陽炎 餮はＫ市内のUGN支部に勤めるエージェントである。彼はオーヴァードになる前後の記憶をすっぽりとなくしていた。そのため、どういった経緯で自分がオーヴァードになったのかは不明である。しかし、自分が変わったと感じた時期は心当たりがあった。その時彼は天文台でなぜか一人目を覚ました。天文台の駐車場で今にも落ちそうな星々を眺めていた。それが今の陽炎 餮が実感を持って自分の記憶だと断言できる最古の記憶だ。
生まれてからのことは何となく覚えている。市内に何があったかも、仲の良かった友人も。恋をした相手についても覚えている。いや、正確にいうなら記憶しているだろうか。この記憶、自分自身のものであるという実感を持てないのだ。天文台で目覚めたあの時から過去の記憶に自信がないのだ。

　自分がオーヴァードであると知って数日たった頃、自分の周りにいつの間にか影のように真っ黒な黒ずくめの人物がいることが分かった。基本的に彼は無口らしく指をさすなどのジェスチャーをするのみであった。彼が話しているところを見たことはない。調べてみると彼のような存在をシャドーマン・シャドーピープルというらしく怪異譚が世界的に残っていた。なぜ彼が自分に付きまとうのかはいまだに謎だ。

　記憶に実感がない。自分の実在を実感できていない人間であることから、蜃気楼の意味合いも持つ陽炎(かぎろい)。
　餮は中国の化物である饕餮(とうてつ)から。饕餮は悪食でなんでも食べるという。なんでも飲み込む闇をイメージしていた。彼には何もない。何もないということは何でも飲み込むことができるということ。

2023年 3月21日 午前零時頃、天文台そばの駐車場で目を覚ます。自分の変化と記憶の欠落を自覚。
2023年 4月 1日 自身をつけてくる人影を認知する。気のせいではないと自覚し、しばらく部屋から出られなくなる。
2023年 8月 8日 人影に害意がないものだと認める。気にしないの方向性で記憶の中の陽炎 餮を演じることにする。
2024年 1月10日 一般人として過ごしてきたが、たまたま職場で発生したジャームによる事件に巻き込まれる形でUGNに入団する。
2024年 5月　　 陽炎 餮の高校時代の同級生である山本優花とK市内で再開する。【シナリオ：美欺麗華】