設定・その他メモ

Louve…メスの狼

私の大切なあの子が攫われた。
自分が弱いから。無力だったから。
憎い、憎い。業血鬼なんて居なくなればいい。
奪われるくらいなら奪えばいい。だから私は強く在れる讐者になって、技術を磨いた。
慣れない銃剣を握って、震える手を押さえ込んで。

怒れ、怒れ。怒りが私を強くする。
もうあんな絶望はごめんだ。

本格的にその手の道に配属された時は、素直に嬉しかった。

……吸血鬼の手なんか借りたくなかった。でも、強くなる為には。

そうして残ったのは空っぽになった器だけだった。
まるで虚じゃないか。

それでも身体が覚えている。
相手の何処を切り裂けば…何処を撃ち抜けば、生命を奪えるのか。私は、壊し方を知っている。それに目的も覚えている。あの子を忘れない限り、まだ動ける。まだ、まだ。


過去も奪われ、感情も奪われ、
……此処にいる私は、一体何なんだ？


歯を剥き出しにして怒るその顔を見る。どこか見覚えのある表情。
──これは、かつての私？