生まれてから暫くは、ひまわり畑を拠点として生活していた。
なんだかんだ、平和で楽しい生活を送っていたある日、何気なく好奇心の赴くままに、ひまわり畑を離れ付近の山へと訪れてみる。
…するとそこには、死に体の古龍が存在していた。
大慌てで手当なりしようとするが、既に手遅れ。致命傷を受け、どうしようもない状態であった。
そんな古龍は最後に、自分に仔竜を託し、息絶えた。

仔竜を託された後の生活は、あまり変化がある訳ではなかった。
先の古龍の負傷に何もすることが出来なかった件も、自身の力量不足を感じこそしたが、そもそもそういった治療の技術などが必要になる日が来ることは、そうないと楽観的に捉え、修行などの行動に移ることもなかった。
そういう訳で、何だかんだ自身の体格と同等の仔竜と毎日、遊んだり昼寝に勤しんだりと、平和な日々を過ごしていた。

そんな日常のなか、今後の生き方を変える切っ掛けとなる人物と出会う。
その人物は、女性のヒューリン。
年老いたその人は自身の過去を多くを語らないが、名だたる英雄であり、今は訳あって旅をしている最中であるという。
そしてその女性は、私が仔竜を連れているのを知るや、私に戦いの術を教えてくれた。

戦いの術や、傷を癒やす術を教わった後、私はその人と相談の結果、旅をすることになった。
旅先は決まっていない。
ただ、仔竜に色んな景色を観させて、感性を養ってもらうこと。
旅を通じて、世界を知ること。
何より、自身の成長が目的だ。
…私の旅はまだ、始まったばかりだ。