シーン神殿 - ウル・ヴァ・ドゥール支部
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シーン神殿 - ウル・ヴァ・ドゥール支部
【概要】
アヴァルフ妖精諸王国連邦、人間の国《ウル・ヴァ・ドゥール》の都市にある、シーン神殿です。神殿に修道院が併設され、さらに修道院に孤児院が内包されています。
アヴァルフ妖精諸王国連邦では、妖精神アステリアが最も根強く、次いでは樹神ダリオンが信仰されていますが、人間が多く、連邦の中でも特に多様な文化を受容するウル・ヴァ・ドゥールでは、信仰は様々あります。シーン神殿は、この多様な文化を受容するに当たって生まれた、歓楽街に相当する地区に面するように建造され、夜の帳に安寧を齎すと共に、夜に眠らぬ歓楽街を守護する立場にあります。
その主たる神殿は、歓楽街とその外とを区切る門のように建造されており、建物の中央が丁度凱旋門のように、左右に塔とも思える2区分の建物と、それらを繋ぐブリッジが建物の上階に渡されており、一見すればやや大仰な大門のように見えます。区分された左右の建物のどちらともがシーン神殿であるのは確かですが、この神殿への入り口は、一般的には左側の建物にしかありません。神殿としての機能も左側の建物に集約されており、礼拝堂や懺悔室といった場所はこちらに設けられています。
右側の建物の役割といえば、これは牢屋として使用されています。地に面した部分には出入り口はなく、上階に向かわないと出られない上に、そこから飛び降りれば間違いなく死ぬため、左側の建物を経由しなければなりません。この迂遠な道は脱獄を困難にしており、十分な機能を果たしています。こんなものが造られている理由は至極単純で、歓楽街など治安は考えるまでもなく悪く、悪人の跋扈は避けられません。これを捕縛した者を、最も迅速に拘束できる場所として、右側の建物がそういう機能を持っているのです。ただ、捉えられた悪人が左側の建物を通って収監される所を目撃した話はなく、噂では地下通路や秘密の出入り口があるのではないか、などと囁かれています。
神殿としての機能が集約した左側の建物に併設されるように、修道院が建造されています。修道院には、神官になりたての者や、それを志す者たちが従事しており、特に女性が多く目立ちます。此処で彼女たちは読み書きを始めとする教養から、神官としての心構えや、シーンの教義を学び、修道院長の受認を経て、神官として独り立ちします。病院のような役割も担っており、救護室があります。
修道院には孤児院も併設されており、身寄りのない子供などが育てられています。子供たちの世話もまた修道院で働く者たちの役割です。ここで育った孤児たちは、大半は神官になるか、夜の仕事をすることになるのが多くあります。そして、一部の者たちが別の夢を志したり、冒険者になったりしています。
【神殿内での階級】
ウル・ヴァ・ドゥールのシーン神殿にもヒエラルキーは存在しますが、一般的なそれよりもさらに細かく区分されています。
まず、最も大きな権威を持つのが、神殿長とも呼ばれる大司教があります。主な役割は神殿で行われる重要な祭事や、王族や貴族など尊い身分にある人物の葬儀などを執り行うことで、基本的には滅多に表に出てきません。
その下に司教があり、一般的な祭事や葬儀などといったものを取り仕切ります。大司教の補佐も務めており、神殿内における管理責任者は司教となっているため、有事の決定権を持っています。大司教、司教共に、神殿内に一人ずつ就任しています。
次いで律修司祭に続き、歓楽街の管理を主に任されています。このためか、律修司祭は複数人が就き、その全員が神官戦士として、それなりに高い戦闘能力を持っています。神殿牢の番兵もしています。
ここから大司祭、司祭となります。大司祭は修道院長とも呼ばれ、主に修道院の管理が仕事です。司祭は神殿の相談役であり、懺悔を聞いたり、礼拝にやってきた信者たちの相手などをしています。また、一部の司祭は神殿を離れ、ウル・ヴァ・ドゥール近隣の村に派遣され、駐在していることもあります。
下から二番目に侍祭があり、侍祭は修道院における様々な係の主任となっています。聖具室係、図書係、食糧係、看護係、会計係、慈善係、庭係、寝坊係と多岐に渡り、通常であればそれぞれの係ごと、1人ずつが就任しています。
そして最下位となるのが神官、及び神官見習いです。神官は神殿内においては雑用役のようなもので、最も忙しく動き回っています。一部は修道院に務め、侍祭の指示の下、それぞれの係について従事しています。神官見習いはまだ神官にもなっていない者たちであり、神官と共に雑用に走り回ったり、係の仕事を手伝ったりしています。
【修道院の係】
修道院内にはいくつも係があります。それぞれに従事する職務が異なり、役割があります。
聖具室係はそのまま、神殿で行われる祭事や儀式、葬儀などに使う備品を管理したり、それらが必要になれば準備を行います。非常に重要な立場のため、本来なら大司祭や司祭になれるはずの者が、ポストの空席までここに就任する、という形になります。このため、神官や神官見習いは就かず、一人から三人ほどの少数の侍祭が任されます。
図書係は神殿で管理されている貴重な本を管理する他、写本の製作などを行います。禁書なども預かっており、これは侍祭だけが厳重に管理しています。
食糧係は所謂食事当番です。神殿、修道院、囚人、孤児院の子供たち全員の食事を用意しなければならないため、最も多く神官や神官見習いがサポートについています。食料の管理も行っています。
看護係は病人や怪我人の世話をする者たちです。軽度な病気や怪我であれば普通に看病しますが、重い症状や怪我は神聖魔法を用いるため、プリースト技能を持つ侍祭がトップに立っています。
会計係は、衣類や寝具、証明など、食以外の全てを雑費も含めて管理しています。お布施なども管理しており、計算能力や処理能力が高い者がこのポジションにあります。
慈善係は、街に出て、助けを必要としている人々の助けとなる者たちです。孤児を見つけて保護したり、蛮族被害などにあった村に訪れて炊き出しをしたりなどをしています。また、神殿・修道院内で罰を受けた者が、償いのために身を置くこともあり、そういう者たちは概ね、都市の清掃などを連日行っています。
庭係は、花や果樹、薬草などを中庭で育てています。楽な仕事に思われがちですが、重労働が多く、種類によって異なる管理をしなければならないので、神経も使います。
宿坊係は、外来客が来た時にもてなしたりする役割になります。誰が来ても十分なもてなしができるよう、教養に長け、上品な者だけがこの係につきます。
【シーン神殿の人々】
"六道神門"
レイ・ピークワーズ
(人間?/男/37歳)
「信仰とは心の寄る辺であり、教義とは迷い路の道標に過ぎない。重要なのは、己がどう在るか、だ。」
ウル・ヴァ・ドゥールのシーン神殿に新たに就任した大司祭です。正しい呼吸に軸のブレない立ち姿、威厳のある顔つきと、深い信仰心を持っており、若くして高位の階級を得た異例の人物です。
修道院の院長も務めており、基本的にはこちらに在籍して院内の管理に努めています。院内では新任の修道院長という立場ですが、実直さ、厳格さは修道院に務める侍祭にも評価されており、また厳しくも優しい雰囲気が孤児たちからも評判で、早くに溶け込み、既に十分な地位を確立しているようです。
ただ、就任時期が大司教の没後であること、もともと大司祭(前修道院長でもありました)であった者がわざわざ異動となってから送り込まれてきたことから、本当は大司教なのではないか、と噂されていますが、真実は定かではありません。とは言え、現状神殿内で大司教に収まっている者が誰かはっきりしておらず、隠匿されているため、この噂は他の高位神官にとっては無視できないものになっています。
"ばたばたシスター"
エイミー・ルリア
(人間/女/23歳)
「なにかあったら言って下さいね、すぐ駆けつけますから。…ふぅ。早く次に行かないと。」
修道院で従事する侍祭です。灰色の長髪をクロブークに収めた、穏やかそうな女性ですが、院内では忙しなくばたばたと動き回って働いています。
本来、修道院の仕事はいくつかの係に分かれ、それぞれ1つずつに長を立ててチームごとに仕事をするものですが、現在院内では侍祭が少なく、エイミーが4つの係の長を受け持っているため、あっちこっちと動き回って、神官やその見習い、あるいは孤児たちの面倒を見ているのが現状です。
本人は忙しくも充実した毎日に満足しているらしく、もともと責任感が強く真面目な性格であることが幸いして、それほど苦痛には感じていないようです。とは言え管理目線では問題があることも事実で、この点についてを憂慮しており、侍祭となる者が増えるよう教育なども始めているようで、これが彼女の多忙さを加速させています。
新任として新たに訪れた大司祭が来てから、彼がサポートしてくれているため、少しは緩和されているようです。が、相変わらずばたばたと走り回っています。
"歓楽街の猟犬"
エイジスト・ブルオーダ
(リカント/男/45歳)
「俺が毎日暇で、一日中眠っていられるようになればなぁ…。……はぁ。」
歓楽街の管理を行う律修司祭であり、シーン神殿神官戦士団の団長です。
中性的な顔立ちと気怠げな雰囲気が特徴的で、線の細い見た目もあってとても神官戦士団を率いる者には見えません。本人もそんな立場に就くのは望ましくないようで、団長と呼ばれることを毛嫌いしており、必要な命令を最低限出すのみで、主な管理は副団長に委ねています。
普段はぼーっとしたような顔つきで歓楽街を徘徊していたり、屋根の上や木の上で眠っていたりと覇気のない生活をしていますが、有事の際、特に武力行使が必要となる場面においては、獣変貌をして瞬時に鎮圧しています。この時の姿があまりにも暴力的で容赦がないため、普段は物静かな、怒らせると怖い"猟犬"として恐れられていたり、慕われていたりします。誰がどんな風に印象を持っているかは、その人物がどんな立場かに依る所です。
"神の子"
ルーシー
(?/女/10歳)
「……いたいのいたいの、とんでいけ。」
修道院に身を置く神官見習いで、元孤児の女の子です。
輝くような銀髪に幻想的なヘテロクロミアを宿した少女で、生まれついて神から声を賜り、幼少から神聖魔法が使えるという特別な経歴を持っています。このため神殿内では"神の子"などと持て囃され神輿のように担がれており、殊更大切に囲われ、育てられています。
現在は修道院内で看護係として、怪我人や病人の面倒を見ながら、神官としての修練を積んでいます。神聖魔法が使えるとは言え年端もいかない少女のためか魔力が乏しく、連続しての使用はできないため、必要がない限りは魔法を使わずに看病をするように言いつけられています。ですが、時折内緒で、とこっそり魔法を使って小さな怪我を治したりしているようです。
元孤児、とは周知されていますが、その特殊な来歴から捨て子にされるとは思い難く、その出生についてはいくらか秘密があるのかもしれません。