1
12

銃口を向け、安全装置を外し、引き金を引く。あたしに課せられた使命(Mission)は、どんな状況であってもその動作を繰り返すだけよ。

ShutOut(極刑執行)

組み合わせ
「リニアキャノン(LC)」or「インプラントミサイル(IM)」+《アタックプログラム》+《ハイマニューバ》
タイミング
メジャーアクション
技能
射撃
難易度
対決
対象
単体/範囲(選択)
射程
50m/20m
侵蝕値
6
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100%未満LC
2
10
12+25
8
100%以上LC
2
10
12+32
8
100%未満IM
2
10
12+24
12
100%以上IM
2
10
12+31
12

暗殺者にとって最も重要なのは、一撃で殺す技量である。必殺の弾丸に、凄まじい火力も派手な演出も必要ないでしょ?

FallOut(一撃鏖殺)

組み合わせ
「リニアキャノン(LC)」or「インプラントミサイル(IM)」+《アタックプログラム》+《ハイマニューバ》+《バリアクラッカー》
タイミング
メジャーアクション
技能
射撃
難易度
対決
対象
単体/範囲(選択)
射程
50m/20m
侵蝕値
10
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100%未満LC
2
10
12+25
8
100%以上LC
2
10
12+32
8
100%未満IM
2
10
12+24
12
100%以上IM
2
10
12+31
12

執行対象になった以上、生き残ることはできない。親愛なるあなたに、ありったけの死の灰を。

武器常備化経験点種別技能命中攻撃力ガード
射程解説
リニアキャノン 射撃 〈射撃〉 -2 8 50m 射撃武器、イニシアチブプロセスにオートアクションで装備可能。攻撃対象のドッジ判定のダイス-2個。(EA/p,136)
インプラントミサイル×2 射撃 〈射撃〉 -3 12 20m 射撃武器、イニシアチブプロセスにオートアクションで装備可能。この武器での攻撃対象は「範囲(選択)」となる。シナリオ中1回まで。(EA/p,136)
一般アイテム常備化経験点種別技能解説
■■■■■■ 2 その他 〈意志〉 ……このゴミ、なに?
〈意志〉の判定の達成値+1。(Ⅰ/p,180)
ロックオンサイト×4 その他 〈射撃〉 〈射撃〉判定の達成値+2、個数分重複可。→常時効果なので技能値に直接加算。(EA/p,137)
星墜とし 5 エンブレム/使い捨て マイナーアクションで使用、「種別:射撃」の攻撃のダメージロールに+1D。データは「ブレイクバレット」。(UG/p,35)

経験点計算

能力値 技能 エフェクト アイテム メモリー 使用総計 未使用/合計
0 9 146 5 0 160 0/160
侵蝕率効果表

現在侵蝕率:

容姿・経歴・その他メモ

セットアップ(SetUp)レディ(Ready)ターゲットロック(TargetLock)オプティマイズ(Optimize)──刑罰執行(Execution)
糾弾の処刑人「常盤フヨウ」。彼女を救e医k譏溘?縲∝ュ伜惠縺励↑縺──

基本情報

【好きなもの】……「指切り部隊隊員」「褒められること」
【嫌いなもの】……「自分自身」「一人の夜」「酒や煙草の臭い」
・引っ込み思案でちょっぴり毒舌な少女。一人称はアタシ。UGNイリーガルのみで構成された刑罰執行部隊『指切り(FingerSwear)』に所属するネゴシエーター(交渉人)であり、部隊内トップクラスの成績を収める傭兵でもある。一方で傭兵としては珍しく、武器や防具、名声などに興味がないようだ。武器や道具に名前を付けていないのはその為。
・両親からネグレクトに近い虐待を受けており、生命の危機を感じた彼女が無我夢中に外の世界へと飛び出したところを指切りの上司である悠刃と邂逅を果たす。現在は両親と決別し、UGNの保護下の元で平穏な暮らしを享受できているが、彼女に深く刻まれた苦痛の記憶が薄れることは無い。
・“効率の良い”任務遂行の為に、記憶や感情を司るものも含めた器官の大部分を機械化している。それでもなおある程度の人間性を保持しているのは、感情を理解できた方が任務を成功させやすいという悠刃の意向らしい。

関係者リスト

花園の護り手(A-EGIS)”「鳶色悠刃」

フヨウの上司、刑罰執行部隊『指切り(FingerSwear)』の部隊長。あだ名はユジン部長。優秀なオーヴァードであり部隊員からの信頼も厚く、フヨウに僅かに残された心の拠り所。重度のワーカホリックだが、本人曰く「みんなが休める時間を作りたい」らしい。

ビルドメモ

折り畳み

固定値を信じろ。ダイスなんて信じるな。固定値こそが我らの救いである。C値2だろうが回らないときは回らないんだよ。いいから固定値を信じろ。でもダイスいっぱい振るのも好き~!

履歴

時は不要

『お前には俺らの血が流れているんだ』
心の奥深くに刻まれた呪いの言葉に、今日もまた魘されるのだろうか。
常盤フヨウ、物心ついた頃から彼女はオーヴァードだった。恵まれた容姿と多分野における才覚を生まれ持った彼女は、しかし家庭環境だけは最悪を超える劣悪さだったと言えよう。父親は酒と煙草、賭博と薬物に溺れ、月に一度か二度ほど家に帰ったかと思えば母親と彼女を標的に暴力衝動を発現させた。母親はそんな父親をいいことに毎週のように異なる男を連れ、汚ならしい水音と嬌声を響かせていた。
衣食住も最低限度、時には身勝手な都合を押し付けられて夜を過ごし、一夜明ければ再び悪夢が始まる。近隣住民は憐れみの念を持って何やら物品を彼女に与えてはいたが、そこから深く踏み込む者はおらず最後には見て見ぬ振り。
『お前には俺らの血が流れているんだ』
幼いながらもその言葉の意味を理解していたのか、彼女もまた周りに助けを求めることはしなかった。わかっている、あいつらと、そしてあたしと関わってしまえば必ず不幸な目に遭う。痛いオモイをしたくないのは皆いっしょ、だからあたし一人でなんとかするしかないのだ、と。
そして、そんな生活が始まって数年が経過した頃……ついに、限界が訪れた。切っ掛けは些細なことだったのかもしれない。けれど、彼女はその家から逃げ出した。ありったけの金品と生活用品をボロボロのバッグに詰め込み、遠く、遠くを目指して。
それから暫くの後、彼女は運■■■■【データ削除済み】

せめて君だけは……

人の脳というのは脆いものでな。記憶の大部分を占めている情報をそのまま抜き取ってしまえば、その後の人生にどう影響するか検討もつかない。下手をすればそのまま再起不能となってしまう可能性をも孕んでいるだろう。
ではどうするか。その情報を、別の“何か”と置き換えてしまえばいい。空欄を偽りの詰め物で代用すれば……本人が自覚しない限りは、如何なる問題も発生しないはずだ。
幸いというべきか、以前の記憶を知る者は私を除いてこの世には存在しない。“彼女”の最期の願いを叶えるためとはいえ、彼らの記憶さえも改変してしまうのは気が引けたが……この罪を背負うのは、私だけで十分だ。

-ある女の独白-

正体不明のメモリ

このメモリは、彼女が消去することを選んだ記憶の断片を複製したものだ。彼女が望んだことはこの記録の完全なる抹消だが、私が改造時の担当医に頼んで作製してもらった。……彼女の決意への裏切りは、私のある種のエゴだ。それでも、この小さな思い出が何時の日か、何かの役に立つと──私は信じている。

-ある女の独白-

Pleiades.zip
Memory.exe

末永くお幸せに

関係名前感情説明
Dロイス申し子☑連帯感/☐不快感No.23。読みは「セレクティッド」、選択したエフェクトは《アンプリフィケイション》。
Sロイス安藤昴☑慕情/☐隔意……なによ、あなたもどうせ、あたしの側から離れていくんでしょ。
友人十川逢生☑友情/☐嫉妬あなたもイヤでしょ、あたしみたいなのが昴の隣にいるのは。
一つの結末バウムクーヘン☐憧憬/☑厭気近くて遠い、浮揚の夢。
一つの結末ビターチョコレート☑尽力/☐疎外感遠くて近い、常盤の終わり。
敵性個体屍術士☐親近感/☑侮蔑人形遊びなんて、とっくに卒業すべきでしょ?
星は遠く制御装置プレアデス☑執着/☐食傷星は遥か遠く、もう届かない。
Connection.html
砕氷無尽(フィール・ザ・ラッシュ)”「安藤昴」

フヨウの幼馴染にして、一蓮托生の大親友(だとフヨウは思っている)。過去の経験から例外を除きほとんどの時間を彼と過ごすようにしている。フヨウは彼の天使になろうとその生を捧げる気概だが、彼と十川が両想いであると思い込んでいるためそういった面では少し距離を置いている。

蒼刀一閃(そうとういっせん)”「十川逢生」

フヨウの数少ない友人にして、昴の幼馴染。誰にでも分け隔てなく接する彼女を凄いと思う反面、羨ましいとも思っていた。かといって避けている訳ではなく、良い友人として関係を継続している。
昴に対して堂々と想いをぶつけられる彼女に少しだけ嫉妬していた。

Recollection.mp4

彼女を蝕む日常の回帰、そのひと欠片。

小さな包み紙

その日のあたしは、酷く餓えていた。あいつらも最低限の生活ができなければ問題になるのか、水道代などはきっちりと払っていたようで飲み水だけは賄えていたが、最近は近隣のゴミを漁りすぎたのかマークされてしまっていた。気絶する頻度も増えてきて日付感覚が曖昧だが、何も食べ物を口にしないまま三日ほど経過しただろうか。今日は何とはなしに公園に赴いてみたものの、特に収穫はなく。いっそのこと野鳥を仕留めて喰うべきかと考えていた。
近くに人はいるが、こちらをゴミを見るような眼で見てひそひそと何やら話すのみ。まあ、仕方のないことだろうと特に何を思うまでもなく、棒のように動かない足を引き摺りながら帰路に就くこととした。
──そのとき、あたしに話しかける声がした気がした。……幻聴まで聞こえるようになったのかと乾いた笑いを浮かべ再び足を動かそうとすれば、今度は肩を優しく叩く感触にびくりと全身が震えてしまう。慌てて振り返れば、同じ年くらいの少年の姿。汚れきったあたしを気にせず、彼は心配そうに一言二言声を発し、小さな包み紙に覆われた球体を差し出してくる。これは何なのか、とほとんど使ったことのない発声器官を酷使し問うと、食べ物だと教えてくれた。
それが、彼とあたしの最初の出会い。その時食べた飴玉は、いわゆる初恋の味がしたのを今もなお鮮明に覚えている。彼は疾うに忘れてしまっただろうけど、あたしはその時の包み紙……まだ持ってるんだよ

嫌気的呼吸

UGN、という組織に拾われた。残念ながら一般常識なんてものを持ち合わせる機会に恵まれなかったあたしは、まあどの道この先に待っていたのは「死」だろう、それなら利用されるだけ利用されるのも悪くない、とひねくれた考えで非日常な日常を過ごすこととなった。
あたしにはどうやら、様々な才能があるらしかった。それが日頃からあいつが若い男に投げていた“御世辞”というものなのかは分からなかったが、何度も褒められるのは悪い気がしなかった。
食事や新しい衣服を始め、勉学や戦闘、友人などあたしにはそのどれもが新鮮に映った。コミュニケーションというものはこう行うのか、とあたしは彼の影に隠れながら学んだものだ。
すべてが美しく彩られ、あいつらのことなんて忘れかけていた、ある夏の日のこと。UGNの“お偉いさん”から、あいつらが死んだことを伝えられた。どうやらFHによる破壊活動に捲き込まれたらしい。正直なところ、どうだっていい、というのがあたしの持った感想だった。あいつらに対する良い思い出なんて微塵も無いし、思い出すだけ苦痛というもの。むしろ「死んでくれてよかった」とも、おも、っ……
死んでくれて、よかった?頭をビール瓶で殴られたような鈍痛に意識を失いそうになりながら、自問自答する。あたしは今、曲がりなりにも数年程度ではあるがあたしを育ててくれていた人たちの「死」を喜んだのか?
『お前には俺らの血が流れているんだ』
──ようやく、わかった気がした。あたしはやっぱり、あいつらの子どもだ。見た目だけ取り繕っていても、どこかネジが欠落した不完全な人形。それがあたしだ。
あたしに、平穏な日常を享受する資格なんてあるのだろうか。今日もまた、呼吸が止まった。

終わりなき呪い

十川逢生が死んだ。昴とあたしの前で、呆気なく。UGNに籍を置く身としては同僚の死なんてものは日常茶飯事だった。しかし、さすがに同僚……世間一般では“友人”と呼ぶのだろうか。それも彼に見え見えの好意を向けていた彼女が目の前で死んだとなれば、幾らあたしといえど、多少なりとも動揺はしてしまう。
死因は、彼の手にした呪いの象徴(遺産)。彼は自分が彼女を殺したと思い込んでいるようだが、あたしの目から見てもあれは不慮の事故だった。ともかく、彼女に彼をよろしくと言われたからにはその遺志を継がなくてはならない。
彼の心の傷を癒せるのは、もうあたししかいない。ずっと彼の側に立って、お似合いだった彼女の代わりにならなくては。事故とはいえ彼の隣を空けてくれたのだ、この機会は有効に利用し……な……?
『お前には俺らの血が流れているんだ』
ドクンと心臓が激しく鼓動する感覚と共に、身体の最奥からドロドロとした感情と液体がこみ上げてくる。──その通り。彼女の死を穢すあたしは、彼の側に立つことはできない。否、立ってはいけない。
『お前には俺らの血が流れているんだ』
痙攣する呼吸器と止めどなく溢れる液体を制御しながら、額から流血する程度に洗面台へと頭を振り下ろす。こんな痛みより、彼の背負っている痛みの方が何十倍も重いはずだ。こんなもの、罰にすらなりはしない。
時間にして数十分が経過し、傷や汚れはそのままにベッドへと崩れ落ちる。……明日からも、“良い友人”でいられるのだろうかという一抹の不安を抱え、意識を手放した。
ねえ、昴。あたしにあなたを救う資格なんてないし、あなたに救われる資格もないんだよ。あたしもあなたも、過去(あいつら)に縛られてるみたいだから。
……ごめんなさい。

Ending.pdf
ED①『一歩、浮揚の夢を』

分岐条件:十川逢生が望まれた未来を進む、安藤昴に選ばれる
指切り部隊の由来、それを知る者は今となっては私しかいない。そもそも“指切り”とは遥か古来、江戸時代にそのルーツが存在する。遊女を始めとする者たちが客への不変たる愛情を証明すべく、自らの小指を切り落として贈り物とした。それが転じて現代では小指を絡ませて誓いを示すまじないとして使用されているわけだ。
この指切り部隊は表向きではUGN直轄の刑罰執行部隊(便利屋)として活動しているが、私と彼女たちやUGNとの、組織の存在理由に対する認識は大きく異なる。
突然だが、この現代に生きる我々オーヴァードにとっての“幸せ”とは何だろうか。その答えは千差万別であり、正解は存在しない。その一例として私は『理解者を見つけ、共に添い遂げること』であると考えている。無論、この考えに対して幾らかの異議や反論は有って然るべきだが。
話を戻そう。この指切り部隊の隊員たちは、すべて『何らかの要因により、パートナーを見つけることが困難である若い女性』で構成されている。
わざわざ言葉に出すのは憚られるが、そうだな。先日ここを卒業したある者は、幼い頃のトラウマにより“夫婦”というものに、男女間の性的交遊に激しい嫌悪感を覚えていた。
これらの問題はオーヴァードであるからといって容易に解決できるものではなく、むしろその立場が追い討ちをかける結果となってしまった事例も少なくなかった。
彼女たちはまだ若い。私がここに立ち、彼女たちの傷を少しでも癒すことができたのならば。小指を贈るとまでは行かずとも、手を繋ぎ共に歩める相手を見つけられたのならば。それだけで私たちの生には意味があったのだと、この部隊を共に立ち上げた“彼女”に対しても胸を張れるだろう。

-ある女の独白-

ED②『一歩、常盤を解いて』

分岐条件:十川逢生が望まれた未来を進む、安藤昴に選ばれない
かくして、事件は終わりを告げた。あれから数年後、昴と逢生は式を挙げることとなった。昴から友人代表としてスピーチをお願いされたときは胸に何かが刺さった感覚がしたが、当たり障りなく無事に役割を果たすことができた。うっかり涙を零してしまったが、きっと人々からは友人としての涙であると認識してくれることだろう。
式を終え足早に指切りの拠点へと戻り、何となく貰ってきたバウムクーヘンの箱を開ける。丸々一個はさすがに欲張りすぎかなと、お皿に移して切り分けることにした。……そういえば、あの時もバウムクーヘンを食べたような気がする。昴は甘いところに付いている包み紙を外さずに食べようとして──バチンと頬を叩き、ゆっくりと深呼吸をする。
フォークを準備して、紅茶を淹れて、ナイフを……ああ、でもその前に。この“包み紙”はもう必要ないかな。近くにあったゴミ箱に“包み紙”を捨て、誰もいない部屋で一人二次会の準備を淡々と進めた。途中でユジン部長が様子を見に来てくれたが、なんとなく一人で味わいたい気分だったので猫みたいに追い払ってしまった。
さて、準備は終わり。二人の行く先を祝して──いただきます。
しっとり湿ったバウムクーヘンは、最初で最期の失恋の味がした。

ED③『一歩、刑罰を越え』

分岐条件:十川逢生が望まれなかった未来を進む、安藤昴に選ばれる
かくして、事件は終わりを告げた。昴はあたしを選んでくれたが、あの日からその表情は暗いままだった。
夜道を歩き、帰路に就く。あたしは救われた。昴に選ばれた、その事実だけでよかったのだから。けれど、昴は救われない。彼を救える彼女は、もういない。
……ふと、昴があたしを見る瞳の奥底に、誰かを見ている気がした。そのとき、あたしはようやく理解した。ああ、あたしは彼女の代替品に過ぎないんだって。
踏切の数歩手前に来ていたことに気がつき、足を止める。正直な話、それでもよかった。贋作でも、写しでも、偽物でも、あたしは昴に望まれている。その事実以外、どうでもよかった。
でも、だけど、だからこそ。あたしは彼女に ならなくちゃいけない。性格、口調、特徴……朧気な記憶を引っ張り出し、あたしは彼女に成ろうとした。昴はあたしを見て驚いていたが、それでも嬉しかったはずだ、そうに違いない。似せた、演じた、倣った。けれど、あたしは彼女には成れない。もっと大きな何かが必要だった。
──カンカンと、鼓膜を揺らす音が響く。そうだ。いっそのこと この身体ごと 作り替えてしまえばいい。本当の意味で昴に望まれる 身体に成るんだ。
だとしたら この身体は不要だ。あたしは 下りる遮断桿を背に ゆっくりと その一歩を 踏み出 し
望まれたことのない彼女が今更望まれたところで、それを信じる道理はなかった。

ED④『一歩、道を踏み外し』

分岐条件:十川逢生が望まれなかった未来を進む、安藤昴に選ばれない
かくして、事件は終わりを告げた。結果としてあたしたちに残ったのは、後悔と苦痛の残滓のみ。あたしの心は淡い慕情を抱えて堕落し、昴も彼女への慕情を抱えてその場に停滞した。
あたしは救われない。そんな結末、最初からわかっていたハズなのに……何故だろう、心にかかった靄が晴れることはない。いや、そんなことはどうでもいい。それよりも、あたしは昴を救いたい。救う資格がないとわかっていても、ここ数日は同じことばかりを考えてしまっていた。
そんな最中、あたしはその“方法”を見つけた──見つけてしまった。事件の資料を指切りの保有する拠点で纏めていたとき、クシャリと握ったのは一枚の広告。いつの日かこの想いが叶わなければ彼を使ってすべてを忘れてしまおうと思っていた、あるオーヴァード専門医の触れ込み。
……ああ そうか。昴がこんなにも苦しんでいるのは アイツのせいだ。
アイツの記憶が消えてしまえば 昴を苦しめる枷は なくなる。
待っててね 昴 あたしが 助けて あげる か
『お前には俺らの血が流れているんだ』……その通りだったね、お父さん。

セッション履歴

No. 日付 タイトル 経験点 GM 参加者
フルスクラッチ作成 4
1 2022-10-30 せめて君だけは生きていて 26 エラーさん ■■■/■■■■/常盤フヨウ
バウムクーヘンエンドには、程遠く。

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