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かつて吸血鬼同士の争いで滅んだ貴種の一族があった。
そうして彼女は一族の全てを失った。彼女は思った。自分にもっと力があれば。
そうして1人の人間と出会い、血盟を結び――人を守るために戦う日々の中――彼女はやはりその人間を戦いの中で失った。
死にゆく彼は彼女の腕の中で約束を求めた。「希望を棄てるな」と。人類を見損なってくれるな、と。
業血鬼のことがなくても人類は愚かで自滅するのが運命なのだとしても。
愚かで不完全のまま、人類はもがいて苦しんだ末に不可能を可能にするのだから……。
だから、自分が死んでしまうその瞬間まで、人類の守護者であれと。
その思いを受け容れた彼女は、自身の新たな血盟相手が出現するまでの封印を受け容れ、【氷室】という吸血鬼封印装置に入った。
……そして、長い月日が流れ――新たな血盟が結ばれた。
明日の為に戦うのなら、今がその時だ。

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