“天泣かせ”轡水 耀
プレイヤー:バジリスク
「お前今《サイレンの魔女》って言ったか?
泣き喚くぞ?いい大人が恥も外聞もなく」
- 年齢
- 22歳
- 性別
- 男
- 星座
- 獅子座
- 身長
- 173cm
- 体重
- 64kg
- 血液型
- B型
- ワークス
- UGNエージェントA
- カヴァー
- 大学生
- ブリード
- クロスブリード
- シンドローム
- ノイマン
- オルクス
- HP最大値
- +5=31
- 常備化ポイント
- +23=31
- 財産ポイント
- 1
- 行動値
- +5=11
- 戦闘移動
- 16
- 全力移動
- 32
経験点
- 消費
- +4
- 未使用
- 0
ライフパス
| 出自 | 「俺が3歳の頃だったかな。母ちゃんは別の男引っ掛けて出てったよ。男手1つで育ててくれた親父にゃ感謝してる。」 | |
|---|---|---|
| 母親不在 | ||
| 経験 | 「サイレン!クソッタレのサイレン!!!アイツのせいで俺の栄光の道は台無しだ!!!」 | |
| 大敗北 | ||
| 邂逅 | とある任務で鷺乃宮キョウと出会い、彼のグループ資本で造られているという最高級レモン牛乳を試飲する。──刹那、彼の脳内で何かが爆ぜた。 | |
| 安定供給と覚醒 | ||
| 覚醒 | 侵蝕値 | 「あん時ゃまだ高2だったかな。帰り道にバケモンに襲われて…そんで、俺は晴れて稀代の雨男ってワケだ。」 |
| 感染 | 14 | |
| 衝動 | 侵蝕値 | ふと、理解する。「サイレンでよくね?」の声に、自分は回答を持たない。──自分には、奴らが持ち得る何もかもが足りない。 |
| 飢餓 | 14 | |
| その他の修正 | 6 | ブラックマーケット+2、悪徳の栄え+4 |
| 侵蝕率基本値 | 34 | |
能力値
| 肉体 | 1 | 感覚 | 1 | 精神 | 4 | 社会 | 3 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| シンドローム | 0+0 | シンドローム | 0+1 | シンドローム | 3+1 | シンドローム | 1+2 |
| ワークス | 1 | ワークス | ワークス | ワークス | |||
| 成長 | 成長 | 成長 | 成長 | ||||
| その他修正 | その他修正 | その他修正 | その他修正 | ||||
| 白兵 | 1 | 射撃 | RC | 2 | 交渉 | ||
| 回避 | 1 | 知覚 | 意志 | 調達 | 1 | ||
| 情報:UGN | 1 |
ロイス
| 関係 | 名前 | 感情(Posi/Nega) | 属性 | 状態 | |||
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| Dロイス | 財閥援助 | ― | REC:鷺乃宮キョウ 通常効果:マイナーで使用。ユニークアイテムひとつを選択し、シーン中、そのアイテムを取得する。自身のシンドロームに属するユニークアイテムも選択可能。即座に装備・搭乗可。使用したマイナー終了時、侵蝕+7。1シナリオに1回まで使用可能。 強化効果:侵蝕率上昇を+3に変更。 | ||||
| ゴッデス | 鷺乃宮キョウ | 誠意 | / | 隔意 | 「うおおお神様仏様キョウ様!!!最高級品レモン牛乳マジ最高ッス!!!ザッス!!!!!」 | ||
| 仇敵 | 天舟巴 | 懐旧 | / | 厭気 | 「あー…アレか。俺が入った支部での初仕事で散々追い掛け回したクソ女。最終的に手柄の大半サイレン野郎に持ってかれたし…ロクな初仕事じゃなかったな…。」 | ||
| ― | |||||||
| ― | |||||||
| ― | |||||||
| ― | |||||||
エフェクト
| 種別 | 名称 | LV | タイミング | 技能 | 難易度 | 対象 | 射程 | 侵蝕値 | 制限 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| リザレクト | 1 | オートアクション | ― | 自動成功 | 自身 | 至近 | 効果参照 | ― | |
| (LV)D点HP回復、侵蝕値上昇 | |||||||||
| ワーディング | 1 | オートアクション | ― | 自動成功 | シーン | 視界 | 0 | ― | |
| 非オーヴァードをエキストラ化 | |||||||||
| 雨粒の矢 | 1 | メジャーアクション | 〈RC〉 | 対決 | シーン(選択) | 視界 | 3 | ― | |
| 攻撃力:[LV×2]の射撃攻撃。《コンセントレイト》を組み合わせ不可。 | |||||||||
| ダンシングシミター | 4 | メジャーアクション | 〈RC〉 | 対決 | ― | 視界 | 3+1 | ― | |
| 所持している白兵武器をLV個選び、攻撃力:[選択した武器の数×3]の射撃攻撃。選択した武器は攻撃に使用したものとして扱う。 | |||||||||
| 神速舞踏 | 10 | オートアクション | ― | 自動成功 | 自身 | 至近 | 2 | ― | |
| 攻撃の判定を行った直後に使用。その判定の達成値に+[LV×2]。両手持ちの武器を使用した判定には適用できず、1回の判定に[攻撃に使用した武器の数]回まで重複して適用できる。[経験点修正:-25点] | |||||||||
| ブラックマーケット | 2 | 常時 | ― | 自動成功 | 自身 | 至近 | ― | ― | |
| 常備化ポイントを+[LV×10]。侵蝕率でレベルアップしない。侵蝕率基本値+2。 | |||||||||
| 地獄耳 | 1 | メジャーアクション | ― | 自動成功 | 自身 | 至近 | ― | ― | |
| 領域を広範囲に拡大し、その中で起きているすべての出来事を見聞きする。 GMは必要と感じたなら〈RC〉による判定を行わせてもよい。 | |||||||||
| テレキネシス | 1 | メジャーアクション | ― | 自動成功 | 効果参照 | 視界 | ― | ― | |
| シーンに登場している物品ひとつを選択し、選択した物品をシーン内の任意の場所に移動させる。誰かが装備・所持しているアイテムは選択不可。GMは必要と感じたなら〈RC〉による判定を行なわせてもよい。 | |||||||||
コンボ
紅雨の魔女
- 組み合わせ
- 《雨粒の矢》+《ダンシングシミター》+《神速舞踏》×4
- タイミング
- メジャーアクション
- 技能
- RC
- 難易度
- 対決
- 対象
- シーン(選択)
- 射程
- 視界
- 侵蝕値
- 15
- 条件
- ダイス
- C値
- 達成値修正
- 攻撃力
- ダイス
- 〜100%
- 4
- 10
- 2+80
- 14
- 4
ダメージダイスを4つまで振り直せる。
領域内の「水分」…即ち、敵対者の血液を操り、身体を貫いて噴出させる。体内からの避けようのない一撃は、静かかつ無慈悲に敵対者を死に至らしめる。
紅雨の残響
- 組み合わせ
- 《雨粒の矢》+《ダンシングシミター》+《神速舞踏》×5
- タイミング
- メジャーアクション
- 技能
- RC
- 難易度
- 対決
- 対象
- シーン(選択)
- 射程
- 視界
- 侵蝕値
- 17
- 条件
- ダイス
- C値
- 達成値修正
- 攻撃力
- ダイス
- 100%〜
- 4
- 10
- 2+110
- 19
- 4
ダメージダイスを5つまで振り直せる。
侵蝕の高まりに伴って精密さと激しさを増した血液操作による、体内からの致命の連撃。刹那に齎される死は、それを悟る為の意識すら瞬時に狩り取る。
| 武器 | 常備化 | 経験点 | 種別 | 技能 | 命中 | 攻撃力 | ガード 値 | 射程 | 解説 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 「Kirvis」×5 | 30 | 白兵 | 〈白兵〉 | -3 | 4 | 1 | 至近 | 元データ:斧 この武器による攻撃でのダメージダイスを振った直後に使用。振ったダイスの中から好きなひとつを振り直してよい。振り直した結果が悪かった場合でもその目を適用する。 | |
| ┗ネームド・デコ | カスタマイズ | 領域内の物体や水分の詳細なマッピングを行うために開発された走査ドローン。「ドローン」と銘打ってはいるが、領域内の空間を直接操作することで浮遊・移動する為、厳密にはドローンとは別種だが、それらより静音かつ高速。《地獄耳》による大まかなマッピングに本機による精密スキャンを加えることで、より精密かつ的確な水分操作が可能となり、攻撃力を高水準で安定させる。 |
| 防具 | 常備化 | 経験点 | 種別 | 行動 | ドッジ | 装甲値 | 解説 | |
|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
| 「Griaustinis」 | 10 | 防具 | 0 | -2 | 4 | 元データ:RMAアーマー セットアップで使用。ラウンド中、行動値+4。1シーンに1回まで使用可能。 《地獄耳》や「Kirvis」によって得られた観測データを統合処理し、リアルタイムで反映・共有するデータリンク機能を備えたボディアーマー。衛星やエフェクトによる広域マッピングとKirvisによる精密スキャンを掛け合わせ、常に最適な行動を可能とする。 | ||
| ┗UGデザイン | カスタマイズ | イカしたパーカーだろ? |
| 一般アイテム | 常備化 | 経験点 | 種別 | 技能 | 解説 |
|---|---|---|---|---|---|
| 「Ožka」 | 5 | 一般 | ― | 元データ:ミーミルの覚書 情報収集の判定を行う直前に使用。「種別:コネ」からひとつを選択(取得・常備化に制限があるものは不可)。そのシーン中、このアイテムは選択したコネと同じ能力を持つ。1シーンに1回まで使用可能。 「Griaustinis」と接続し、AIによって必要な情報のみを効率的に取捨選択して表示する作戦行動用デバイス。状況に応じて提示する情報を絞ることもでき、柔軟な作戦行動を可能とする。 | |
| デモンズシード | 3 | 一般 | ― | 取得しているエフェクト1つの最大レベルと侵蝕値をそれぞれ+1。《ダンシングシミター》を選択。 UGNの売店で買った。 | |
| 悪徳の栄え | 10 | リレーション/一般 | ― | REC:天舟巴 通常効果:常備化ポイントを+3。 強化効果:HP最大値と行動値をそれぞれ+5。侵蝕率基本値+4。 “マスターマインド”との長きに渡る攻防で自ずと身についた、他者を食い物にする為のやり方、或いは強烈なハングリー精神。全ての《サイレンの魔女》使いの顔面に1発入れてやる為に、今日も彼は戦うのだ。 | |
| †ハイキャッスル | エンブレム/一般 | ― | 財閥援助で入手する。 メジャーアクションで使用することで、望むものひとつ(Eロイス以外)を取得出来る。1シナリオに1回まで使用可能。 原初の混沌を取得する。 「鷺の一声」ってか。 | ||
| ┣原初の混沌 | 一般 | ― | いつでも使用できる。任意のユニークアイテムを得る。自身の有していないシンドロームのユニークも選択・使用可能。ただし、このアイテムはシーン終了時/戦闘中はラウンド終了時に破壊される。レアアイテム。 ジェニュインアクシズを取得し、破壊されたらタイタス昇華で破壊を打ち消す。 最高級品のレモン牛乳。鷺乃宮財閥系の資本が組み込まれた会社で製造されている。すんごいキマる。 | ||
| ┗ジェニュインアクシズ | エンブレム/一般 | ― | 取得時に取得している「制限:-」のエフェクト1つのレベルに+5。上限を超えてもよいが、使用回数は増加しない。他のエンブレムを取得不可になる。《神速舞踏》を選択。 レモン牛乳でキマっちゃった状態。効果が切れたら、ノイマンの代謝制御能力とオルクスの事象操作を用いてキマってる感覚を全力で再現する事で、前線にしがみつく。 |
経験点計算
| 能力値 | 技能 | エフェクト | アイテム | メモリー | 使用総計 | 未使用| 0
| 2
| 104
| 28
| 0
| 134
| 0/134
| |
|---|
侵蝕率効果表
現在侵蝕率:
容姿・経歴・その他メモ
Personal Data
Name: 轡水 耀
Birthday: 8/15
Gender: 男性
Like: オルクスシンドロームを用いた手品や工作、雨、レモン牛乳
Dislike: 騒音、《サイレンの魔女》
Appearance
やや痩身の男性。常に紫のパーカーを着ており、素顔はフードの奥に隠れて見えない。
…なお実際のところこのパーカーはデータリンクアーマーとしての機能を備えた逸品であり、その素顔はフードの奥ではなくHMDの奥に隠れているのである。だから素顔が見えなくても文句を言ってはいけない、いいね?なおディスプレイに目や口といった表情を表示する機能が付いている為、非言語的コミュニケーションも問題なく行える。すごい!
Background
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某年8/15、地方のありふれた一般家庭に生まれる。3歳の頃、母が浮気の末に家を出ていく、という人格が歪みかねない程度の波乱を経験しているが、しかし男手1つで彼を育て上げた父の人の良さもあってか、幸いにもそれ以上の大きな出来事には遭遇することはなかった。母の不在は確かに心に影を落としていたが、それでも高校までは、誰にでもあるような退屈で穏やかな日々を送っていた。
運命の歯車が狂い始めたのは、高校2年の下校途中のこと。その日はたまたま体調が悪く、彼は早退することになったのだが…間がいいのか悪いのか、彼が下校した直後の高校で、FHの手によって生徒数名がジャームと化す事案が発生。即座にUGNが対処に向かうも、事後対応には限界があった。包囲網が完成する寸前、数匹のジャームが校外へと飛び出し──そして、彼を襲った。
彼は狼狽し、困惑し、そして死を覚悟した。理外の怪物に殺され、モブAの人生は幕を閉じる──そんな覚悟が一瞬で完了してしまったのは、自分で思っていた以上に人生に失望していたからかもしれない。──だが、世界は彼に退場を許さなかった。ジャームの爪が彼を貫こうとする寸前、彼の全身に「力」が迸った。身を守るように咄嗟に手を伸ばせば…降り注ぐ雨が、周囲の水溜まりが、空気中の水分が、矢の如くに加速して敵を穿いた。そして、加速した頭脳は、何が起きたかを理解していた…或いは、させられていた。この現象は、自分が意図して起こしたことだ、と──降り注ぐ雨は無数の矢となり、広範囲を殲滅する。静かなる蹂躙の末に敵の軍勢は粉砕され、彼は鮮血と雨滴の交錯する戦場に立っていた。──もはや「モブA」であることは許されないらしい。彼は、オーヴァードとしての新たな生を歩むこととなった。
その後、彼は駆けつけたUGNのメンバーに保護され、イリーガルとして訓練の日々に身を投じることとなった。基礎を磨き、能力の制御を学び、仲間と共に戦場を駆ける──過酷ではあったが、しかしそこには確かな手応えがあった。そして高校卒業と同時に、正式にエージェントとしてUGNへ加入。この先の未来には、きっと栄光が…モブAとしてではない人生が待っている。そう信じて疑わなかった。
だが現実は、彼をすぐに打ちのめす。
支部に配属されたその日、簡単な自己紹介と能力の試験が行われたが…何の因果か、同期の中に《サイレンの魔女》使いの女がいたのだ。その後行われた試験においては、その女は彼を遥かに上回る広域殲滅能力を発揮。しかも片手間にポテチを食いながら、である。彼の全力は、その女の片手間にも及ばなかったのだ。希望に満ちた門出は、早々に挫折と屈辱へと変わった。
しかしそれでも、彼の存在は決して不要という訳ではなかった。《地獄耳》をはじめとする探査系エフェクトは、戦場において欠かせぬ役割を果たしていた。「素人は戦略を語り、プロは兵站を語る」という言葉がある通り、彼の得意分野は地味ではあるが、しかし仲間の命を支える重要な任務である。だが、その事実が彼の心を慰めることはなかった。自分が地道な調査に明け暮れる間に、サイレン使いは次々と派手な戦果を挙げ、喝采を浴びていく。当初覚えた一抹の羨望をもやがて嫉妬へと変わり、胸の奥に黒い澱を生んでいった。
そして決定的な出来事は、所属していた支部総出で挑んだ総力戦で訪れる。敵はFHのマスターエージェント“マスターマインド”。策謀と謀略を操り、長きにわたりUGNを翻弄してきた強敵だ。支部を挙げての決戦に彼も参加したが、しかし回ってきた任務はやはり情報収集だけ。悔しさを噛み殺しながらも彼は黙々と職務を果たし…およそ1ヶ月にわたる情報戦の末、ついに“マスターマインド”本人の居所を突き止めることに成功したのだ。これこそ自分の働きが戦局を動かす瞬間──胸は高鳴り、希望が灯った。
だが、その栄誉はまたしても横取りされた。掴んだ情報をもとに突入したのは、例によってサイレン使い。激戦の末に“マスターマインド”に浅からぬ手傷を負わせ撤退させることに成功し、周囲は歓喜に包まれる。彼女の名はさらに高まり、彼の貢献は影に隠された。努力は顧みられず、成果は奪われる。腐敗と失望の果てに、彼の心には決定的な感情が根を下ろした──《サイレンの魔女》への憎悪。以来、彼は冷静を装いながらも、彼女と、そして自らの全てを奪い去って行った《サイレンの魔女》それ自体を決して許さぬアンチとして、心の奥底に誓いを抱くようになった。
だが運命は、意外な形で新たな光を投げかける。
対“マスターマインド”戦線から暫くした頃、とある任務において、彼は鷺乃宮キョウと共同戦線を張ることとなる。鷺乃宮といえば日本、いや世界有数の大財閥。その若君たるキョウとの共同戦線とは、果たしてどのようなものか…。まぁお察しの通り偵察ではあったのだが、今回のそれは少々毛色が異なる。「神」の遺産を宿したオーヴァード──神聖婚礼の残り火のような存在に対しての、所謂威力偵察であった。一応撃破もやむ無しとされ、万一の際は遺産を破壊する為にキョウが同伴していたが、しかし未知の遺産が相手ともなればいきなり最大戦力を投入するような下手は打てない。そのための威力偵察である。──無論、暗に捨て駒として扱われていることに気づかない彼ではなかった。それに加え、中々姿を表さない対象に対しての苛立ちもあり、ストレスは溜まる一方。キョウもそれに勘づいたようで、発散のため、いつしか何気ない雑談が始まった。
そして、そんな中。好物の話題となり、迷いなく「愛妻弁当」と言い放つキョウに些か辟易しつつも、自らはレモン牛乳を愛飲しているとこぼす。まぁ若君サマはそんなモン飲んだことないだろうが…などと考えていたが、しかし反応は予想と異なった。
「む、その名前は…どこかで聞いた覚えがあるな。少し待っておれ」
どうやら若君サマの舌は存外庶民的…という訳でもなかった。少し調べると、どうやらその製造元に鷺乃宮家の資本が入っていることが分かったのだ。奇妙な偶然に驚きつつも、しかし話はまだ終わらない。
「敵も中々出てこぬし、お主も暇であろう。良ければ飲んでみぬか?当然最高級品を用意させてもらうぞ!」
何たる僥倖。しかも最高級品といえば、風の噂にその名を聞いてはいたものの実在は不明とされていた幻の逸品だ。最早乗り掛かった大船、とあらばご相伴にあずかる他なかろう。ありがたく頂く、と答えると、キョウがパンパンと手を叩く。するとどこからともなく、その手にレモン牛乳を携えたメイドが現れた。どうなってんの鷺乃宮家。そんなこんなで、試飲フェイズ。普段より滑らかな気がする牛乳パックにストローを刺し込み、口を付け…
──そして、その一口で、彼の世界は激変する。
舌に触れた瞬間、チープなれどどこか高級感のある甘みが脳裏に閃光となって駆け抜ける。最早口の中に残すのが難しいほどのさらりとした喉越しで一気に胃袋まで到達する薄黄色の奔流は、その通り道にレモンの爽やかな香りと確かな幸福感を残していく。体感したことのない幸福に溺れる脳の中で、何かが──シナプスが弾ける。世界が、広がる。今なら──きっと、世界の全てすら、理解できる。
つまるところ何が起こったのかと言えば、彼はレモン牛乳によってある種のゾーン状態に入った訳である。それにより彼の領域は一時的に数倍の大きさまで膨れ上がり、そして──その中のとある廃ビルに潜んでいたターゲットを捕捉する。そこからは早かった。キョウは血が苦手である、と聞いている。ならば…流血沙汰にならぬよう倒せば良い。空気中の水分を即座に凝集させると、ターゲットの鼻と口を抑えるように移動させ、固定。突然のことに慌てふためき暴れ回る対象の動きにもしっかり追従させ、待つこと数分。ついに対象を窒息で気絶させることに成功する。通常では有り得ない程の広域認識と超精密操作──レモン牛乳ひとつでここまでの戦果を発揮した彼にキョウも若干引きつつも、恙無く「神」の遺産の破壊に成功。かくて任務はあっさり完了、彼は初めて大きな戦果を上げたのだった。
──脳裏に浮かぶのは、あの顔。死んだ魚かってぐらい表情の欠落した、小生意気そうなガキみたいなツラ。どうだサイレン使い、これで俺もお前に追いついた…いや、或いは追い越したかもしれん。これでちょっとは俺のこと見返したかクソッタレサイレン!ざまぁ見晒せ!!!ガッハハハ!!!!!
そう高らかに笑ったのも束の間、あのサイレン使いはいつの間にか支部長へと出世していたらしい。
──許せねぇ。
心の奥底から湧き上がる怨念は、今も彼を駆り立てている。いつか必ず顔面を殴る、その誓いを胸に。彼は今日も、最高級品レモン牛乳を片手に歩き続けている。
About
普段はうだつの上がらない大学生、裏の姿はUGN所属の男性エージェント。エージェントとしての戦果はそこそこ止まりであるが、しかし優れた探査能力の使い手として、そしてそれ以上にUGN屈指の《サイレンの魔女》アンチとして、その内外で広く知られている。また、鷺乃宮財閥の若君である鷺乃宮キョウと個人的な繋がりがあるとされ、UGNの上層部からは専らそちらの方で有名である。若干聴覚過敏気味。
ノイマンとオルクスのクロスブリードであり、彼が開発に参画した各種の調査用装備と《地獄耳》の併用による広域把握能力と、ノイマンの超頭脳による情報処理に長ける。これだけ見れば調査専門のエージェントのようにも見え、実際彼に回ってくる仕事の多くは情報収集や整理といった裏方業務であるのだが、しかしそれだけでは終わらない。彼のもう一つの強み、それは領域内の物質、特に液体の精密操作である。彼の使用する走査機「Kirvis」はこれによって飛行・移動する他、領域内の水たまりや空気中の水分、時に敵の体内の血液を操作しての攻撃も可能であり、これによる静かな広域殲滅は彼の十八番である。その他重要な物品を悟らせずに移動させたり、敵の背後で物音を鳴らして注意を引くなど小技の多い応用にも優れた能力である。
彼の高度な探査・情報戦能力を支えるのが、「Kirvis」「Griaustinis」「Ožka」の3種の補助デバイスである。静音かつ高速な走査機「Kirvis」で周囲の地形や敵の配置、水分量や密度をマッピングし、「Griaustinis」でリアルタイムでの情報処理とデータリンクを行う。アーマーに搭載された補助機能によって常に最適な行動を行える他、得られた情報を「Ožka」で取捨選択し活用しやすくすることで、いついかなる状況であっても柔軟かつ快適な調査が可能となる。これらのデバイスは全て彼自身が開発に携わっており、現状はノイマンの情報処理能力とオルクスの操作能力を持ち合わせるオーヴァード専用であるが、将来的には全てのオーヴァードや、或いは非オーヴァードにも使用できるよう改良が進められる予定だという。
…が、しかし。ここまで様々書いてきたが、彼には天敵と呼べる存在がいる。悪名高き《サイレンの魔女》と、その使い手達だ。彼が3種のデバイスを用いてまで行う広域殲滅を、奴らはいとも簡単に、しかも自分より高い威力で、さらに装甲まで無視してぶっ放してくる。自分が地道に情報収集をしている間も、奴らは戦場で花形として華々しく戦果を上げる。何なら自分が集めた情報すら奴らのために使われる始末だ。…許せない。最初はせいぜい嫉妬する程度であったが、しかし彼がエージェントとなってから暫くして行われた対“マスターマインド”戦線が、彼の劣等感を憎悪に変えた。必死にあちこちを駆け回り、地を這い泥水を啜りながら、ようやく敵の首魁の居場所を突き止めたと思ったら、片手間でポテチ食ってるサイレン使いに現場に突入され、手柄を掻っ攫われたのだ。──この時、彼は誓ったのだ。サイレン死すべし、慈悲はない。この世全てのサイレン使いの顔面に、拳を叩き込む。それをモチベーションとして、今日も彼は戦っているのだ。
とはいえ、いくらサイレンに勝つと言っても、所詮は《雨粒の矢》、サイレンの下位互換。その差を埋めるのは困難だろう、と自他共に認めていたのだが…驚くべきことに、案外なんとかなりそうなのが現状だ。とある任務で鷺乃宮キョウと知り合い、その際自らの好物であるレモン牛乳の製造元に鷺乃宮の資本が入っていることが判明。「鷺の一声」で取り寄せられた最高級品のそれを一口飲むと…彼の力は覚醒した。「領域」はその直径を数倍にまで広げ、その中で発生するあらゆる事象が手の内に入ってくる。領域内の全てを手足の如くに操り、逃れること適わぬ見えざる死神の鎌を以て、敵対者に確実な死を与える──。一般エージェント相当の戦力しか持たなかった彼が、瞬時に本部エージェントの上澄み、或いはセントラルセキュリティに匹敵するほどの戦力にまで大化けしたのである。このインシデント以来、彼は個人的にキョウと関わりを持ち、定期的に最高級レモン牛乳をタカって融通して貰っている。UGNの上層部としては、万が一にも世界的財閥である鷺乃宮の機嫌を損ねる訳にもいかないためになんとか手を打ちたいが、しかし山積みの戦果をお出しされ何も言えなくなっているのが現状である。
なお、そんな彼の人格面について、鷺乃宮の若君にタカれるのだからさぞや豪気なのであろう…と思いきや、実のところ特筆すべきことは少ない。サイレンへの敗北によって少し捻くれてしまっていることと、《サイレンの魔女》に対して強烈な敵愾心を燃やしていること以外は、実に「普通」の人格である。夕食が唐揚げなら喜び、友人が財布を落としたなら共に悲しみ、自分や仲間を愚弄されたなら怒りに奮い立つ。ある意味ではオーヴァードらしからぬこの人格は、しかし裏を返せば周りに流されやすく、「自分」が薄いことと同義である。平時はサイレン憎しで自己を認識できているが、しかし飢餓衝動の暴走などによって強烈な虚無感を喚起されたならば?…そのやり場のない激情の矛先は、誰にも予測できないのだ。
お前今サイレンで良くねって言ったか?
セッション履歴
| No. | 日付 | タイトル | 経験点 | GM | 参加者 |
|---|---|---|---|---|---|
| フルスクラッチ作成 | 4 |