大切な人：雨宮 二葉(あめみや ふたば)
　　　　　年齢：26歳（死亡時）

オーヴァードとして覚醒し、家族のもとにいられなくなってしまったPCを拾ってくれた女性。
彼女もまたオーヴァードであり、己の持つ能力によって孤独になってしまった過去を持つ。

優しくも芯のある人物で、時には母のように、時には姉のように、またある時には恋人のように、PCを支え、寂しさを癒し合った。
彼女の人生にPCは必要なかったが、PCの人生には彼女が必要だった。
どこか陰のある柔らかい笑みは、今では鏡に映したようにPCのものになっている。

「いってらっしゃい。今日も無事に帰ってきてね、美味しいごはん作って待ってるから」
「ゆっくりでいいんだよ。今は上手く扱えなくても、いつかその力は自分のものにできる」
「おいで。……ほら、毛布被って。そんな薄着でベランダに出たら体冷えちゃうよ」
「あなたの幸せを一番に願ってる。私と一緒で幸せなら、ずっと傍にいてあげる。だからね、」
「この世界のこと、まだ諦めないでね」

一人称：私
二人称：あなた（PCのことは○○くん呼びもしてた）

https://yutorize.2-d.jp/ytsheet/dx3rd/?id=GeujNE

幼少期～覚醒
生まれつき、同年代の子供たちと比べると目を見張るほどの知能の発達をしていた。いわゆるギフテッドと呼ばれる特性を持った子供。
それ故かPCの両親は彼を上手く愛することができず、小学生の頃、紆余曲折あり遠縁の親戚のもとへ預けられることになる。
その親戚家族は長年子供に恵まれなかったため、周囲と馴染めずにいたPCに対しても深い愛情をもって接した。
しばらくは穏やかで幸せな暮らしが続いていたが、数年後、転機が訪れる。

親戚夫婦に、子供が生まれたのだ。

可愛い女の子だった。小さな体で大きな泣き声を上げ、ひたすらに人の助けを必要とするその存在に、夫婦は惜しみなく愛情を注いだ。当たり前だ、ずっと待ち望んでいた、血の繋がりのある実の子供なのだから。
身の回りのことも、勉強も、おおよそひとりでこなせるPCのことは、次第になおざりになっていった。

……自分を優先しろだなんて言わないから、ただ、この寂しさに気付いてほしかった。

叫び出しそうになるほどの孤独感と呼応するように、18歳の誕生日、彼はオーヴァードとして覚醒した。

触れたものがみな砂となり崩れていく様を見て恐ろしくなり、逃げるように家を飛び出した。
あてどなく彷徨い、頼むから誰も自分を見つけてくれるな、と、辿り着いた砂浜で立ち尽くしていたところを、当時UGNエージェントだった雨宮二葉に拾われる。

空白期間
一度UGNに保護されたあと、雨宮による「監視」という名目で彼女と同居することになる。
雨宮はUGNエージェントであると同時に画家としても活動しており、郊外の古いアパートを中身だけリノベーションし、作業場兼アトリエ兼自宅として使っていた。
そこで始まった生活は、平穏そのものだった。
好きな時間に起き、腹が減れば彼女の手料理を食べて、彼女の作業風景を見ながら眠りにつく。
大きく心が動くこともなかったが、その停滞がいっそ心地よかった。
雨宮はいつしかエージェントの一線から退き、PCのためにアパートに居続けるようになった。
一室しかない生活スペース、そこにたった一枚敷かれた布団に二人で潜り込み、静かに笑い合ったりした。

そんな生活が数年続き、PCが20歳になった頃。
すっかり心の健康を取り戻したPCは、雨宮と同じUGNエージェントの道を志した。
ギフテッドであった彼とノイマンのシンドロームは相性が良く、他のシンドロームの力を扱うことにも苦労はしなかった。
今まで恐ろしく思っていた力を人を守るために行使できることは、生まれて初めて己に存在意義を与えられたようで悪いものではなかった。
何より、自分を救ってくれた雨宮の嬉しそうな顔が見られた。戦う理由はそれだけで十分だった。

インディゴとの邂逅から
雨宮を失ってからの戦う理由は「敵対するオーヴァードおよびレネゲイドビーイングを殲滅する」。
これは復讐であり、彼女へ対する悔悟の念が膨らみすぎたものでもある。
集団行動を嫌うのも、友人と呼べる存在を作りたがらないのも、「自分のせいで守れなかった」過去のトラウマに起因する。

雨宮と暮らしていたアパートに今も住んでおり、ずっと使っていた家具、アトリエに置かれたままの描きかけの絵、画材、それら全てに"因子"を忍び込ませて保護している。
彼の住む部屋が雨宮によってアトリエとして使われていたことは薄らと知られているため、彼も彼女と同じく画家だと思われている……が、近隣住民に一切姿を見せようとしないため不審がられている。
実際のところ気まぐれに筆をとったりはするが、趣味の範囲を出ない。