ゆとシートⅡ for DX3rd - ゆと工公式鯖

誰彼 カフカ - ゆとシートⅡ for DX3rd - ゆと工公式鯖

紅蜘蛛ラストハンズ誰彼 カフカタソガレ カフカ

プレイヤー:スケヴェーヌ

通りすがりのヒーローだよ!

年齢
外見10代半ば
性別
なし
星座
身長
300/158/200
体重
30/30/130
血液型
ワークス
レネゲイドビーイングC
カヴァー
写真家
ブリード
ピュアブリード
シンドローム
ウロボロス
HP最大値
29
常備化ポイント
2
財産ポイント
0
行動値
+3=12
戦闘移動
17
全力移動
34

経験点

消費
+54
未使用
0
フルスクラッチ作成

ライフパス

出自 暗闇の中、自分を呼ぶ声たちに強く惹かれ、護りたいと思った。
人類への興味
経験 助けを求める誰かの声を探して旅を続けている。「誰か助けて」。その「誰か」は、自分でもいいはずだ。そう信じて。
邂逅 UGNイリーガルとして依頼を受け、彼と共に事件を解決した過去がある。自分にとって彼もまた庇護すべき人間の一人だが、自分には無い力を持っていることは確かだ。
任意:谷 修成
覚醒 侵蝕値 自分が、何のために生まれ、何を求めているのか、未だ理解出来ずにいる。だが、本来なら生まれ落ちることさえなかった自分を形作ったのは、きっと、力無き人々の宛無き呼び声なのだ。
無知 15
衝動 侵蝕値 人々の悲鳴を聴くとひどく落ち着く。元はその声こそがゆりかごだったのだから、当然の事なのかもしれない。なら、自分にとって人助けとは、息の根に繋がった管を自ら切り落とす行為なのではないか。そう、思えてならない。
加虐 15
その他の修正5ヒューマンズネイバー
侵蝕率基本値35

能力値

肉体2 感覚2 精神5 社会1
シンドローム1×2 シンドローム1×2 シンドローム2×2 シンドローム0×2
ワークス ワークス ワークス1 ワークス
成長 成長 成長 成長1
その他修正 その他修正 その他修正 その他修正
白兵5 射撃 RC1 交渉1
回避 知覚1 意志1 調達
情報:UGN1

ロイス

関係 名前 感情(Posi/Nega) 属性 状態
Dロイス 申し子 (LM:p72)ピュアブリード専用。申し子専用エフェクトを1Lvでひとつだけ選んで取得可能。
誰彼 唯一 誠意 厭気 PU 名前を分けてくれた人物。自分がイリーガルになれるよう尽力してくれたUGN支部長。
少女 懐旧 憐憫 YE いちばん古い記憶に根付く少女の姿。泣き腫らしたその瞳で、自分を見上げて、「ありがとう」と言ってくれたことが今も記憶に残っている。

エフェクト

種別名称LVタイミング技能難易度対象射程侵蝕値制限
リザレクト 1 オートアクション 自動成功 自身 至近 効果参照
(LV)D点HP回復、侵蝕値上昇
ワーディング 1 オートアクション 自動成功 シーン 視界 0
非オーヴァードをエキストラ化
ヒューマンズネイバー 1 常時 自動成功 自身 至近 RB
(EA:p134)レネゲイドビーイングであることを表すエフェクト。衝動判定に+LvDする。このエフェクトは侵蝕率でレベルアップせず、このエフェクトを取得した場合基本侵蝕率を+5する。
オリジン:レジェンド 3 マイナーアクション 自動成功 自身 至近 2 RB
(EA:p135)噂話や都市伝説、集合意識などから形作られたレネゲイドビーイングであることを表すエフェクト。このシーンの間、精神を使用して判定するあらゆる達成値を+Lv×2する。
アンプリフィケイション 3 メジャーアクション 効果参照 5 Dロイス
(LM:p117)あらゆる判定に組み合わせることができる。このエフェクトを組み合わせた攻撃の攻撃力をLv×5。このエフェクトは1シナリオに3回まで。
螺旋の悪魔 5 セットアッププロセス 自動成功 自身 至近 3
(EA:p124)バッドステータス<暴走>を受ける。このエフェクトを発動したRの間、ウロボロスのエフェクトを組み合わせた攻撃の攻撃力を+[Lv×3]。
コンセントレイト:ウロボロス 3 メジャーアクション シンドローム 2
クリティカル値を-Lv。(下限値7)
無形の影 1 メジャーアクション 効果参照 4
(EA:p124)このエフェクトを組み合わせた判定は【精神】を用いて行うことが出来る。1Rに1回まで。
混色の氾濫 2 メジャーアクション シンドローム 範囲(選択) 2
(EA:p123)《原初の●》で取得した「対象:自身」以外のエフェクトと組み合わせて使用する。このエフェクトを組み合わせたエフェクトの対象を対象:範囲(選択)に変更する。このエフェクトはシナリオ中にLv回使用可能。
原初の赤:貪欲なる拳 1 メジャーアクション 〈白兵〉 対決 武器 4
(EA:p122,68)このエフェクトを組み合わせた判定のダイスを+[Lv+1]。
シャドウダイバー 1 メジャーアクション 自動成功 単体 至近 2
対象の影に触れることで、現在の感情を読み取ることが可能。対象が感情を隠している場合、<RC>と対象の<知覚>で対決を行う。このエフェクトでは、対象の思考までは読み取れない。
傍らの影法師 1 メジャーアクション 効果参照 自身 至近
自分の影を動物や人間の形に立体化させ付き従わせるエフェクト。影はエキストラとして扱い、外見は自由に設定出来るが会話は不可能。元の影に戻すにはオートアクションを使用する。影であることを隠蔽するためには、見破ろうとする者の<知覚>と自分の<RC>を対決させる。

コンボ

全盛り

組み合わせ
アンプリフィケイションコンセントレイト:ウロボロス無形の影混色の氾濫原初の赤:貪欲なる拳
タイミング
メジャーアクション
技能
白兵
難易度
対決
対象
範囲(選択)
射程
視界
侵蝕値
17
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100%未満
5+2
7
5+4
37
100%以上
5+3
7
5+6
45
160%以上
5+4
7
5+8
53

影蛇の剣装備、オリジン:レジェンド、螺旋の悪魔発動想定(浸蝕値記載無)。

単体盛り

組み合わせ
アンプリフィケイションコンセントレイト:ウロボロス無形の影原初の赤:貪欲なる拳
タイミング
メジャーアクション
技能
白兵
難易度
対決
対象
単体
射程
視界
侵蝕値
15
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100%未満
5+2
7
5+4
37
100%以上
5+3
7
5+6
45
160%以上
5+4
7
5+8
53

影蛇の剣装備、オリジン:レジェンド、螺旋の悪魔発動想定(浸蝕値記載無)。

範囲アン抜き

組み合わせ
コンセントレイト:ウロボロス無形の影混色の氾濫原初の赤:貪欲なる拳
タイミング
メジャーアクション
技能
白兵
難易度
対決
対象
範囲(選択)
射程
視界
侵蝕値
12
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100%未満
5+2
7
5+4
22
100%以上
5+3
7
5+6
25
160%以上
5+4
7
5+8
28

影蛇の剣装備、オリジン:レジェンド、螺旋の悪魔発動想定(浸蝕値記載無)。

単体アン抜き

組み合わせ
コンセントレイト:ウロボロス無形の影原初の赤:貪欲なる拳
タイミング
メジャーアクション
技能
白兵
難易度
対決
対象
単体
射程
視界
侵蝕値
10
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100%未満
5+2
7
5+4
22
100%以上
5+3
7
5+6
25
160%以上
5+4
7
5+8
28

影蛇の剣装備、オリジン:レジェンド、螺旋の悪魔発動想定(浸蝕値記載無)。

螺旋抜き単体

組み合わせ
アンプリフィケイションコンセントレイト:ウロボロス無形の影原初の赤:貪欲なる拳
タイミング
メジャーアクション
技能
白兵
難易度
対決
対象
単体
射程
視界
侵蝕値
15
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100%未満
5+2
7
5+4
22
100%以上
5+3
7
5+6
27
160%以上
5+4
7
5+8
32

影蛇の剣装備、オリジン:レジェンド発動想定(浸蝕値記載無)。

螺旋抜き範囲

組み合わせ
アンプリフィケイションコンセントレイト:ウロボロス無形の影原初の赤:貪欲なる拳混色の氾濫
タイミング
メジャーアクション
技能
白兵
難易度
対決
対象
範囲(選択)
射程
視界
侵蝕値
17
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100%未満
5+2
7
5+4
22
100%以上
5+3
7
5+6
27
160%以上
5+4
7
5+8
32

影蛇の剣装備、オリジン:レジェンド発動想定(浸蝕値記載無)。

全抜き

組み合わせ
コンセントレイト:ウロボロス無形の影原初の赤:貪欲なる拳
タイミング
メジャーアクション
技能
白兵
難易度
対決
対象
単体
射程
視界
侵蝕値
10
条件
ダイス
C値
達成値修正
攻撃力
100%未満
5+2
7
5+4
7
100%以上
5+3
7
5+6
7
160%以上
5+4
7
5+8
7

影蛇の剣装備、オリジン:レジェンド発動想定(浸蝕値記載無)。

武器常備化経験点種別技能命中攻撃力ガード
射程解説
影蛇の剣 25 白兵 〈白兵〉 -2 7 3 至近 (IA:p96)ウロボロスのエフェクトを組み合わせたこの武器による攻撃の射程を「射程:視界」にする。この効果はエフェクトの射程より優先する。
一般アイテム常備化経験点種別技能解説
要人への貸し 1 コネ 〈情報:〉 任意の情報判定のダイスを+3。シナリオ中1回まで。レアアイテム。
警察 1 コネ 〈情報:警察〉 情報:警察の判定のダイスを+2。レアアイテム。
デリバリー 5 エンブレム/一般 UGNイリーガルエンブレム。
【行動値】に+3。

経験点計算

能力値 技能 エフェクト アイテム メモリー 使用総計 未使用/合計
10 10 134 30 0 184 0/184
侵蝕率効果表

現在侵蝕率:

容姿・経歴・その他メモ

プロフィール
少年とも少女ともつかない外見をしたレネゲイドビーイング。その実態は多腕多脚、無貌の怪物。
イリーガルとして人助けを生業としており、人間に対し強い関心を持っている。
報酬金で買ったインスタントカメラを相棒として、目にした様々な人物を写真に収めている。知人からは盗撮に当たると戒められているが、やめられないようだ。
人間など動物をオリジンに持たない彼は、生物として通常の代謝を行っておらず、ただ誰かの助けを求める声を縁に産まれ、また行動している。
かつてはUGNの研究施設に収容されており、その時に人間社会の資料として提供された娯楽作品の影響を受け、ヒーローという存在に憧れている。

過去


彼が産まれたのは数年前、日本で発生したある大きな自然災害、その日であった。
目が覚めた​───産まれたばかりの彼に眼球も耳も無かったのだが​───そのレネゲイドビーイングは、ただその"声"を聴いていた。

「おとうさんとおかあさんを助けて」
「ここにいます」
「誰か助けて」

少女の声が、助けを求めている。ダレカに。ダレカとは誰?おーい、呼ばれているよ、ダレカさん。……名乗り出る者は居なかった。
しばらく安楽椅子に揺れるような心地で聴き入っていた彼は、不意に思った。
ひょっとして、ダレカとは自分のことなのか?どうもそうではない気がするのだが、あんなに大きく叫んで、しかし誰も返事をしないことなど有り得るだろうか。とはいえここにいるのは自分だけなので、自分が助けに行った方が良いのかもしれない。でも、あの少女の悲鳴を聴くのは悪い気分ではないのだ。じんわりと身体が暖かくなるような、満ち足りた気分でいられる。それを捨てなきゃいけないのだろうか。
冬の早朝、布団から抜け出すことを渋るような、寒さに対することを忌むような逡巡を経て、彼は立ち上がることを選んだ。
足元には多くの瓦礫が散乱し、周囲は暗く、狭い。動きづらさを覚えながらも、声の方へと歩を進める。
見れば、幼い少女が瓦礫の山……その隙間から覗く腕を掴み、懸命に叫び続けている。きっとあれが、あの子の親なのだ。
あれで生きているのだろうかと疑問に思うも、結局、見えている部分が腕だけでは分かるはずもない。なんにせよやることはひとつ。少女の背後に立ち、体にめいいっぱい力を込め、そして解き放った。
見事に開通した穴から、曇り空の薄暗い光が差している。周囲の瓦礫を退かす程度のつもりだったが、上手くいかず大穴まで開けてしまった。ひょっとして自分は不器用なのか?そんなことを思っていると、少女がこちらを見上げていた。光が差したことでようやく見えた彼女の瞳は真っ赤に充血して、その手は母親の手を呆然と握りしめたままだった。
瓦礫の下から出てきた両親は怪我をして、意識も無いが死んだようには見えないので、きっと、上手くやれた方だろう。……それはそうと、少女の泣く声が止んだせいか身体が重くなったような気がする。気だるく、どこか寒気さえ感じる。

「……ありがとう」

やはり助けたのは失敗だったろうか、とあれこれ思考していた自分に、不意に声がかけられる。少女からの礼だった。その言葉に何かしらを反応するよりも早く、全身に電流が走るような感覚に襲われた。
空の向こう、大穴の先から数え切れないほどの悲鳴を感じた。多くの人間が、苦しみ、嘆き、悲しみ、呼んでいる。誰かを。ずっとずっと、呼び続けているのだ。
弾かれるように穴から飛び出し、外の世界を見渡した。一面に広がる瓦礫、崩れ落ちた地面、立ち込める土煙。遠くの方には、揺らめく赤い光が見える、火事だろう。
そして何より、至るところから感じる、助けを呼ぶ声。歓喜に近い感情に身が震える。自分を構成するものは、あの楽団が奏でるコンサートだ。そう直感するほどに。
この音のひとつひとつが自分を肯定してくれているような、存在を保証してくれているような、包み込まれるような多幸感に酔いしれる脳裏に過ぎったのは、あの少女の言葉だった。
ありがとう、ただその一言。
それ以上でもそれ以下でもなく、先程まで彼女がもたらしてくれていた悲哀の叫びと比べればちっぽけで、とても割に合わないあの言葉が、しかし、胸に刺さって抜けなかった。
そうして降り立ったのは、崩れた家屋の前。大人の男が、懸命に内部に向けて声をかけ続けている。どうやら、恋人が巻き込まれているらしい。何を思ったのか、自分はあの崩れたトンネルの時と同じように吹き飛ばした。
中からは全身に傷を作り、しかし微かに息のある女性が姿を現した。驚愕して振り返った男は、こちらを認めると表情を恐怖に染め上げ、絶叫した。

「バケモノ」と。

あれ?自分の名前はダレカではなく、バケモノだったのだろうか。いや、そんなことより。
先程の少女と同じ言葉が貰えると思ったのだけれど、何が違ったのだろう。確かに、男の悲鳴は甘美だ。それなのに、得体の知れない欲求不満が胸中を支配していた。
目の前の彼はあたふたとしながら叫ぶばかりで教えてくれそうにない。仕方ない。それなら探しに行こう。自分が彼らの哀しみから産まれたのだとして、自分は何をすべきなのかを。

……あの後、何度か人間の前に姿を現してみたものの、皆一様に怯えて、話にならなかった。ここではダメなのかもしれないと思い至り、崩れたこの街を後にすることを決めた。

それから、何年が経ったのだろうか。街から離れてすぐ、声が聴こえなくなったせいか、意識が朦朧として眠るように倒れてしまった。それからの自分は、ひどく曖昧な形で命を保っていた。助けを求める声を耳にして目覚める。場所も時刻も毎回変わっていて、共通しているのは、もうどうしようもなく追い詰められた人間の傍ということだけ。
ある時は強盗に襲われた店に、ある時は暴漢に襲われている誰かの前に、またある時は凄惨な事故の現場に。そして誰もが、自分を見て恐怖し、求める言葉を口にしてはくれなかった。それでも、期待を捨てることが出来ずに、再び眠りにつくのだった。

呼び声に惹かれ、目を覚ます。そこは人気の無い廃ビルのようで、見回した先には似通った衣服を纏った年若い人間たちが自分を取り囲んでいた。彼らは自分とよく似た力を励起させ、あるいは武器を構えこちらの行動を緊迫の面持ちで見張っていた。彼らは何者だろうと疑問は尽きなかったが、いずれにせよ、助けを求める者が居ないのであればまた眠りにつくだけだ。望まずとも、どうせそうならざるを得ない。
臨戦態勢の人間たちとは対照的にぼんやりとした思考に意識を割いていると、彼らの間を縫って、白衣の男が姿を見せる。彼は柔和な笑みを浮かべながら滔々と語り出した。
要約すると、彼らはUGNという組織に属していて、そして自分はレネゲイドビーイングという存在の、中でも殊に珍しい存在であること、正気を保てているのなら共に来て欲しいと要求しているようだ。
それ自体は構わなかったが……と、ここで違和感に気付く。声が聴こえないというのに、眠くならない。意識はハッキリしたままで、虚脱感に苛まれることも、過剰な充足で気が大きくなるようなことも無い、心身の安定を自覚した。
そのことを知ってか知らずか、白衣の彼は自分に人間への化け方を語り始める。
言われるがままに、自分の輪郭をイメージして、形作り、自身へ投影する。その試みは想像以上にスムーズに果たされ、何故今まで思いつかなかったのかと疑問に思うほどだった。
先程より遥かに低くなった背丈に戸惑いを隠せないながらも、満足気に頷く彼に手を引かれ、UGNの研究施設へと身を置くこととなった。

それから、自分の生活は大きく変わった。
朝も夜も知れない窓のない小さな部屋で過ごし、よく分からない機械で体を検査され、人間の社会についてを学び、己が力の使い方についてを教わった。
窮屈な生活ではあったものの、退屈は感じなかった。特に、白衣の彼が寄越してくれた、人間についての教材と称した漫画やアニメ、特撮ドラマのDVDはとても刺激的であったからだ。力無き人々のために力を奮い、共に歩むヒーローの姿。彼らの生き様には心惹かれるものがあった。
そんな、施設での生活を続けるうちに自分が如何に不安定な存在だったのかを理解出来てきた。
自分の存在の縁……根源は、人々の持つ、助けて欲しいという宛先のない願いなのではないかと白衣の彼は考察していた。あの日、あの街は大きな自然災害に巻き込まれた。被災者たちの嘆きが呼び水となり、あの暗いトンネルの中で目覚めたのかもしれない。本来、像を結ぶには抽象的に過ぎ、またそれを根と張るには強すぎる感情が、しかし奇跡的なバランスで存在している。
事実、被災地の救助活動が終わる頃には実体を失いかけていたのだから、綱渡りに等しい顕現であることは言うまでもないのだろう。
その後は意識も無くレネゲイドの粒子となって漂い、人の感情に反応し、ただそれによってのみ肉体をかろうじて構築出来る存在にまで弱っていたらしい。
ならどうして。自分の体を見渡し、その疑問を口にする。どうして今、自分は存在出来ているのか。
その答えこそ、UGNが自分を捕えるべく待ち構えていた事と繋がっていた。
自分がそんな日々を過ごしていたことで、人間社会にはある都市伝説が囁かれていた。
助けを呼ぶと赤い幽霊が出るぞ、と。
その噂は自分が出現を繰り返す度に実在性を帯びて広まり、やがては自分自身の存在を、人を助けに来る赤い幽霊として新たに構築してくれるまでに至ったのだ。
だが、表社会へのレネゲイドの秘匿を是とするUGNは事態を重く見、赤い幽霊をレネゲイドビーイングの1種と断定、確保……場合によっては排除することを決定した。
そうして人気の無い廃ビルにて、彼らの作戦によってまんまと出現したことで、今に至るということらしい。
それを踏まえた上で、彼はこちらに問うた。正確には、答えが既に決まっている事柄を宣告し、また謝罪しようという態度であった。
分からないということが分かった……そう言うしかないのがレネゲイドビーイングという種への、人間たちが今持っている答えだ。そこに更なる特殊なケースが現れたのだから、野放しにする選択肢はUGNには無い。現に、既に表社会に影響を及ぼしているのだから全くもって当然の答えだろう。
だが、それでも。白衣の彼は納得出来ていなかった。
あの大災害の日、どんな理由があれこのレネゲイドビーイングは人々を救っていた。家屋など構造物を破壊しながらも、人間には決して危害を加えなかった。その後の出現の数々に関してもそうだ。誰一人として傷つけることなく、危機を退けていた。
このままではこの少女のような姿をした生命体は、二度と空を見上げることも無く研究材料として飼い殺しにされるだろう。彼の行いなど、誰一人として覚えていない社会が築かれるのだろう。それでは、あまりにも。
だからせめて、例え仮初のものであったとしても、彼に自由を与えたい。UGN支部長の一角である自分が、持ちうるささやかな力の全てを以て彼を助けたい。彼の有為性と人類への友好を示すことが出来れば、エージェント……果てはイリーガルの立場に置いてやることも出来るかもしれない。それが自分に出来うる限りの恩返しだと、そう信じた。
白衣の男は部屋に散らばったDVDの箱を拾い上げ、そこに描かれた主人公……ヒーローの姿を示す。

「君がなりたいものはなんだい?」

同時に、その問いは祈りだった。そう在って欲しい、望む答えを返して欲しいという願い。もし、君が"そう"言ってくれるのなら、きっと。

戸惑いを湛えた瞳で、男を見上げ、思考する。今までの漫然としたそれではなく、自分自身を自分の意思で定義せんと試みる、この世に生を受けて以来最大の決断の瞬間。それを今この時、迎えているのだ。
不意に、彼が手に持つ箱に写るヒーローが、こちらを見つめている気がした。背中を押された。……そんな気がした。

「ボクは、ヒーローになりたい」

ありがとう、と。あの日の少女と同じ言葉が彼から零れた。何故か泣きそうな顔で男は笑っていた。
わからない。何が嬉しかったのか、嬉しいのに何故そんな顔をしているのか。欲し続けて、しかし得られなかったその言葉が、あまりにも容易く投げかけられたことも。

まったく、人間は本当に不思議だ。
泣いたり笑ったり本当に忙しい。
ボクの居場所はきっと、彼らの悲しみの中にしかないのだろうと思う。そこがボクの産まれた場所なら、還る場所もそこなんだろう。
だったらそうだ、旅をしよう。居たくない場所に居続ける必要はどこにもない。
だってボクは、彼らの笑顔の方が好きなんだから。
自分が自分でなくなったとしても、それに値する何かを守れるならそれでいいんだ。
それがボクの憧れるヒーローだから。

セッション履歴

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1 1/26 Artificialis Anima 21 トリチキン様 とろろわ様トワトワ様トリトン様セイジ様
力で解決するだけでは、なにかが足りない?
2 2/16 UGN温泉旅行 春日恭二湯煙殺人事件~犯人は女将~ 23 セイジ様 トリチキン様トワトワ様とろろわ様

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