本名はサイガ・ヴィクトリア・クリスティ。人間のナイトメアとして生まれた彼女は、多くのナイトメアの例に漏れず、この世界に生を授かると同時に母親を亡くした。穢れた娘を愛することができなかった父親は、生まれて間もない赤子を名札のついた籠に乗せ、"はきだめの"魔動死骸区にある孤児院の前に置き去った。孤児院を運営するシーン神官に育てられたクリスは、弓術と魔動機術を身につけて逞しく成長した。また、彼女と同じ孤児の■■■とは人生の多くの時間を共に過ごし、いつしか二人の間には友情以上の結びつきが生まれたのだった。

あるとき、■■■は未知の病に冒された。日に日に弱っていく親友を見守ることしかできなかったクリスは、■■■の病を治す術を見つけるため、冒険者になることを決意した。魔動死骸区を発つ日の朝、まだ寝ている親友の手を握り誓いを立てた。必ず治療法を見つけて戻ってくる、と。クリスはそのとき、寝ているはずの■■■がクリスの手をぎゅっと握り返したような気がした。

クリスは時折、やけに現実感のある夢を見ることがある。その夢で見た光景はいつの日か現実となってクリスの前に現れる。しかしクリスはそれをくだらない偶然だと一蹴することにしている。そんな夢の中で、未だ実現していない光景は二つだけ。一つは、尽きゆく少女の姿。もう一つは、朝日に照らされる少女の姿だ。もし片方が実現するのであれば──もう片方の夢だって悪くはない。クリスはそう考えている。

セリムが探している「以前世話になった医者」やセレスの語る失われた魔動機文明の技術には関心を持っている。

少女待機中