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若葉は魔法（R：キッカケ）が欲しかった。
――『半鬼が鬼へと成り上がる』
そんな必然を与えてくれる、魔法の力が欲しかった。

凍てつく我が心が問うてくる。
願う事は罪なのか？
――ああ、その答えをあたしは知っている。



閉鎖的なシベリアの村、生神と崇められた吸血鬼の父と、人身御供に差し出された人間の母の元に生まれた半鬼。
父親から母親への偏執的な愛情が、彼女が死んだ後も連綿と続いた結果、父親は娘を“母親”として所有する歪んだ結果に至る。
自身の尊厳が顧みられない環境からほうほうの体で逃亡し、異端改宗室に駆け込むことに。
本人の背景から、異端改宗室の“救済”には積極的に貢献の姿勢を示している。

ただ、本人の中では“力が無い”存在に対しての強い憤りが燻っている。
半鬼、また血枷の咒に囚われたままの己が身を基本的に許しておらず、完全な吸血鬼になる術を聖皇庁やシスター・ウェンディの目を盗んで探している。
弱かった母親に似た顔が嫌い。

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