光と影を操るエンジェルハィロゥとウロボロスの力。
超高速に耐えうるハヌマーンの動体視力と体幹。
そして常人であれば発狂しかねないほどに過敏な超感覚。
これらが彼を"怪人"たらしめる要素である。

かつて表の医術では助からない大病を患った妹の治療の為に、何処からか存在を突き止めたレネゲイドとその研究者の門扉を叩いたことから彼のオーヴァードとしての生は始まる。

彼は研究者に対し一刻も早い妹への治療を求めるも、当然無条件とはいかず研究者は切迫詰まった彼にふたつの条件を提示してきた。
自身と妹の身を被験体として差し出すこと。
研究の為に働くこと。
明らかに怪しく危険な香りの漂う要求であったが、選択肢は他に無くそれを受け入れた。
その後はレネゲイドウィルスの投与から始まり、改造手術に薬物投与。それと共に研究に必要な"サンプル"の収集任務に従事する日々を過ごす。
あまりにも危険かつ非合法な実験と仕事を続けることで心身は摩耗を続けたが、妹の確かな回復が希望となり生きる糧となっていた。
しかしそんな生活は唐突に終わりを迎える。件の研究者は元々、非人道的研究を行なっているとしてUGNに追われる身であり、研究所の所在がUGNに割れたことを機に姿を消したのだ。幸いにも妹は研究所に踏み込んだUGNに保護され、これまで以上に回復を見込める治療を受けられることが判明。だが安堵したのも束の間。彼自身は共犯者としてUGNに捕らえられることに。

オーヴァード犯罪者としての烙印を押され、沙汰を待つ彼に救いの手を差し出したのはUGN日本支部長、霧谷雄吾であった。
霧谷は彼を更生の余地有りとして取引を持ちかけ、UGNへの所属と奉仕活動を勧めてきた。断る理由も意味も無く、その手を取って新たな道を選び踏み出した彼は今、前科者としては異例の一支部の副支部長の座まで上り詰めたのだった。

"ドクター"の元で被験体となることで得たもの。
投与されたレネゲイドと薬物によって彼の感覚器官は異常なまでに発達を遂げた。特に触覚に至っては生来の肌の弱さ(アルビノ)と組み合い、そよ風ですら激痛を引き起こす刺激となるほどに過敏になっている。他にもレネゲイド由来薬物の副作用等が皮膚組織を変容し全身を酷く爛れさせた結果、彼の風貌は怪人と呼ぶに相応しい姿に変貌。それを隠す目的と肌を保護する為、常に全身に包帯を纏わせている。