子供の頃から手品が好きでパフォーマーを志していた。心から楽しく生きて、それでついでに誰かを楽しませられるならこれ以上のことは無いと思っていたが、19歳の頃に発症、視覚に作用するシンドロームであったことも重なって、何をやっても「まやかし」「チート」「それ手品っつーかただの超能力じゃん」「ステージより研究所行ったら？」などと嘲笑われるようになり、周囲との隔絶により心を閉ざす。
　UGNに感知されてからは保護観察対象として施設に身を置いて能力制御の訓練を受けたりもしたが、任務に参加するなら能力の使用がほぼ前提となるという話を聞いて正式な所属を拒み、知り合いの探偵事務所に押しかけて雑用として働き始める。
　自分自身との折り合いをつけ切れないまま数年が経過して、漠然とした希死念慮を抱え始めた頃、目の前で交通事故現場に遭遇する。1人の少女が車道に飛び出して車に撥ね飛ばされたのだった。半身がひしゃげ血にまみれ両目から光を失った少女を見て、死への強い恐怖を自覚、同時に「彼女を救わなければならない」という我武者羅な決意を抱く。
　その後一命を取り留めた彼女──狗雷 暗珠（ https://yutorize.2-d.jp/ytsheet/dx3rd/?id=PzhorE ）と共に暮らすようになり、境遇を知ってからは「俺も“そう”なんだよ」とひけらかすことで自分自身とも真摯に向き合い始める。オーヴァードと非オーヴァードの軋轢の解消を望むようになり、「まずは自分から」という思いで、パフォーマーを志していた頃の気持ちを胸に灯している。同時に、自分が生きているうちに理想が実現することは無いんだろうな、という諦観も抱えているが、そんなことはおくびにも出さずにチャラく生きる。