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研究に没頭した青年。家族にそれは認められず。

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善悪の強要、冒険者への風評を幼い頃から嫌という程聞かされて。

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否定して。否定され。

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否定に否定を重ねられ、彼の人格は乱れを起こす。

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いつしか、研究の興味が沸けばいい、善悪など知らない。

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僕は、頼まれたら事をこなすだけ。たとえそれが悪だろうが、善だろうが気にしない。

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家族は今、何をしているのか。たまに思い出すも、呆れるばかり。

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家族の、関係者の悪意を受けすぎた彼の───

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負の感情は、壊れ果てた。

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行いへの興味、関心へと置き換えられてしまう。人の悪意など知らない。

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それがやりたいことなら、それでいい。

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その悪意を成すことに、彼はなんの疑問も持たない。

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悪意に頼まれれば、それに従う。

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善意に頼まれれば、それに従う。

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彼にとっての価値観。

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正しさなど彼の中にない……いや、もはや曲がりくねった道だろう。各々が望むことが正しいだけである。
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平気な顔をして、狂い果てた。

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爽やかな青年。笑顔の裏に、壊れた世界。

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悪を悪と思わない、善を善と思わない。

そんな、青年。