朧神<野萩>
プレイヤー:冬月加奈
「助けるよ。私が消えたとしても」
- 分類名
- マモノ
- 出身地
- 日本
- 根源
- 守護
- 経緯
- 守るもの
- クランへの感情
- 警戒心
- 住所
- 強度
- 0
- 耐久値
- 20
- 能力値
-
- 身体
- 2
- 異質
- 6
- 社会
- 4
- 特性
-
- 《冷たい肌》
- 《雷雨の主》
- 《土地の加護》
- 《ボランティア》
マギ
| 名称 | タイミング | 対象 | 条件 |
|---|---|---|---|
| 《結界》 | ダメージ減少 | 単体 | 1~6 |
| 対象に与えられるダメージを[お前の【異質】]点減らす。効果の適用後、[マリョク]を1下げる。ラウンドに1回使える。 | |||
創作特性
土地の加護
そのマモノは特定の土地と強く結びつき、その地の自然の力を操る。
植物を急成長させたり、地形をわずかに変える力を持つ。
この特性は土地を守るためや、農作業を助けるために使われる。
ボランティア
困っている人々やマモノを無償で助ける活動を積極的に行う特性。
清掃や看病、食糧配布など幅広い支援に携わる。
感謝されることで心の充足を得ており、交流の場で周囲を和ませる存在。
基本設定
年齢: 400年以上(外見年齢20代前半)
分類: 土地神
種族: 神霊
性別: 無性(見た目は女性的)
職業: 土地を守護する神(現在は衰退状態)
身長: 165cm
体重: ほぼ無し(霊体に近い存在)
外観特徴:
髪は土や草花の色味をした長い髪が風に揺れ、小さな葉や砂が舞い散る。
瞳は琥珀色で、人々を慈しむ暖かさと消えゆく運命への哀愁が宿る。
かつては神社の装束を纏っていたが、今はその痕跡が薄れ、草や苔が織り交ざった自然の衣のような姿になっている。
性格
長所: 優しく思いやりがあり、人間を何よりも大切にする。
短所: 過去の自分の失敗や、土地を守れなかったことを深く悔い、自己犠牲的になりやすい。
価値観や信念
価値観: 「土地神は、そこに住む者たちのためにあるべき」という信念を持ち、常に人間の幸せを優先してきた。
信念: 自分の力が弱まっても、人々に小さな救いを届けることを諦めない。
好きなこと/嫌いなこと
好きなこと:
人々が笑顔で助け合う光景を眺めること。
子供が土地で遊ぶ様子や、人が自然と共に暮らす調和の中に安心感を覚える。
嫌いなこと:
人間同士が争い、土地を奪い合うこと。
信仰や記憶が失われ、自分が無力であると実感させられること。
特技や技能
特技:
自然の再生: わずかな力で植物を育て、穏やかな気候をもたらすことができる。
恩恵の気配: かつて神として愛された名残りで、人々の災厄をほんの少し遠ざける力を持つ。
技能:
人間の心に寄り添い、癒しと安心感を与える。
口癖・話し方の特徴
穏やかで静か。感情を表に出さず、話す内容には少し後悔と諦観が滲む。
「私は、ただ……幸せであってほしかったのです」「この土地で、もっと多くの笑顔が見られたなら」
物語
過去の罪
かつて、多摩川沿いに位置する小河内村は、豊かな自然と伝統文化が息づく美しい集落でした。村人たちは四季折々の祭りを催し、神楽や鹿島踊り、獅子舞などの伝統芸能を通じて、土地神である朧神<野萩>への感謝と敬意を表していました。朧神<野萩>もまた、村人たちの幸福を何よりも願い、日々見守っていました。
しかし、ある年、未曾有の飢饉が村を襲いました。雨が降らず、田畑は干上がり、作物は枯れ果て、村人たちは飢えと絶望に苛まれました。彼らは朧神<野萩>に救いを求め、神社に集まり祈りを捧げました。朧神<野萩>は村人たちの苦しみに心を痛め、何とかして雨を降らせようと試みましたが、彼女の力だけでは天候を変えることはできませんでした。
焦燥感に駆られた朧神<野萩>は、禁忌とされる術に手を染め、自らの神格を削ってまで大雨を呼び寄せることを決意しました。その結果、長らく降らなかった雨が降り始め、村の井戸は水で満たされ、田畑も潤いを取り戻しました。村人たちは歓喜し、朧神<野萩>に感謝の祈りを捧げました。
しかし、喜びも束の間、雨は止むことを知らず、次第に勢いを増し、やがて洪水となって村を襲いました。家屋は流され、田畑は泥に埋もれ、多くの命が失われました。朧神<野萩>の善意からの行動が、結果として村に大きな災厄をもたらしてしまったのです。村人たちは失意と怒りから朧神<野萩>を責め、信仰は途絶え、神社も荒廃していきました。朧神<野萩>は深い後悔と自責の念に苛まれ、「人を守りたい」という想いが裏目に出る恐怖を抱えるようになりました。
都市開発の喪失感
時は流れ、昭和初期、東京市(現・東京都)は人口増加による水不足を解消するため、小河内村にダムを建設し、貯水池を造る計画を立てました。この計画により、小河内村の大部分が湖底に沈むことが決まり、945世帯が先祖伝来の土地から移転を余儀なくされました。村長の小澤市平氏は、「千数百年の歴史の地、先祖累代の郷土、一朝にして湖底に影も見ざるに至る。実に断腸の思いがある。」と述べ、その悲痛な心情を表しました。
朧神<野萩>は、村人たちの移転が決まった際、彼らを守ることができなかった自分を責め、さらに自らの存在意義を見失いかけていました。ダム建設が進み、神社が取り壊されるとき、朧神<野萩>は必死にその場を守ろうとしましたが、もはや彼女の声は誰にも届かず、工事の音にかき消されていきました。やがて、村は湖底に沈み、朧神<野萩>は自分の存在が徐々に薄れていく感覚を味わいました。
不器用な救済
湖底に沈んだ小河内村の跡地には、奥多摩湖が広がり、観光地として多くの人々が訪れるようになりました。しかし、朧神<野萩>の存在を知る者はおらず、彼女は静かに人々を見守り続けました。時折、湖畔を歩く人々に心地よい風を送り、迷子になった子供にはそっと道を示すなど、ささやかな力で人々を助けようとしましたが、その存在に気づく者はほとんどいませんでした。「誰かの役に立ちたい」という想いと、「もう役に立てないかもしれない」という恐怖が常にせめぎ合い、朧神<野萩>は自らの無力さに苦しみました。
それでも、彼女は人々の幸せを願い続けました。ある日、湖畔で一人の老人が「湖底の故郷」という歌を口ずさんでいるのを耳にしました。その歌は、かつての小河内村を偲ぶものであり、朧神<野萩>は自分の存在が完全に忘れ去られたわけではないことに、わずかな希望を見出しました。しかし、その希望も儚く、朧神<野萩>の力は日々衰えていきました。それでも、彼女は最後の力を振り絞り、人々の幸せを静かに見守り続けるのでした。