背は高くて、身体つきは無駄削ぎ落としきったような細さ。鋭い目つき。異常なまでに整った髭。
長く伸ばした髪を後ろで括り、一部を前に流している髪型は、孫娘プロデュース。
毎日鉄道ギルドの制服を着込んでいる彼は、歯車仕掛けのように仕事をする。
いわゆるダンディーなオジサマなのだが年齢は72歳。ジジイ。
未だ衰えを知らぬ彼は、今日も鉄道利用？に集まった淑女たちのリクエストに応え、ぎこちない笑顔を見せる。

18歳で鉄道ギルドに所属。
訓練訓練訓練仕事仕事仕事結婚仕事仕事仕事仕事妻との死別仕事仕事仕事仕事。
54年経っていた。

師と呼べる人物がいる

ギョーム・ギリアス・ガイウス・ゴーンを師とし、キングスレイ式近接射撃術を学ぶ。

神の声を聞いたことがある

鉄道ギルドの要請で蛮族の勢力圏を通ることになったストラスフォード信者たちが乗る列車の護衛をしていたある日、列車を襲いに来た蛮族を撃ち払ったあと天から声が聞こえ、その場で立ち眩みしてしまう。それは鉄道神の声だと信者たちは興奮した様子で言うが、そんなわけないだろう、こんな老いぼれに神がなにを語るのか。

冒険に誘われたことがある

38歳の頃、辺境への新規路線開拓で連携した冒険者に誘われたが鉄道ギルドに身を捧げるつもりだったため断った。

冒険に出た理由

なりゆき

「シャフト、任務だ。ハーヴェスで冒険者となり、君の後継者を探してもらう。」

　明るく爽やかな午後の空気の中、ダグラスはアウンガルテン駅で昼食をとっていた。
ダグラスは毎日、ここから忙しなく船を受け入れる港と環状線を走る魔導列車を眺め、川沿いの屋台で買ったガレットを食べていた。
キングスフォールを象徴するような光景が一望できるここはダグラスのお気に入りだった。

陽光が、地平線のすぐ上から駅構内へと差し込んだ。一つの影がダグラスに近づく、振り返ると鉄道ギルドでの師、ギョーム・ギリアス・ガイウス・ゴーンが立っていた。
「師(先生)、珍しいですね。この時間に外に出ているなんて」ダグラスは言った。

ここ最近のダグラスがブルライト地方へ頻繁に訪問していると聞いたギルドは、ブルライトの北方に位置するディガッド山脈での依頼を引き受けてほしいと伝える。
ダグラスは後継者を見つけ、これ以上冒険者を続ける理由も無いのだが、お世話になった《青空の船出亭》への義理を果たすために最後の依頼として引き受ける。これはダグラスがディガッド山脈へ向かう3日前の出来事

ダグラスは友人であり尊敬する冒険者であるオスカーとゼウスを誘い、ギルド《青空の船出亭》で昼食をとっていた。
「おぉ、とうとう弟子を見つけたのですね！」オスカーはナプキンで口を拭い言った。
「死骸区で連れてった紫の小娘かの、あいつヤク中だというのに黒いのは見る目がないの」
「いえ、彼女に光るものを感じまして……薬に関しては彼女を信じるしないのですがね」ダグラスはバツが悪そうに言った。
「そして明日の業務を最後にドーデンへ戻ろうと思いまして……」ダグラスは気恥ずかしそうに続ける。
「大切な弟子の成長を見守る側になりませんとね、そこで友人でありお世話になったお二人に別れを告げようと」
「そうですか……それは寂しくなりますな」オスカーは耳を少し垂らし言う。
「黒いの、ワシがそっちへ行った時は融通するんじゃぞ。まぁそんな田舎行くこともあるまいて！！」ゼウスは人参を頬張り笑う。
「えぇ、もしキングスフォールに来られることがあればお二人とも歓迎しますよ」ダグラスは友人に恵まれたことを感じ、少しばかり別れを惜しむ気持ちが湧いた。
「ダグラスさーん！いらっしゃいますかー！」ギルドの受付から自分の名前を呼ばれる声がした。
「失礼、少々席をはずします」
明日の業務のことだろうか？ダグラスは仰々しく足音を鳴らし受付へ向かう。
「何事でしょうか？」ダグラスは尋ねる。
「あぁ、良かった。こちら鉄道ギルドからダグラスさん宛にお手紙です！」名物受付嬢リーナは笑顔で手紙を差し出してくる。
手紙？後継者探しを終え、早急に戻ってくるようにとの通達だろうか。
封を開け手紙を読んだダグラスはｶﾞﾂﾝｯと音を立て膝から崩れ落ちた。

『君の見つけてきた後継者メイファは夢幻の薬に手を出し、逃げ出してしまった。
なのでそちらでの任務は続行されたし
ギョーム・ギリウス・ガイウス・ゴーン』
「何故だぁぁぁぁぁぁ！！！！？？？！？」ダグラスの悲痛の叫びが《青空の船出亭》にこだました。