父親に啖呵を切った七海だが、天才といえど不登校生。当然オーカーでの暮らしになれるはずもなく...
「ねぇ、あの子、なんかいつも寝てない？」
「あぁあいつ...橘七海ね。話しかけてくるなってオーラヤバいよね。近寄らんとこ。」
七海は異世界の学校生活に夢を見ていたが、その実あまりにも退屈だった。
最初こそこの世界の「魔術」に興味を示し、精力的に学んでこそいたが...
「はぁ...堀越教授が言うとおり、やっぱりこの世界の魔術ってプログラム制御できるものでしかないのかな...
いや、それでも便利だし...むしろ扱いやすいんだけど...
浪漫がないなぁ～。」
惰性で授業を終え、寮に帰ろうと桜並木を歩いているとき、七海の前に子供たちがが通る。
（あれは...オーカー所属の初等部の子？）
「おれ、将来は格好いい魔法使いになる！召喚魔術とか！びゅびゅ～んってヒーローみたいにさ！」
「え～、じゃああたしはシーフかな！格好良く攻撃を避けて、素敵な冒険をしてみたい！」
（...子供達には、この世界はどんな風に見えているんだろうか。）
七海は、少年少女を見てそんな事を思う。
（エリンディルに来て疲弊しているような大人たちばかりを見てきたけど、この子らはきっとこの世界を楽しんでいる。）
そして呟く。
「...そっか...夢を語るのに、世界だとか、理論だとかは関係ないんだ。」
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「うーん。七海君。もっと真面目にやってくれない？君ならもっと最適化できるでしょ。」
「私はリセーヌです教授。私の成果物のなにが不満なんですか？」
「んー、君のお父さんからは魔法学を大きく変えうる原石だと聞いていたんだけど。実際才能はあるけれど...
なんでよりによって"衣装を魔法少女コスチュームにして"精霊力を増幅させる方式を取ったの？完全に必要ないと思うけど...」
「...はぁ～。浪漫がないですね、教授。父から私のことを聞いたのなら、一つ抜けています。
あの人が私を原石だというのなら、あの人は私を磨かなかった。」
「それは...しょうがないでしょ。どんな天才でも央海大学の転移なんて予想できないよ。」
「何度も言いますけど、私は七海じゃなくリセーヌで、理系じゃなく文系です。
理論に沿った魔術開発をお望みなら、他を当たってください。」
「ふーむ...よしわかった。ななｍ...リセーヌ君。君、冒険に出てみてよ。」
「は...？嫌ですけど。」
「そっか...それで魔術基礎の授業をマトモに聞く気はないと。...温情で単位をあげようと思ったけど、いらないみたいだね？」
「くっ...そういうことですか...」
「君は考えが非常に悪く凝り固まっているようだから、外の世界を見て回った方がいい。
大丈夫...僕の予測だけど、君は冒険で死んだりするようなヘマはしないよ。たぶん。」
「勝手なことを...」
こうして、頑固な魔法少女は冒険に（無理矢理）出ることになる。