藤村氏族はUGN日本支部に対して大きな貢献を果たしてきた一族である。

その多くに異能者――先天的なレネゲイドウィルス発症者を擁していた事もあり、UGN日本支部が正式に発足以前から日本でのレネゲイドウィルス研究に協力してきた一族としての地位である。

それによる恩恵はどれほどのものか。

Exレネゲイド「賢者の石」の適合試験の対象に自身の血族の子を選ばせることか。
『ダイドウェポン』と称されるExレネゲイド装備を貸与を赦される事か。
はたまた、血族の子として『配合』した子を運用に適した年齢まで生育"させる"という促成栽培実験を認めさせることか。

……その「恩恵」のすべてを受け取ることが出来るということが、人間的な幸福に繋がるかどうかは、藤村という一族にとってなんら鑑みることではないのだ。

そしてこれは彼彼女らにとっての紛れもない望みに沿った選択であり――それを止めるべき法の番人は存在しない。