個人情報記録

対象名

ハイム・ルーデル

記録日

[データ破損]

いつからだっけ、ちゃんと笑えなくなったの。
何故か笑っているはずなのに、感情だけが笑ってなくて。
虚しいのに、体は笑うから怖くなって。また何も教えてもらえなかったんだって私は思ったから。
あの子はまだ生きてるのかな。あの子はまだ私の隣にいるのかな。
もう、今となっては見えないや。

それは夢でしかないし。
消えもしない苦しみだったし、私はただ何か知らないふりをしただけだった。
あの日の「失敗」は誰にも責任はない、科学者が行った愚者の行進だ。
彼らにとっての「愛」は化学反応でしかなくて、ロストテクノロジーだから。
だから私はきっと、こんなことに巻き込まれてしまったんだろうって思う。

「またね、ハイン。」

記録日:▮▮▮▮/▮▮/24

<recording start>
あー、あー。（咳払い）...音声確認は良好。
実験に関してのボイスメモをしばらく取ろうと思う。自分自身に対する戒めとして。
まず初めに、現在進行中の[ノイズ]計画における進行度は良好だ。二人とも求めていた結果以上の成績を残してくれている。
そろそろ実験の次段階も実行可能だと考察できる。とても楽しみだ。
この計画が成功すればきっと軍事産業にもまた新しい星が出来ることだろう...
...少しばかり彼女たちに期待を寄せすぎている気もするが、それは見なかったことにしよう。
(数秒の沈黙）
あの子たちが成功させてくれれば....あとは私の仕事だ。どうかそれまで...耐えてくれ
<recording ended>

|記録日|▮▮▮▮/▮▮/30|

<recording start>
今日は彼女について。彼女は他に比べていつも明るい、笑っていることが多いような子だ。
うちの研究員も何人かあの子の陽気に当てられて微笑ましそうにしていた。
ときに心苦しそうに、悲しそうに見ることもあるが、それもまた陽気に当てられたせいといえるだろう。
彼女を憐れむのは良いが、それで実験を停止させようとしてくるのは少しばかりいけ好かない。
科学者である以上、犠牲が伴うことはわかっているはずだ。違うか？
...まぁどうでもいい、彼女については私も同じように思っているのは本心だ。
なぜこんなことに巻き込まなければならないのか、ずっと悩み続けている。この研究が成功すれば...彼女たちを解放できるはずなんだ....
<recording ended>