キングスフォール生まれ、キングスフォール育ち。
　両親は不明。物心ついた時には独りだった。
　ゾルウォンド駅区、屑鉄の街"壁外"で日夜スクラップの山を漁り、ストラスフォード大鉄堂を始めとした神殿の炊き出しに並び、アウンガルテン遺跡群学究院の一般人向け講習で基礎学力を身に着け、ファイラーニ森林公園内の秘密の場所で仲間の孤児3人と身を寄せ合い眠る。そんな風にせせこましく、そしてそれなりにうまく生きていた。

　ある日のこと。幸運にもスクラップの山から使用可能かつ複雑な機構を持つ魔動機を発見し、秘密の場所に持ち帰った。
　しかし、これを売れば壁内へ生活の拠点を移せるのではないかと仲間内で話していたところを、犯罪組織蜘蛛の巣団と、それに与した仲間に襲われてしまう。
　なすすべなく生活の拠点と魔動機を奪われた彼等は冒険者ギルドの扉を叩くも、報酬として支払えるものもなければ後払いをみとめられる……そもそも話をまともに聞いてもらえる様な身分もない状態で依頼が受理されるわけもなく門前払いされる。

　はい。仕方ないので自分たちで解決しました。

　拠点と魔動機を取り戻したユウ達は、その後持ち前のしぶとさで屑鉄の街"壁内"に、魔動機の店を構えるまでに至った。
　その後も進展を続け、最終的に、ユウを含めた4人の孤児は、1人が件の一件以降蜘蛛の巣団に本格的に加入し、1人が魔動機修理の腕を見込まれ魔動機ギルドへ名を連ね、1人が頭脳を買われてアウンガルテン遺跡群学究院の教授に弟子入りし、残ったユウは散々お世話になったストラスフォード大鉄堂に雑用として引き取られる形で落ち着く。

　心と心の架け橋。よりよき明日への道を拓く。大鉄堂で働きながら、そんな鉄道神王の教義や逸話に触れるうち、ユウは正式にストラスフォードを信仰し始める。
　やがて、神より言葉を授かり正式に神官として奇跡の行使が行えるようになった後。
　彼は、放浪者を名乗り、"人助け"をモットーにその活動を始める。