高名な拳法家であり、現在行方知れずとなっているワイ・ヘイデンの娘である。
10年程前からギルド業を営む事務所に所属しており、現在はパーティ花束(フラワーアーチ)での活動を主としている。
「攻めるばかりが戦いでは無い」というのを信条としているが、実際彼女の猛攻は凄まじいものであり、攻めを苦手としている訳では無いようだ。

彼女には双子の姉がいたが、10年ほど前に失っている。時を同じくして、父親も姿を消しており、「"邪道"ラオ」のもとに預けられることとなった。
姉の性格はエイミーとは対照的で、一言で言うと放漫。幼少期にはイタズラを繰り返し、鍛錬には姿を見せず、冒険者の真似事を繰り返して過ごしていたようである。そのせいかトラブルも多く、彼女曰く「どうしようも無い人間」とのことだ。

話を整理すると、ヘイデン氏のお嬢さんがですね…あ、上の子の方です。どうやら家出をなさっていたようで、なかなか帰らないお姉さんを心配して、妹さんも後を追って探していたそうです。
そんな所を蛮族に攫われたようで、妹さんは無事だったのですが…上の子のご遺体は酷い有様でした。
失踪から数日経っていたようですが…我々が発見した時には彼女1人でしたので、妹さんが全て対処したものと思います。
ですが…気の毒なもので、帰宅した時にはもうお父上は消息を絶ってしまったようで、身寄りが居なくなってしまわれたようですね。ええ…

一一一ヘイデン家ご令嬢誘拐事件-解決報告

彼女の姉の遺体だが、著しく破損していた。
だが、それ以外にも穢れの形跡が多数確認された。
周りの蹴散らされた蛮族や、現場の形跡、土地特有の魔力などから次のようなことが考察される。

・現場付近は穢れの力場のようなものが存在する。
・そのためか、彼女の姉は幾度もレヴナント化し、エイミーに襲いかかった。
・彼女は辛くも撃退を繰り返し、復活を防ぐために意図的に遺体を破壊した。
・ある程度遺体を破壊できていれば、神聖魔法の処置なしでもこの力場によるレヴナント化は発生しない。


この現場付近にはアンデッドの出現報告が相次いでいるようで、この力場と深い関係があると見られる。引き続き調査が必要であることに変わりは無い。
一一一事件現場検証 筆記者 ラオ

ある迷宮で手にした魔剣(ギフト)
かつて邂逅した星の名残。その青さは更なる蒼さを求め、星そのものと融合したいという衝動を引き起こす。

わかっている。真に一体化など出来るはずもなく、成り代わることも以ての外である。
単に生き方をなぞること、それは単なる模倣だ。
問題は、「模倣の先に目指すものがあるのか」ということに他ならない。その答えは、まだ霧の中だ。

彼女は「エイミー・ヘイデン」本人では無い可能性がある。