容姿・経歴・その他メモ

経歴
・大切な人と行き分かれている
・特定の異種族を好んでいる
・異種族を怖がっていた

冒険に出た理由
・一攫千金を狙って



「何もできなかった」
それが俺の覚えている最初の記憶。
いや記憶というよりも思いだ。
目の前は赤く染まり、それが夕日なのか炎なのか血なのかもわからない。
ただ、自分はここでは生きられないと思った。
だから眠ることにした。

次の記憶は温かな日々。
俺はとある冒険者に見つけられ目覚めた。
ただその人は俺を目覚めさせたものの扱いに困り、紆余曲折あって懇意にしている冒険者の店へと俺を預けた。
とはいえその人は仕事の合間で俺に冒険者の心得を教えてくれた。だからその人を師匠と呼んでいる。
それに冒険者の店の人たちも俺に丁稚として仕事をさせながら一通りの教育をしてくれた。
せわしない日々だったけれど、俺を受け入れてくれた人たちとの穏やかな日常ををずっと忘れることはない。

ある日、冒険者の店の店長が病のため亡くなり、後継者問題が持ち上がった。
師匠が継ぐことになったものの、所属する冒険者の中にはそれを妬む者もいた。
そして師匠は請け負っていた仕事の途中で命を落とした。
事故だった。
官憲も知り合いの冒険者も、皆そう言った。
でも俺は知っている。
あれは事故じゃない。
師匠は殺されたんだ。

師匠がいないあの街に未練はなかった。
あの街にいても俺にできることはない。
あの店で冒険者になっても、何の力も縁もない俺には何もできない。
師匠みたく店を経営することはできない。
だから旅に出た。

・・・。

違う。
「旅に出た」なんてきれいな言葉で、あの時のことを語れない。
違うんだ。
俺は「逃げた」んだ。
師匠が死んだ恐怖から。
師匠も店長もいない、あの様変わりした店の雰囲気から。
何もできない。
恩を返すことすらできなかった。
そんな悔恨だけを残して、俺は逃げて逃げて逃げて、そして今ここにある。

ああなんだ、俺は、眠っても変わらなかったんだ。
醒めたときも眠るときも、無力な自分は、変わらなかったんだ。

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