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◆簡易説明
　長寿の夜者。夜者特有の吸血衝動の強さはあるが、生まれ持った慎重な性格が死後も残ったため、討伐対象に含まれるような「粗相」はせずに今に至る。
　自分が夜者になった原因の吸血鬼、生前も死後も自分を疎む者が多かった人間。そのどちらにも興味が持てず、千年の間、人と吸血鬼の抗争にも関わらず気ままに暮らしていた。無論、両族共からむごい仕打ちをうけることも多々あり、それは彼をますます世間から遠ざけた。

　現在は警察組織SIDに「特別協力者」として所属。ちなみに全生物中で唯一、血盟である水上にだけは陶酔し、なおかつ従順。要はメロメロゾッコンLOVE。大概の場で水上以外は目に入っていない。一人でいた頃の水落を知っている者からすれば「あいつあんな奴だった……？」感が満載である。
　水上と共に末永く生き、
　水上と共に最期を迎える。
　それが乾ききった彼の生涯で、唯一芽生えた欲望らしい。



◆経緯のようなもの

　水落ハゼはとても長寿の夜者だ。
　夜者としての体質も含め生き延びることに長けており、人間と吸血鬼の抗争にも基本関わらないスタンスを保っていた。しかし本人の意思とは無関係に、何故か他の存在から疎まれやすいある種「不運な男」。それと同時に「強運の持ち主」なのかもしれない。

　そもそも夜者になったのも、自分の仕えていた豪族の屋敷が襲われた末「何故か自分だけが生き返ってしまった」からだ。慎重な性格が幸いし、彼は日に焼けることなく自分を生かす術に気づいた。人々の奇異の目を避け、同族らの抗争に巻き込まれたり生き死にを繰り返しながら──こうして千年近く生き延びて今に至る。

　昨日、一昨日、いや五年前？　新たな脅威が出たらしい。自分には無縁の存在だと高を括っていたが、運悪く遭遇し襲われてしまう。そうして普段より治りの遅い傷に苦しんでいると、一人の人間に出くわした。彼はあたりさわりのない労りの言葉をかけ、あろうことか傷の手当までしてくれた。
　まるで自分が、ただ一人の人間であるかのように。
　忘れていた何かを思い出したような、そんな感情に浸って呆けていたところ──これまた運悪く、SIDという組織に捕まってしまう。自由を得るか、閉じ込められるか、その二択を迫られた時、脳裏に浮かんだのは自分を手当てしてくれた人間のことだった。

　あの男に、もう一度会いたい。

　ただそれだけの理由で、彼は千年避け続けていた抗争の世界に足を踏み入れることを選んだのだ。

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