「上等！　こっから先は……おれも――」

「マジで主人公っぽく行くから、よろしく」

鳴島現は、手元の弓を握りしめ、眼の前の敵と、後ろの仲間たちに独白する。


「炎っていうのはさ、主人公の力だと思ってたわけ」

「おれはそういう主人公ってよりかは、どうしても三枚目が好きでさあ。厨二病みたいなもんだよ」

「だって、本当に真剣にカッコつけて、負けたらどうする？　
――それこそ一番情けないだろ」

おれが一番怖いのは、そうやって大見栄切って失敗すること。
なら、最初からふざけてやったほうが、失敗しても許されそうじゃん。

「でも……もう、そういうこと言ってられる時間じゃないよな」
もう、おれは、なんもかんも背負うしかない。

「……祭りの終わりといえば、キャンプファイアーだろ？」

それは力を求めるように紅く脈動し、さらなる”熱”の供給を求めていた。

因子の力を込める度に、辺りが炎に包まれていく。
中心点となるその弓が白熱し、造形中のガラス細工のように巨大化していく。

現の体から残りカスのような全ての因子が弓に集まり、輝き――その果てに、覚醒する。
神々しいその大弓は、何度でも神を正す(Re:corrction)ためにあるもの。

「――鳴島現、”神正”（リコレクション）。赫炎神弓と共に、参るぜ！！！」

"赫色の因子”を操る能力。

エネルギーを纏ったオルクス由来の”赫色の因子”で、色々なことができる。
例えばそれを結晶化させると《サポートデバイス》や”ダイドウェポン”のような物体の強化につながるし、
人に纏わせると運動性が上がる（《氷熱の軍団》）。この能力を賢者の石パワーで因子で最大限発揮するとビームが放てる。

傷無との別れ以外につらい過去はない。
しいていうなら”賢者の石”由来である”赫色の因子”のせいで、昔から使っていた弓がのせいでどんどん特級呪物化していることぐらい。おかげでUGNには素体として研究されまくりだしずっぶずぶの関係だ。