常に楽しそうな素振りで、ふざけた言動をする典型的な契約の小魔---

---と、言うのは他に魔神語を話せる者が居る場合の偽りの姿だ。
彼は本来計算高く、そこそこに頭が切れ、はっきり言って記憶喪失の主人より間違いなく賢い。
主人の暴走を諌め、助言を加え、作戦を立て、持ち得る知識を伝える…
口の悪さがたまの傷ではあるが、彼は間違いなくミラ･フルールという冒険者の最高のブレインだ。

『ミラ、やりすぎんなよ』
「分かってる」
『…お前が分かってるつって話聞いてなかった数を教えてやろうか』
「分かってるって、自傷しすぎないと、魔力を節約する、でしょ？」
『分かってんならいい…いつも通りだ、魔神の操作はこっちに任せとけ。お前は魔法の行使だけに専念しろ』
「うん、頼りにしてる」
『ハッ…来るぞ！』

XX月XX日午前5時頃、■■■村で煙が立ち上っているという報告が冒険者ギルドに入った。
事態の調査の為、数名の冒険者が派遣され、その冒険者達に村の広場で呆然と座り込んでいた所を保護される。
村の家屋は全て焼き払われており、冒険者達が到着した頃には既に残り火すらも消えたような状態だった。
生存者は彼女以外には存在せず、皆一応に残虐な殺され方をされていたらしい。
保護された段階では口も聞けずにただ呆然とするばかりであったが、村によく立ち寄っていたという行商人の証言から村の村長であった---氏の次女のミラ･フルール氏であった事を確認。
彼女の身柄は一時冒険者ギルドに保護。心理的ショックからか事件、及び過去の記憶を喪失している事が判明。
そして彼女は、どう生きていくのかの選択を提示した際に、冒険者になる事を強く希望。
その後、出所不明の小魔と森羅導師への適正を武器に、彼女は晴れて冒険者となった。初仕事はまだらしい。

サバイバーズギルト

よく見る夢がある。
いつも見るけど、目を覚ましたら忘れてしまう夢。
私の顔をした何かが、私の大切な人を全部壊してしまう夢。
私のせいで出てきた何かが、私の大切な居場所を全部壊してしまう夢
それで最後は、全部全部壊した何かが、私に向かって
「ま■■」

「…なんの夢見てたんだっけ…？」