元は資産家のご令嬢。弟が一人いた。

家族仲の良い円満な家庭だったが、18歳の時に弟と外出している際に事故に遭う。
弟は死亡し、双葉もまた死に肉薄したものの、双葉のみオーヴァードとして覚醒し蘇生した。
両親は弟が死んだことに精神的ショックを受け、オーヴァードに理解の無い家庭だったということも災いして双葉を化物扱いして疎むようになる。

最終的に双葉は事故で長期入院の末に死んだことにされ手切れ金と共に家を追い出された。
寂しい思いはあったが両親も心を病んでしまった結果なのだと恨んではいない。ただ、あの時普通に死ねていたらと考えることはある。

それから2年。元々家事に由縁が無い中UGNの支援を受けながらなんとか生活の基盤を整え一人暮らしにも慣れてきた頃。
静かな砂浜で、寂しそうな目をした少年と出会った。

古代種と呼ばれる特殊なレネゲイドに感染している。俗に言う不老である。
感染したのは18歳のオーヴァード覚醒当時だが、もとより大人びた顔立ちをしていたためあまり不老が露見することはなかった。
UGNでの診断結果から本人に自覚はあり、30代とかになったら流石に説明しないとかなあと考えていた。
覚醒当時の経緯から『人と違う』ことを告白することに忌避感があり、また双葉自身も【古代種】のことを快く思っていなかったためできれば伝えることなく生活をしていたかった。
古代種らしい驚異的な回復能力を持つが、彼女が死ぬ必要のあったコバルト・プランにおいては使用されない。

いつかあなたと同じ時間を歩めなくなる日が来る。それを恐れていた彼女にとって彼女の時間が止まったことはある意味では幸せだったのかもしれない。
自らも恐れていた孤独を背負わせてしまったことだけが唯一の心残り。