設定・その他メモ

　SID所属の監督官。少し前まではどこにでもいる普通のバーテンダーだった。

　性格は明るい２枚目半。社交的な性格で友人知人も多い。血契の結果「怒り」の感情を失っているが、本人は「元々怒るのは下手だったからなあ」とあまり気にしておらず、私生活にも大きな問題は出ていない。戦闘経験の浅さと多少の優柔不断さはあるが、パートナーが戦闘に優れていること、更には本人の人当たりの良さと前職で培った人脈でその欠点を補っている。どちらかというと彼への執着を隠すこともないパートナーの方が有名だが、必要なら叱り周囲へのフォローを怠らない水上の性格も相まって現状問題にはなっていないそう。

　中流家庭に生まれ、十人中八人が選ぶ進路を進み、変わったことと言えば「やりたいこと」を探して大学卒業後フリーターになったことくらい。それだって最終的には単なる偶然でバーテンダーという職に落ち着いた程度に、彼の人生は平凡だった。
　それが変わったのは１年前。開店準備中に見つけた怪我人を、見かねて店で治療してやったことだった。とはいえそれだって、夜の街ではそう珍しくもないことで、声をかけたり救急車を呼んでやったりすることは初めてではなかったのだが。
　だから彼は疑わなかった、自分の人生は平凡で、ありふれた日常が明日も続くと。これが怪我が治り、すっかり常連になった男からこの世界の裏側の話を聞かされるまでの話だ。
　彼は選択した。日常を捨て、目の前の男の手を取ることを。それは男の境遇への同情だったのかもしれないし、放っておけないという親切心だったのかもしれない。あるいは男の一途な愛情が実を結んだと考えることもできるだろう。いずれにせよ、水上県がある吸血鬼と血契を結び、監督官になったという結果は変わらない。この世界で重要なのはその事実だけだ。


以下備忘録。

　痕印の形状が羽（＝不安）なのは、自分がパートナーの思うような良い人間ではない自覚があるため。正直、彼に手を差し伸べたのも偶然で、確固たる意思があったわけではない。特別だと言ってくれるのは嬉しいが、身に余るほどの愛情をそのまま受け取っても良いものか決めかねている。
　「死ぬときは一緒に」という水落の願いについて、直接否定はしないものの肯定もしない。自分と過ごす中で少しでも世界を良く思い、その願いが変わる日が来れば良いと思っているからだ。そうであっても自分のことを一番に覚えていてほしいという我儘もあるにはあるが、口に出すつもりはない。

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